ユーカリ葉エキス(ユーカリエキス)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 防腐剤 抗菌成分 収れん成分
ユーカリエキス
[化粧品成分表示名称]
・ユーカリエキス、ユーカリ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ユーカリエキス

[慣用名]
・ユーカリエキス、ユーカリ抽出液

フトモモ科植物ユーカリの葉から抽出して得られるわずかに特異なにおいのある淡黄褐色~褐色の透明な粘性液です。

成分組成は、

  • 精油(シオネール、カンフェン、ピネン)
  • フラボノイド類(クェルセチン、ルチン、オイカリプチン)
  • タンニン類

などから構成されています。

ユーカリはオーストラリアの原産で本州中部以南によく生育しており、コアラの餌として有名ですが、抗菌作用・防腐作用・鎮痛作用・解熱作用などがあり、インフルエンザの症状(鼻水・痰・咳など)やハウスダストによる空気の汚染防止、創傷や炎症などの改善に用いられます。

また、ユーカリ油は虫が嫌うにおいなので虫除けスプレーや虫除けクリームにも用いられます。

化粧品に配合される場合は、抗菌効果・血行促進効果・収れん効果があるので、デオドランド製品やニキビ防止を目的とする製品への配合されたり、清涼感が求められる製品への清涼剤として使用されます。

また、セラミド回復促進作用による角層水分蒸発量の低下および角層水分量の増加が認められているため、セラミド類や合成セラミド類と一緒に使用されます。

さらに、毛髪のハリおよびコシの増加に強く関わっていると考えられており、ヘアケア製品にも使用されます。

1999年に花王株式会社によって報告されたセラミド産生促進物質の探索によると、

ヒト荒れ肌モデルを用いて表皮のセラミド産生を促進する物質の探索を行った結果、ユーカリエキスに優れた効果を見出し、以下のグラフのように、

ユーカリエキスのセラミド1回復促進作用

1%ユーカリエキス塗布でセラミド1の量が2倍以上に増えており、また以下のグラフでは、

ユーカリエキスの総セラミド回復促進作用

1%ユーカリエキス塗布で総セラミド量が約2倍近くまで増えています。

さらにセラミドが増えたことにより、以下のグラフのように、

ユーカリエキスのTEWL(経皮水分蒸発量)抑制作用

1%ユーカリエキス塗布で、経皮の水分蒸発量が約3倍以上抑制され、また以下のグラフのように、

ユーカリエキス塗布による角層水分量への作用

1%ユーカリエキス塗布で、角層コンダクタンス値(∗1)が向上し、角層水分量の増加も認められています。

∗1  コンダクタンスは皮膚に電気を流した場合の抵抗を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

これらの研究結果が明らかになっており、セラミド回復促進作用による水分保持能が認められています(文献2:1999)

ただし、注意すべき点として、これらの試験は1%ユーカリエキスで行われていますが、スキンケア化粧品などに配合されているユーカリエキス濃度はかなり低いため、過度に期待すべきではないと考えられます。

また、2007年に花王株式会社によって報告された毛根におけるVEGF遺伝子発現量の比較試験によると、

前提として、VEGF発現遺伝子は加齢により減少の一途を辿り、明確に毛髪にハリコシのある20代,30代,40代,50代とハリコシのない20代,30代,40代,50代とを比較して解析した結果、ハリコシのない人は毛根におけるVEGFの発現量が有意に低いことが判明しています(文献3:2007)

ユーカリエキスには頭皮に継続的に塗布することにより新しく生えてくる毛髪のハリコシ、ツヤを改善する効果が見出されており、そこで3%ユーカリエキス配合化粧水およびユーカリエキスを含まないプラセボを男女10人(24~40歳)の頭皮にそれぞれ半分ずつ1日2回3週間連続使用した。

試験開始時と終了時に頭髪をそれぞれ50本ずつ抜いて毛根におけるVEGF遺伝子発現量を試験の開始前後で比較評価したところ、以下のグラフのように、

ユーカリエキス塗布によるVEGF遺伝子発現量比較

塗布開始前(0週)では、プラセボ塗布側と3%ユーカリエキス配合化粧水側の毛根におけるVEGF発現量に差は認められなかったが、3週後に回収した毛根のVEGF発現量を比較すると、プラセボ側に比べて3%ユーカリエキス配合化粧水塗布側で約1.4倍の増加が認められた。

また、正常ヒト表皮細胞を用いた実験においてもユーカリエキスはVEGFのmRNA量およびタンパク量を増加する作用を有していることが明らかになっており、今回の結果との一致がみられた。

これらの結果からユーカリエキスはVEGFを増加させる作用をもっていることが明らかとなり、ハリコシ増加作用に強く関与していると考えられた。

このような研究結果が明らかになっており、ユーカリエキスに毛髪のハリコシ増加作用があることが示唆されています(文献3:2007)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ユーカリ葉エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2018年)

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ユーカリ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー・副作用)について

ユーカリ葉エキスの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Eucalyptus globulus (Eucalyptus)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2018)によると、

  • ユーカリ葉エキスは、現在の化粧品への使用状況および配合量において安全である

と記載されています。

詳細な試験データはみあたりませんが、一般的に通常化粧品の配合量において皮膚刺激および皮膚感作の報告はないため、皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性の補足として、ユーカリオイルは微量でも皮膚感作が起こることが報告されていますが、ユーカリエキスおよびユーカリ葉エキスでは皮膚感作の報告はみつけられず、またユーカリエキスおよびユーカリ葉エキスはセラミド産生促進作用目的でアトピー性皮膚炎も顧客層としているスキンケア化粧品にも配合されており、その長い販売実績にもかかわらず、アレルギー性接触皮膚炎などの報告がないことから、一般的にはアトピー性皮膚炎の有無にかかわらず、皮膚感作はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ユーカリ葉エキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ユーカリ葉エキスは△(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ユーカリ葉エキスは保湿成分と安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 安定化成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2018)「Safety Assessment of Eucalyptus globulus (Eucalyptus)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/TR754.pdf> 2018年6月10日アクセス.
  2. 高木 豊, 堀 公彦(1999)「最近のセラミド研究開発の現状」Fragrance Journal(27)(10),9-16.
  3. 森脇 繁, 田口 浩之(2007)「毛髪の加齢に関連する分子の探索とユーカリエキスの作用」Fragrance Journal(35)(12),22-27.

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