加水分解エラスチンとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 ベース成分
加水分解エラスチン
[化粧品成分表示名称]
・加水分解エラスチン

[医薬部外品表示名称]
・加水分解エラスチン

もともと不溶性である哺乳動物(∗1)や魚のエラスチンを加水分解して可溶性となった淡黄色~茶褐色の液体です。

∗1 BSE(狂牛病)問題以前は牛由来が多かったのですが、BSE以後は哺乳類由来の代わりに魚由来のものを原料とすることがほとんどです。

加水分解された成分を界面活性剤や合成ポリマーと間違える方が多いのですが、加水分解とは不溶性の成分の分子量を小さくすることで親水性の部分をむき出しにして水に溶けるタイプにしたもので、界面活性剤とは別モノですし、何かを合成して加えたわけでもなく合成ポリマーでもありません。

哺乳類のエラスチンのアミノ酸組成は、

となっており、主要成分は、グリシン、アラニン、バリン、プロリンです。

エラスチンは(弾力線維性タンパク質)、以下の肌図をみるとわかるように、コラーゲンとともに皮膚や血管など常に伸縮が繰り返されている結合組織の中に存在し、組織の伸縮に関わっているタンパク質です。

真皮の潤い成分一覧

エラスチンは、上の真皮の肌図の格子状に広がっているコラーゲンの交差箇所を強化するために弾力性をともなって固定する役割があり、コラーゲンやヒアルロン酸とともに皮膚のたるみやシワの防止に重要な役目を果たしています。

皮膚が老化するとエラスチンの量が減少し、プソイドエラスチンと呼ばれるものが蓄積され、皮膚の弾力が失われ、シワの発生につながると考えられています。

加水分解エラスチンに、シワの改善や皮膚の弾力を取り戻すような作用はなく、スキンケアとしては、皮膚や毛髪の保護改善や表皮の柔軟性の増大に有効で、化粧水や乳液、クリームなどの基礎化粧品やメイクアップ製品、石けん、シャンプーやリンス、頭髪用化粧品などに幅広く使用されています。

また、化粧品の感触改善にも有用とされています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

加水分解エラスチンの配合製品数と配合量の調査結果(2016-2017年)

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加水分解エラスチンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

加水分解エラスチンの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Skin and Connective Tissue-Derived Proteins and Peptides as Used in Cosmetics」(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギにDraize法に基づいて未希釈の加水分解エラスチン(平均分子量~3,000Da)を24時間閉塞パッチ適用したところ、一次刺激スコアは最大8.0のうち0.38で、本質的に刺激剤ではなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に加水分解エラスチン(平均分子量~4,000Da、濃度不明)を処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(Irritection Dermal model)を用いて、角層表面に加水分解エラスチンを25%,50%,75%,100%および125μLで処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に加水分解エラスチン(ウシの皮膚)を処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった

と記載されています。

ヒト試験はみあたりませんが、動物試験およびin vitro試験の結果では共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Skin and Connective Tissue-Derived Proteins and Peptides as Used in Cosmetics」(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギにDraize法に基づいて未希釈の加水分解エラスチン(平均分子量~3,000Da)を点眼し、すすがずに評価したところ、本質的に眼刺激剤ではなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に未希釈の加水分解エラスチン(大西洋タラ由来)を処理したところ、眼刺激性は予測されなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に加水分解エラスチン(若いウシ由来)を25%,50%,75%,100%および125μLで処理したところ、眼刺激性は予測されなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に未希釈の加水分解エラスチン(ウシ由来)を処理したところ、眼刺激性は予測されなかった

と記載されています。

ヒト試験はみあたりませんが、動物試験およびin vitro試験の結果では共通して眼刺激がないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

エラスチンはもともと生体内の皮膚に存在することもあり、加水分解エラスチンの原料は現在では魚由来のものがほとんどなので、アレルギーの起こる可能性は低く、またアレルギー(皮膚感作性)の報告もないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
加水分解エラスチン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、加水分解エラスチンは■(&lowast3;)となっており、やや毒性ありの判定となっていますが、これは牛の頚部の腱から抽出していた頃のデータの可能性が高いです。

他のサイトでも危険な成分として加水分解エラスチンが記載されているのをみかけましたが、理由は牛の頚部より抽出されることによって狂牛病との関連が疑われる恐れがあるためと記載されていました。

現在はほとんど魚由来なので安全性は高いと考えられますが、エラスチンの由来原料まで記載されていないと思うので、不安な場合はメーカーに加水分解エラスチンの原料の由来を問い合わせてください。

&lowast3; 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

加水分解エラスチンは保湿成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2017)「Safety Assessment of Skin and Connective Tissue-Derived Proteins and Peptides as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR744.pdf> 2017年11月9日アクセス.

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