ユズ果実エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 収れん成分 バリア機能 毛髪保護剤
ユズ果実エキス
[化粧品成分表示名称]
・ユズ果実エキス

[医薬部外品表示名称]
・ユズエキス、ユズセラミド

ミカン科植物ユズ(学名:Citrus junos)の果実からエタノール溶液で抽出されたエキスです。

ユズ果実エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献2:2006;文献3:-;文献4:2018)

日本では、ユズの酸味と芳香を珍重し、果汁はポン酢、果皮は吸い口に、他にも和菓子、ジャム、柚コショウ、薬味など多岐にわたって料理に利用され、また熟した果実は入浴剤として利用されます(文献4:2018)

漢方としてのユズの薬理作用は、皮膚表面の血管を刺激して血液循環を促進し、冷え症や神経痛、腰痛、打撲傷、捻挫などに効果があり、冬至のユズ湯はひびやあかぎれを治癒し、風邪を予防することが知られています(文献5:2011)

化粧品に配合される場合は、

  • 保湿作用
  • 血行促進作用
  • 角質剥離作用

これらの作用があるとされており、くすみの素になる古い角質を除去して新しい皮膚に潤いを与え、透明感のある滑らかな肌へ導く目的で化粧水、スキンケア化粧品、ボディケア製品、洗顔料、メイクアップ化粧品、マスクなどに使用されます(文献2:2006)

精油成分であるシトラールおよびミルセンにはチロシナーゼ活性阻害作用があるため、色素沈着抑制作用を有している場合も考えられますが、含有量が少ないため、有意な効果は期待できないと考えられます。

また、2009年にはユズに皮膚の角質層と類似のセラミド(スフィンゴ脂質)が多く含まれていることが発見され、このセラミドを含んだユズセラミドが開発されています(文献6:2011)

またユズセラミドには、バリア機能改善による保湿作用、肌荒れ改善作用およびダメージ毛の改善などの毛髪保護作用が認められています(文献6:2011)

ユズセラミドにおけるバリア機能改善による保湿作用および毛髪保護作用

ユズセラミドにおけるバリア機能改善による保湿作用および毛髪保護作用に関しては、一丸ファルコスの肌荒れ改善作用および毛髪保護作用の検証によると、

ヒト前腕屈折部に10%ラウリル硫酸ナトリウムを塗布し、肌荒れ部位をつくり、この肌荒れ部位にユズセラミドを塗布し、洗い流した後、水分蒸発量(TEWL)と角層水分量を測定したところ、以下のグラフのように、

ユズセラミドの水分蒸発量(TEWL)の変化

ユズセラミドの角層水分量の変化

ユズセラミドを塗布した肌荒れ部位の水分蒸発量(TEWL)が減少し、バリア機能の改善が示唆され、またこの部位の角層水分量も増加したため、保湿作用が確認された。

さらにブリーチで損傷したダメージ毛を作成し、ユズセラミドの毛髪保護作用を滑り性測定試験、引張強度測定試験により検討したところ、以下のグラフのように、

ユズセラミドによる毛髪保護作用(滑り性)

ユズセラミドによる毛髪保護作用(引張強度)

ブリーチによって滑り性の悪化したダメージ毛がユズセラミド処理することにより改善がみられ、またブリーチによって応力の低下したダメージ毛がユズセラミドで処理することによって低下していた毛髪強度が健常毛と同等にまで改善された。

このように報告されており(文献6:2011)、ユズセラミドにはバリア機能改善による肌荒れ改善作用および毛髪保護作用が認められています。

ただし、入手できる試験データの範囲では、ユズセラミドの濃度および塗布期間などが明らかにされておらず、また実際の化粧品での配合は1%未満であると想定されるため、試験よりも穏やかな作用傾向であると考えられます。

さらに注意すべきなのは、化粧品成分表示に記載されているユズ果実エキスは必ずしもユズセラミドというわけではなく、一般的なユズ果実エキスはユズセラミドのような肌荒れ改善作用および毛髪保護作用を有していないということです。

化粧品表示名称としてのユズ果実エキスは、医薬部外品名としてユズエキスとユズセラミドがあり、ユズエキスはセラミドをほとんど含有せず、ユズセラミドはセラミドを中心に溶解させた独自抽出によるものです。

化粧品表示名称はどちらもユズ果実エキスと記載されるため誤解を招きやすく、販売媒体のユズ果実エキスの解説にユズセラミドと記載がなければ、通常のユズ果実エキスだと推測できますが、どちらか判断がつかない場合は販売メーカーに問い合わせて確認してください。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ユズ果実エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

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ユズ果実エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ユズ果実エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に1.2%ユズ果実エキスを単一閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激の兆候はなかった(Personal Care Products Council,2015a)
  • [動物試験] 3匹のウサギを用いて1.2%ユズ果実エキスの皮膚刺激性試験を実施したところ、非刺激剤であった(Personal Care Products Council,2015b)
  • [動物試験] 30匹のモルモットを用いて1.2%ユズ果実エキスの皮膚感作性試験を実施したところ、非感作剤であった(Personal Care Products Council,2015c)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激はおよび皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ユズ果実エキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ユズ果実エキスは■(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ユズ果実エキスは収れん成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 収れん成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2015)「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」,<https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR691.pdf> 2018年6月26日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,385.
  3. “丸善製薬株式会社”(-)「原料事典 ユズ」,<http://www.maruzenpcy.co.jp/jiten/ke/y/yuzu.html> 2018年6月26日アクセス.
  4. ジャパンハーブソサエティー(2018)「ユズ」ハーブのすべてがわかる事典,59.
  5. 鈴木 洋(2011)「柚(ゆず)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,468-469.
  6. 坪井 誠(2011)「天然成分を利用した機能性活性成分の開発」オレオサイエンス(11)(5),155-160.

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