ラフィノースとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 バリア改善成分
ラフィノース
[化粧品成分表示名称]
・ラフィノース

ビート(甜菜)の廃蜜糖から抽出して得られる、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトースからなるオリゴ糖(三糖類)(∗1)です。

∗1 オリゴ糖は、本来は単糖類が数個結合した少糖類ですが、一般的には二糖類と区別してヒトの消化管では消化されない少糖類のことをいい、オリゴ糖の特徴として低カロリーであり、腸内細菌の善玉菌を増殖させ、便通を促進する働きがあります。

糖類・オリゴ糖は、高い吸湿性およびベタつきを有しているのが特徴ですが、ラフィノースは高い保湿性は有しているものの吸湿性およびベタつきがなく、滑らかな感触が付与できます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、日焼け止め製品など様々な製品に使用されます(文献1:2005)

ラメラ構造形成促進による保湿・バリア機能改善作用

ラメラ構造形成促進による保湿・バリア機能改善作用に関しては、まず前提知識として皮膚バリア機能の構造およびラメラ構造について解説します。

以下の表皮における角質層の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮膚の最外層である角質層には、様々な刺激や物質の侵入を防いだり、体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐバリア機能が備わっています。

角質層の機能は、レンガとセメントで例えられることが多いですが、レンガとしての角質内部には天然保湿因子として複数のアミノ酸が存在しており、またセメントとしての細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成されています。

この細胞間脂質は、以下の画像をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

疎水層と親水層を繰り返すラメラ構造を形成していることが大きな特徴であり、セラミドをはじめとする脂質が結合水を挟み込むような構造となっています。

結合水とは、たんぱく質分子や親液コロイド粒子などの成分物質と強く結合している水分であり、純粋な水であれば0℃で凍るところ、角層中の水のうち33%は-40℃まで冷却しても凍らない(文献2:1991)のは、角層内に存在する水のうち約⅓が結合水であることに由来しています。

角質層全体からみれば水分の大部分を保持しているのは角質に存在する天然保湿因子であり、細胞間脂質の隙間に存在する水分はごくわずかな結合水のみですが(文献3:1991)、細胞間脂質はアミノ酸などの天然保湿因子の流出を保護する役割を果たしていると考えられています。

そしてこれら角質層の構成物がバランスよく存在することで健常なバリア機能が維持されます。

2005年にファンケルによって報告された技術資料によると、

in vitro試験において人工角層細胞間脂質を用いて各1%糖質水溶液を添加したときのラメラ液晶構造形成の状態を評価したところ、以下の表のように、

  ラメラ構造形成促進率(%)
ブランク なし(水)
単糖 リボース -15.7
グルコース 40.7
二糖 スクロース 4.4
メリビオース 28.9
三糖 ラフィノース 58.8
マルトトリオース 8.8

ラフィノースのラメラ液晶構造形成促進率は、58.8%とグルコースの40%と同様に高いことが確認された。

またスクロース、マルトトリオースは形成促進効果をほとんど示さず、一方でリボースは負の値を示し、ラメラ液晶構造の形成を阻害した。

ラメラ液晶構造における水分は、細胞間脂質の親水基に挟まれている部分に存在し、その水分の存在はラメラ液晶構造の安定化にも寄与していますが、糖質の親水的な性質が、ラメラ液晶構造形成過程において親水部分に寄与し、構造の安定化を補助している可能性が考えられた。

このような検証結果が報告されており(文献1:2005)、ラフィノースにラメラ構造形成促進による保湿・バリア機能改善作用が認められています。

また、同じく2005年にファンケルによって報告された乾燥環境下での皮膚細胞防御効果検証によると、

培養ヒト表皮角化細胞に4%ラフィノースおよびグルコース水溶液を添加し、乾燥環境をつくった後に培養ヒト表皮角化細胞を乾燥環境に曝露し、0,30,45および60分で細胞生存率を評価したところ、以下のグラフのように、

乾燥環境下における細胞死抑制効果比較

コントロール(無添加)の場合は曝露時間の増加にともなって表皮角化細胞の細胞生存率は低下したが、ラフィノースを添加して培養した細胞では、曝露の時間に関係なく、細胞生存率は80~90%を持続し、グルコースの50~60%と比較して有意に細胞死の抑制効果を示した。

このような検証結果が報告されており(文献1:2005)、ラフィノースに乾燥環境下に対する細胞の保護効果が高いことが明らかにされています。

さらに、同じく2005年にファンケルによって報告されたヒト健常部位における角層バリア機能効果検証によると、

被検者の上腕内側部に0.3%ラフィノース配合化粧水およびラフィノース無配合化粧水をコントロールとして1日2回6日間連続使用してもらい、経皮水分蒸散量を評価したところ、以下のグラフのように、

ラフィノースの経皮水分蒸散量への効果

ラフィノース配合化粧水は、未配合化粧水と比較して、使用3日後および6日後は有意な経皮水分蒸散量の減少が確認された。

また剥離角層の6日後のラメラ液晶率は、未配合化粧水と比較して有意に高かったことから、ラフィノースが角層細胞間のラメラ液晶の安定な形成に寄与したことが示唆され、角層水分量の持続効果および経皮水分蒸散量の減少といったバリア機能の向上に関係しているといえる。

このような検証結果が報告されており(文献1:2005)、ラフィノースにラメラ構造形成促進によるバリア機能改善作用が認められています。

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ラフィノースの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラフィノースの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 目刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

試験データはみあたりませんが、10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

ニキビの原因となるアクネ菌の増殖性について

2009年にサティス製薬によって公開された研究調査によると、

ニキビ用化粧品の開発に役立つアクネ菌(Propionibacterium acnes)の資化性試験を用いて研究調査を行った。

資化性(しかせい)とは、微生物がある物質を栄養源として利用し増殖できる性質であり、化粧品に汎用されている各保湿剤がアクネ菌の栄養源になりうるかを検討するために、14種類の保湿剤(BGグリセリンDPGジグリセリントレハロースグルコースソルビトールプロパンジオールキシリトールPCA-Naベタイン、ラフィノース、GCS(グリコシルトレハロース/加水分解水添デンプン混合物))をアクネ菌に与えてその増殖率を測定したところ、以下のグラフのように、

アクネ菌の保湿剤に対する資化性

縦軸の資化性スコア(吸光度)が高いほど菌が増殖していることを示しており、無添加と同等の増加率の場合はアクネ菌に対する資化性は非常に低いと考えられ、ラフィノースは無添加と同等の増加率であるため、アクネ菌の増殖性は認められなかった。

このような検証結果が報告されており(文献4:2009)アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

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ラフィノースは保湿成分、バリア改善成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 バリア改善成分

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文献一覧:

  1. 櫻井哲人, 他(2005)「ラフィノースのバリア機能改善効果」Fragrance Journal(33)(10),57-63.
  2. Imokawa G, et al(1991)「Stratum corneum lipids serve as a bound-water modulator.」Journal of Investigate Dermatology(96)(6),845-851.
  3. Bouwstra JA, et al(1991)「Structural investigations of human stratum corneum by small-angle X-ray scattering.」Journal of Investigate Dermatology(97)(6),1005-1012.
  4. “株式会社サティス製薬”(2009)「化粧品でアクネ菌が増える?」, <http://www.saticine-md.co.jp/exam/trustee_service/release/20090519.html> 2018年12月30日アクセス.

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