ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)とは…成分効果と毒性を解説

バリア改善 保湿
ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)
[医薬部外品表示名称]
・ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)

[慣用名]
・ライスパワーエキス

2001年に皮膚水分保持能改善有効成分として医薬部外品に承認された、イネ科植物ジャポニカ米(学名:O. sativa japonica)を複数の微生物によって発酵・熟成させて得られる米発酵エキスです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品に使用されています。

セラミド産生増加によるバリア機能改善作用

セラミド産生増加によるバリア機能改善作用に関しては、まず前提知識として皮膚バリア機能と細胞間脂質の関係について解説します。

以下の表皮における角質層の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮膚の最外層である角質層には、様々な刺激や物質の侵入を防いだり、体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐバリア機能が備わっています。

角質層の機能は、レンガとセメントで例えられることが多いですが、レンガとしての角質内部には天然保湿因子として複数のアミノ酸が存在しており、またセメントとしての細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成されています。

そしてこれら角質層の構成物がバランスよく存在することで健常なバリア機能が維持されます。

また角質細胞の一番外側には以下の画像のように、

皮膚における角質の構造図

細胞膜が存在し、細胞膜の内側には周辺帯(cornified Sell envelope:CE)と呼ばれる極めて強靭な裏打ち構造の不溶性タンパクの膜が角質細胞を包んでいます(文献4:2011)が、セラミドはインボルクリンやロリクリンなどCE構成タンパクと共有結合することで、角質と細胞間脂質を強固に接着し、健常なバリア機能を形成しています。

さらに皮膚表面から水分が蒸散されることを経皮水分蒸散(TEWL:Transepidermal Water Loss)といいますが、経皮水分蒸散が大きくなるということは、バリア機能が低下していることを意味しており、経皮水分蒸散は、角質層のバリア機能低下のバロメーターでもあります(文献5:2002)

一般的に経皮水分蒸散量は、年齢を重ねるごとに大きくなる傾向にあり、また表皮の新陳代謝異常が起こると、角質層の細胞間脂質に形状異常がみられるようになり、経皮水分蒸散が大きくなることで最終的に角質細胞が規則的に並ばなくなり、そこに生じた隙間からさらに水分が蒸散し、バリア機能・保湿機能が低下する結果となります(文献5:2002)

経皮水分蒸散の増大は、角質層の保湿機能の低下につながり、この2つは逆相関関係にあると考えられます。

1999年に徳島大学医学部皮膚科によって報告されたライスパワーエキスNo.11の作用メカニズム検証によると、

人工的に荒れ肌にした10人の被検者のセラミドを含む細胞間脂質を抽出し、その荒れ肌部位にライスパワーNo.11および水を1週間塗布し、再び抽出した細胞間脂質からセラミド量を測定したところ、以下のグラフのように、

ライスパワーNo.11塗布によるヒト細胞間脂質のセラミド量の変化

ライスパワーNo.11は人工荒れ肌のセラミドを増大させた。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2014)、ライスパワーNo.11にセラミド産生増加によるバリア改善作用が認められています。

また、2005年にコーセーによって報告されたライスパワーエキスNo.11の有用性検証によると、

14人の被検者(平均年齢35歳)を各群7人に分け、それぞれの半顔にライスパワーNo.11配合の化粧水およびクリームを1日2回1ヶ月間(2月第1週から3月第1週)塗布し、もう半顔に対照としてライスパワーNo.11未配合製剤を用いて、使用前、2週間後、1ヶ月後にTEWL(経表皮水分蒸散量)を測定したところ、以下のグラフのように、

ライスパワーNo.11配合化粧水使用によるTEWLの変化

化粧水では、TEWLが低下する傾向があったものの有意な差はみられなかった。

一方で、クリームの試験結果は、以下のグラフのように、

ライスパワーNo.11配合クリーム使用によるTEWLの変化

ライスパワーNo.11配合および未配合ともに有意にTEWLが低下し、バリア機能が向上していることが推察された。

クリームで有意な改善効果が認められたのは、クリームの固形油による閉塞効果が強く働いたのだと考えられる。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2005)、ライスパワーNo.11にセラミド産生増加によるバリア改善作用が認められています。

水分保持能による保湿作用

水分保持能による保湿作用に関しては、2004年にコーセーによって報告されたライスパワーNo.11の有用性検証によると、

14人の被検者(平均年齢35歳)を各群7人に分け、それぞれの半顔にライスパワーNo.11配合の化粧水およびクリームを1日2回1ヶ月間(2月第1週から3月第1週)塗布し、もう半顔に対照としてライスパワーNo.11未配合製剤を用いて、使用前、2週間後、1ヶ月後に角層コンダクタンス(∗1)を測定したところ、以下のグラフのように、

∗1 コンダクタンスとは、皮膚に電気を流した場合の抵抗を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

ライスパワーNo.11配合化粧水使用による角層水分量の変化

ライスパワーNo.11配合の化粧水は、対照と比較して角層コンダクタンスが有意に向上した。

別の試験において、3人の被検者の前腕内側部にライスパワーNo.11およ5%びグリセリン水溶液を塗布し、角層コンダクタンスを60秒ごとに測定したところ、以下のグラフのように、

ライスパワーNo.11の即時保湿効果

ライスパワーNo.11の即時的な保湿効果は、グリセリンと比較した場合に決して高くない。

さらに、測定前に被検部位を洗浄しており、化粧水の滞留による効果は少ないことから、ライスパワーNo.11を配合することにより角層の水分保持能自体が改善したと考えられる。

一方で、クリームの試験結果は、以下のグラフのように、

ライスパワーNo.11配合クリーム使用による角層水分量の変化

ライスパワーNo.11配合および未配合ともに水分量が有意に向上した。

つまり、化粧水と比較してクリームの保湿効果が非常に高いこと、また基剤の保湿効果が高くなると、皮膚コンダクタンスの変化からはライスパワーNo.11の有効性が検出しにくくなるということが明らかとなった。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2005)、ライスパワーNo.11に水分保持能による保湿作用が認められています。

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ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)の安全性(刺激性・アレルギー)について

ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

徳島文理大学と健康保険鳴門病院皮膚科(現 徳島県鳴門病院)の臨床データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 40人のボランティアに100%ライスパワーエキスNo.11、40%ライスパワーエキスNo.11配合クリームを対象とした皮膚一次刺激性試験を実施し、比較対照として蒸留水および0.3%ラウリル硫酸Naを用いた。皮膚塗布から72時間に除去し、皮膚刺激を評価したところ、蒸留水の皮膚刺激スコアが2.4だったのに対し、100%および40%ライスパワーエキスNo.11はともに0.0であり、皮膚刺激性なしと判断された
  • [動物試験] モルモットを用いてライスパワーエキスNo.11の皮膚感作性試験を実施した結果、皮膚反応は示さなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)はバリア改善成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:バリア改善成分 保湿成分

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文献一覧:

  1. 入野 和生(2014)「基礎・臨床試験で確かな手応え」アトピーに朗報!,103-111.
  2. 入野 和生(2014)「作用機序と有効成分の解明」アトピーに朗報!,120-126.
  3. 秦 美奈子(2005)「ライスパワーエキスの水分保持能改善効果」Fragrance Journal(33)(10),20-24.
  4. 清水 宏(2011)「周辺帯」あたらしい皮膚科学第2版,9.
  5. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.

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