レンゲソウエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 収れん成分 抗老化成分 抗糖化 抗炎症成分
レンゲソウエキス
[化粧品成分表示名称]
・レンゲソウエキス

[医薬部外品表示名称]
・レンゲソウエキス

マメ科植物レンゲソウ(学名:Astragalus sinicus 英名:Chinese milk vetch)の全草および種子から、無水エタノール、BG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

レンゲソウエキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • タンニン
  • 糖類

などで構成されています(文献1:2006)

レンゲソウはゲンゲとも呼ばれ、ミツバチの源となる蜜源植物として利用されています。

ギリシャ神話では、精霊が変身したレンゲソウをそれと知らずに誤って摘んでしまった姉が、精霊の代わりにレンゲソウに変わってしまい、一緒にいた妹に「花はみな女神が姿を変えたものだから、もう摘まないで」と言い残してみるみるレンゲソウになってしまったという逸話があります。

また日本でも江戸時代に滝野瓢水が「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」と詠んだ句があり、遊女を身請しようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失われてしまうという意味が込められています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗顔料、などに使用されます(文献1:2006;文献3:2003;文献4:2003;文献7:2010)

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗老化作用

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロニダーゼについて解説します。

以下の皮膚の構造図をみてもらうとわかるように、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

皮膚は大きく表皮と真皮に分かれており、表皮は主に紫外線や細菌・アレルゲン・ウィルスなどの外的刺激から皮膚を守る働きと水分を保持する働きを担っており、真皮はヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンで構成された細胞外マトリックスを形成し、水分保持と同時に皮膚のハリ・弾力性に深く関与しています。

ヒアルロン酸は、真皮の中で広く分布するゲル状の高分子多糖体として知られており、規則的に配列したコラーゲンとエラスチンの繊維間を充たし、水分を大量に保持することで、皮膚に弾力性と柔軟性を与えています(文献4:2002)

ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を分解する酵素であり、通常はヒアルロン酸の産生と分解がバランスすることで一定のヒアルロン酸量を保っていますが、皮膚に炎症や刺激が起こるとヒアルロニダーゼが活性化し、ヒアルロン酸の分解が促進されることでヒアルロン酸の質的・量的減少が起こり、皮膚老化の一因となると考えられています。

2003年に一丸ファルコスによって公開された技術情報によると、

0.5%レンゲソウエキスのヒアルロニダーゼ阻害率を検討するためにin vitro試験を実施したところ、以下の表のように、

濃度(%) ヒアルロニダーゼ阻害率
0.5 28

レンゲソウエキスは、ヒアルロニダーゼ活性を有意に阻害する作用を有することが確認できた。

またヒト使用試験として5%レンゲソウエキス配合乳液を30人の成人女性(25~50歳)に毎日朝と夜の2回3ヶ月にわたって洗顔後に顔面に適量を塗布してもらい、3ヶ月後に評価した。

評価結果は肌のハリ・ツヤにおいて有効:4人、やや有効:5人、無効:1人、また肌のシワ・タルミにおいて有効:5人、やや有効:3人、無効:2人となり、レンゲソウエキスは肌に対してハリ・ツヤを与え、さらにシワ・タルミの改善効果に有効であることが示された。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2003)、レンゲソウエキスにヒアルロニダーゼ活性抑制による抗老化作用が認められています。

ただし、ヒト試験に関しては5%濃度で実施されており、一般的な化粧品配合量は1%以下と考えられるため、試験よりもかなり穏やかな作用傾向であると考えられます。

角層AGEs除去能による抗糖化作用

角層AGEs除去能による抗糖化作用に関しては、まず前提知識としてAGEsについて解説します。

AGEs(糖化最終生成物)とは、タンパク質と糖の反応(糖化反応)により生成する最終産物で、糖化反応によってAGEsが生成されると皮膚色の黄疸化やコラーゲンの硬化による皮膚の弾力低下などが起こる原因となります。

生体では加齢に伴って蓄積することが知られており、とくにコラーゲンなどの生体における代謝回転の遅いタンパク質に蓄積が認められると考えられています。

そのため、AGEsの研究はコラーゲンを主成分とする真皮に着目され、真皮におけるAGEsは加齢とともに増加すること、日光を浴びた部位にとくに多く存在することが報告されており、肌を老化へ導く重要な因子のひとつと考えられています。

また、AGEsを分解する酵素などが知られていないことから生成予防が対処法の主流となっています。

2010年にポーラ化成によって報告された肌の糖化に関する研究およびレンゲソウエキスのAGEs除去効果検証によると、

すでに糖化の最終産物であるAGEsが真皮に存在し、肌の弾力性や黄色化に影響を与えることを報告していますが、新たに角層のAGEsに着目し研究を進めた結果、以下の図のように、

角層AGEs量と皮膚表面のキメ形態の関係

角層のAGEs量が多い肌ほどキメが失われているのに対し、角層のAGEs量が少ない肌ほどキメが整い、理想的な肌であることがわかった。

そこで角層AGEsを取り除くことで魅力的な肌へ導くことができると考え、数百種類のエキスの中からAGEsを有するヒト角層細胞(左端)に0.1%または0.01%レンゲソウエキスを添加し、1日間浸した後にAGEsを免疫染色で確認したところ、以下の図のように、

レンゲソウエキスの角層AGEs除去効果

レンゲソウエキスに角層のAGEsを減少させる効果があることを発見した。

また、角層のAGEs量は年齢とは関係がないことを突き止めており、角層AGEsの変化は年齢以外の要因が影響している可能性が示唆されています。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2010)、レンゲソウエキスに角層AGEs除去能によるキメ改善作用(抗糖化作用)が認められています。

ただし、この試験はポーラ化成が独自に抽出したオリジナルレンゲソウエキスを使用しているため、角層AGEs除去能によるキメ改善作用(抗糖化作用)はポーラ化成および関連メーカーの製品にのみ認められると考えられます。

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗炎症作用

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗炎症作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロニダーゼについて解説します。

ヒアルロニダーゼについては、すでにヒアルロニダーゼ活性阻害による抗老化作用のパートで、真皮において多量の水分を保持するゲル状高分子多糖体であるヒアルロン酸を加水分解する酵素として解説しています。

さらに、ヒアルロニダーゼは炎症時において活性化され、ヒアルロン酸などの結合組織のマトリックスを破壊し、炎症時の細胞および血管の透過性を高めてしまうと考えられており、急性浮腫を惹起させる起炎剤としても使用されることからヒアルロニダーゼの活性を阻害することは、皮膚の延焼防止として有効であると考えられています(文献3:2003)

2003年に一丸ファルコスによって公開された技術情報によると、

0.5%レンゲソウエキスのヒアルロニダーゼ阻害率を検討するためにin vitro試験を実施したところ、以下の表のように、

濃度(%) ヒアルロニダーゼ阻害率
0.5 28.0

レンゲソウエキスは、ヒアルロニダーゼ活性を有意に阻害する作用を有することが確認できた。

またヒト使用試験として5%レンゲソウエキス配合乳液を湿疹・カユミ・肌荒れで悩む30人の成人女性(30~50歳)に毎日朝と夜の2回3ヶ月にわたって洗顔後に顔面に適量を塗布してもらい、3ヶ月後に評価した.

評価結果は湿疹・肌荒れ改善効果において有効:5人、やや有効:5人、無効:0人となり、レンゲソウエキスは湿疹・カユミ・肌荒れを改善することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2003)、レンゲソウエキスにヒアルロニダーゼ活性抑制による抗炎症作用が認められています。

ただし、ヒト試験に関しては5%濃度で実施されており、一般的な化粧品配合量は1%以下と考えられるため、試験よりもかなり穏やかな作用傾向であると考えられます。

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レンゲソウエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

レンゲソウエキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献3:2003)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの剃毛した背部に0.5%レンゲソウエキス水溶液を適用し、適用24,48および72時間後にDraize法にしたがって皮膚反応を評価したところ、すべてのウサギにおいて皮膚反応は観察されず、皮膚一次刺激性なしと結論付けられた
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剃毛した背部に0.5%レンゲソウエキス水溶液0.5mLを2週間にわたって1日1回週5回塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日にDraize法に基づき累積刺激反応を評価したところ、すべてのモルモットにおいて2週間にわたって皮膚反応は認められず、皮膚累積刺激性なしと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚一次刺激性および皮膚累積刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
レンゲソウエキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、レンゲソウエキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

レンゲソウエキスは保湿成分、収れん成分、抗老化成分、抗炎症にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 収れん成分 抗老化成分 抗炎症成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,386.
  2. 鈴木 一成(2012)「レンゲソウエキス」化粧品成分用語事典2012,356.
  3. 一丸ファルコス株式会社(2003)「ヒアルロニダーゼ活性阻害剤及び化粧料組成物」特開2003-342184.
  4. 朝田 康夫(2002)「真皮の変性と加齢の関係は」美容皮膚科学事典,132-133.
  5. “ポーラ化成株式会社”(2010)「肌の糖化に新たな知見 角層の糖化が肌のキメに影響することを発見」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/po22r031.pdf> 2018年8月31日アクセス.

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