ラフィノースとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 バリア機能 エモリエント成分
ラフィノース
[化粧品成分表示名称]
・ラフィノース

植物界に広く分布し、ビート、サトウキビ、蜂蜜、ジャガイモ、トウモロコシなど多くのマメ科植物の種子などに存在する、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトースからなる三糖類(オリゴ糖)です。

ほかのオリゴ糖が高い吸湿性およびベタつきを有しているのに対して、ラフィノースは吸湿性およびベタつきがなく、滑らかな感触が付与できます。

化粧品に配合される場合のラフィノースの主な効果は、乾燥環境下での高い保湿効果とバリア機能改善効果が報告されています(文献1:2005)

ファンケル総合研究所が実施したラフィノースの角層バリア機能への影響in vitro試験によると、

作成した人工角層細胞間脂質に水の代わりに1%糖質水溶液を添加したときのラメラ液晶構造の形成状態を評価した。

評価した糖質はラフィノースのほかに、単糖ではリボース、グルコース、二糖ではスクロース、メリビオース、三糖はマルトトリオースを用いた。

試験の結果、ラフィノースのラメラ液晶構造形成促進率は58.8%とグルコースの40%と同様に高かった。

スクロース、マルトトリオースは形成促進効果をほとんど示さず、一方でリボースは負の値を示し、ラメラ液晶構造の形成を阻害した。

  ラメラ構造
形成促進率(%)
ブランク なし(水)
単糖 リボース -15.7%
グルコース 40.7%
二糖 スクロース 4.4%
メリビオース 28.9%
三糖 ラフィノース 58.8%
マルトトリオース 8.8%

このように報告されており(文献1:2005)、ラフィノースのラメラ液晶形成促進効果が明らかにされています。

ラメラ液晶とは、以下の図のように、皮膚の表皮の細胞間脂質のひとつであるセラミドなどから成る脂質の層と水分子の層が交互に規則正しく何層も重なりあう構造のことであり、このラメラ液晶が角層の保湿やバリア機能を担っており、

セラミド(細胞間脂質)

セラミドがつくっているラメラ構造

ラメラ液晶の形成促進効果が高ければ、健常時のバリア機能や保水機能の安定を維持し、またバリア機能や保水機能が弱くなったときは改善するよう働きかけます。

また、ファンケル総合研究所が実施した乾燥環境下での皮膚細胞防御効果のin vitro試験によると、

培養ヒト表皮角化細胞に4%ラフィノースおよびグルコース水溶液を添加し、乾燥環境をつくった後に培養ヒト表皮角化細胞を乾燥環境に曝露し、0,30,45および60分で細胞生存率を評価したところ、以下のグラフのように、

乾燥環境下における細胞死抑制効果比較

コントロール(無添加)の場合は曝露時間の増加にともなって表皮角化細胞の細胞生存率は低下したが、ラフィノースを添加して培養した細胞では、曝露の時間に関係なく、細胞生存率は80~90%を持続し、グルコースの50~60%と比較して有意に細胞死の抑制効果を示した。

このように報告されており(文献1:2005)、ラフィノースは乾燥環境に対する細胞の保護効果が高いことが明らかにされています。

同じくファンケル総合研究所が実施したヒト健常部位における角層バリア機能効果の評価試験では、

被検者の上腕内側部に0.3%ラフィノース配合化粧水およびラフィノース無配合化粧水をコントロールとして1日2回6日間連続使用してもらい、さらに角層機能への効果持続性を評価するために6日間の使用後に3日間使用しない状態にしたときの水分量の変化も評価した。

試験の結果、角層水分量については使用3日後および6日後は使用前と比較して有意な増加を認めたが、コントロールと比較した場合、6日後までの角層水分量の増加に有意差は認められなかった。

しかしながら、使用を中止して3日間(7~10日)での角層水分量はいずれも減少したもののラフィノース配合部位における減少はコントロールと比較して有意に低かった。

ラフィノースの角層水分量への効果

また、経皮水分蒸散量については、使用3日後および6日後は使用前と比較して有意な減少を認め、6日後においてはコントロールと比較して有意な減少が認められた。

ラフィノースの経皮水分蒸散量への効果

これらの結果は、糖質としての保湿機能だけでなく、ラフィノース特有の乾燥環境における表皮細胞防御効果が関与していることを示唆している。

このように報告されており(文献1:2005)、保湿効果としては通常の化粧水よりも高い効果を示すわけではありませんが、通常の化粧水よりも肌の水分を逃さない効果は優れており、また化粧水を中止した場合でも水分量をキープしておく持続性が高いことが明らかにされています。

化粧品に配合される場合は、保湿剤および肌を乾燥から保護するエモリエント剤としてスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗顔料、日焼け止め製品などに幅広く配合されています。

また、上記の試験結果よりアトピー性皮膚炎の予防および改善にラフィノースを有効成分とする化粧品が注目されています()

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ラフィノースの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ラフィノースの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

試験データはみあたりませんが、糖類であり、化学構造的に皮膚反応を起こす可能性は低いため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験データはみあたりませんが、糖類であり、化学構造的に皮膚反応を起こす可能性は低いため、眼刺激性は非刺激またはわずかな眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ラフィノース 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラフィノースは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ラフィノースは保湿成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. 櫻井哲人, 坂谷 志織(2005)「ラフィノースのバリア機能改善効果」Fragrance Journal(33)(10),57-63.

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