ユーカリ葉エキス(ユーカリエキス)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗菌成分 収れん成分 抗シワ成分 毛髪保護剤
ユーカリ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ユーカリ葉エキス、ユーカリエキス

[医薬部外品表示名称]
・ユーカリエキス

フトモモ科植物ユーカリ(学名:Eucalyptus globulus)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合で抽出して得られるエキスです。

ユーカリ葉エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油:シオネール、ピネン、カンフェン
  • フラボノイド類:クエルセチン、ルチン、オイカリプチン
  • タンニン類

などで構成されています(文献2:2006)

ユーカリは、オーストラリアやタスマニアに生育しており、古くから先住民のアボリジニによって用いられてきた歴史があります。

ユーカリの葉は、精油を1.0~3.5%、タンニンを最大で11%まで含み、抗菌作用、去痰作用、弱い鎮痙作用を持つためドイツやフランスでは上気道カタルやのどの炎症にハーブティーとして内服し、外用ではチンキ剤を中耳炎に用います(文献3:2016)

ユーカリの精油は、抗菌作用や抗ダニ作用が強く、気管支炎や花粉症のカタル症状、風邪の頭痛などに蒸気吸入で用いられ、また精油は経皮吸収されるのでチンキ剤や軟膏剤、アロマテラピーのマッサージオイルとしてリウマチなどに外用で用いられます(文献3:2016;文献4:2011)

また、ユーカリ油は虫が嫌うにおいなので虫除けスプレーや虫除けクリームにも用いられます。

化粧品に配合される場合は、

これらの作用があるので、肌荒れ改善・バリア機能改善・保水機能改善目的のスキンケア化粧品、ヘアケア製品、清涼感が求められる製品への清涼剤、デオドランド製品などに使用されます(文献2:2006;文献5:1999;文献6:2007;文献7:1998)

セラミド回復促進によるバリア機能向上および保湿作用

セラミド回復促進によるバリア機能向上および保湿作用に関しては、1999年に花王株式会社によって報告されたセラミド産生促進物質の探索によると、

ヒト荒れ肌モデルを用いて表皮のセラミド産生を促進する物質の探索を行った結果、ユーカリエキスに優れた効果を見出し、以下のグラフのように、

ユーカリエキスのセラミド1回復促進作用

1%ユーカリエキス塗布でセラミド1の量が2倍以上に増えており、また以下のグラフでは、

ユーカリエキスの総セラミド回復促進作用

1%ユーカリエキス塗布で総セラミド量が約2倍近くまで増えています。

さらにセラミドが増えたことにより、以下のグラフのように、

ユーカリエキスのTEWL(経皮水分蒸発量)抑制作用

1%ユーカリエキス塗布で、経皮の水分蒸発量が約3倍以上抑制され、また以下のグラフのように、

ユーカリエキス塗布による角層水分量への作用

1%ユーカリエキス塗布で、角層コンダクタンス値(∗1)が向上し、角層水分量の増加も認められています。

∗1  コンダクタンスは皮膚に電気を流した場合の抵抗を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

これらの研究結果が明らかになっており(文献5:1999)、セラミド回復促進作用による水分保持能が認められています。

ただし、これらの試験は1%ユーカリエキスで行われており、化粧品配合量は一般的に1%未満であるため、試験結果よりは穏やかなセラミド回復促進作用であると考えられます。

MMP-1活性阻害による抗シワ作用

MMP-1活性阻害による抗シワ作用に関しては、まず前提知識として紫外線によってシワが生じる仕組みとMMP-1(Ⅰ型コラゲナーゼ)について解説しておきます。

まずはシワが生じる仕組みですが、以下の肌図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

真皮の潤い成分一覧

皮膚の真皮層は、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンが網の目状に細胞外マトリックスを形成しており、皮膚のハリ・弾力に深く関与しています。

実際に網の目の役割をしているのはコラーゲンで、コラーゲンの網目の交差点を安定・強化しているのがエラスチンですが、紫外線を浴びるとそれぞれの分解酵素が活性化し、コラーゲン量とエラスチン量がともに減少することが明らかになっており、コラーゲン量およびエラスチン量が減少していくと、皮膚のハリ・弾力が次第に失われ、徐々にシワ・たるみが生じます。

コラーゲンについてさらに詳細にみていくと、真皮層のコラーゲンは以下の肌図のように、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

というようにそれぞれ役割が異なっており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになります。

そして、コラーゲン分解酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の中で、MMP-1はⅠ型コラーゲン分解酵素であるⅠ型コラゲナーゼのことを指します。

ユーカリ葉エキスには、MMP-1活性阻害作用が明らかになっており、1998年にノエビアによって報告された植物抽出物のⅠ型コラーゲン分解酵素に対する阻害作用検証によると、

33種類の植物抽出物について、それぞれ0.1mg/mL濃度でⅠ型コラゲナーゼ活性阻害作用を評価したところ、以下のように、

植物エキス 阻害率(%)
ユーカリ 94.9
セージ 70.0
シャクヤク 58.0
ドクダミ 31.9
ハッカ 19.2

ユーカリ、セージ、シャクヤク、ドクダミおよびハッカ抽出物の5種類に高いⅠ型コラゲナーゼ活性阻害作用が認められた。

このような検証結果が明らかになっており(文献7:1998)、ユーカリ葉エキスには紫外線によるMMP-1(Ⅰ型コラゲナーゼ)活性阻害による抗シワ作用があると考えられます。

ハリ・コシ増強による毛髪保護作用

ハリ・コシ増強による毛髪保護作用に関しては、2007年に花王株式会社によって報告された毛根におけるVEGF遺伝子発現量の比較試験によると、

前提として、VEGF発現遺伝子は加齢により減少の一途を辿り、明確に毛髪にハリコシのある20代,30代,40代,50代とハリコシのない20代,30代,40代,50代とを比較して解析した結果、ハリコシのない人は毛根におけるVEGFの発現量が有意に低いことが判明しています(文献3:2007)

ユーカリエキスには頭皮に継続的に塗布することにより新しく生えてくる毛髪のハリコシ、ツヤを改善する効果が見出されており、そこで3%ユーカリエキス配合化粧水およびユーカリエキスを含まないプラセボを男女10人(24~40歳)の頭皮にそれぞれ半分ずつ1日2回3週間連続使用した。

試験開始時と終了時に頭髪をそれぞれ50本ずつ抜いて毛根におけるVEGF遺伝子発現量を試験の開始前後で比較評価したところ、以下のグラフのように、

ユーカリエキス塗布によるVEGF遺伝子発現量比較

塗布開始前(0週)では、プラセボ塗布側と3%ユーカリエキス配合化粧水側の毛根におけるVEGF発現量に差は認められなかったが、3週後に回収した毛根のVEGF発現量を比較すると、プラセボ側に比べて3%ユーカリエキス配合化粧水塗布側で約1.4倍の増加が認められた。

また、正常ヒト表皮細胞を用いた実験においてもユーカリエキスはVEGFのmRNA量およびタンパク量を増加する作用を有していることが明らかになっており、今回の結果との一致がみられた。

これらの結果からユーカリエキスはVEGFを増加させる作用をもっていることが明らかとなり、ハリコシ増加作用に強く関与していると考えられた。

このような研究結果が明らかになっており(文献6:2007)、ユーカリエキスに毛髪のハリコシ増加作用があることが示唆されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ユーカリ葉エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2018年)

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ユーカリ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ユーカリ葉エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの「Safety Assessment of Eucalyptus globulus (Eucalyptus)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2018)によると、

  • ユーカリ葉エキスは、現在の化粧品への使用状況および配合量において安全である

と記載されています。

詳細な試験データはみあたりませんが、一般的に通常化粧品の配合量において皮膚刺激および皮膚感作の報告はないため、皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性の補足として、ユーカリオイルは微量でも皮膚感作が起こることが報告されていますが、ユーカリエキスおよびユーカリ葉エキスでは皮膚感作の報告はみつけられず、またユーカリエキスおよびユーカリ葉エキスはセラミド産生促進作用目的でアトピー性皮膚炎も顧客層としているスキンケア化粧品にも配合されており、その長い販売実績にもかかわらず、アレルギー性接触皮膚炎などの報告がないことから、一般的にはアトピー性皮膚炎の有無にかかわらず、皮膚感作はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ユーカリ葉エキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ユーカリ葉エキスは△(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ユーカリ葉エキスは保湿成分、抗菌成分、収れん成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 抗菌成分 収れん成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Eucalyptus globulus (Eucalyptus)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Tentative Report for Public Comment.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,385.
  3. 林真一郎(2016)「ユーカリ」メディカルハーブの事典 改定新版,180-181.
  4. マリア・リス・バルチン(2011)「ユーカリ精油類」アロマセラピーサイエンス,415-422.
  5. 高木 豊, 他(1999)「最近のセラミド研究開発の現状」Fragrance Journal(27)(10),9-16.
  6. 森脇 繁, 他(2007)「毛髪の加齢に関連する分子の探索とユーカリエキスの作用」Fragrance Journal(35)(12),22-27.
  7. 大林 恵, 他(1998)「植物抽出物の細胞外マトリックス分解酵素に対する阻害作用」日本化粧品技術者会誌(32)(3),272-279.

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