メチルグルセス-20とは…成分効果と毒性を解説


・メチルグルセス-20
[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレンメチルグルコシド
化学構造的に単糖の一種であるグルコースにメチル基を結合したメチルグルコシドに分子量・物質量20のPEG(ポリエチレングリコール)を付加重合した水溶性の多鎖型ポリオキシアルキレンアルキルエーテルです。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、スキンケア化粧品、ミスト状化粧水、シート&マスク製品、ボディケア製品などに使用されます(文献1:2016)。
皮表柔軟化および保護膜形成による保湿作用
皮表柔軟化および保護膜形成による保湿作用に関しては、一般的な保湿剤と比較してやや厚み・膜感のあるさっぱりした感触が特徴であり、分子量は1,074でほとんど皮膚浸透はせず(文献1:2016)、皮表で皮膚柔軟効果を示します(文献3:2015)。
メチルグルセスには、メチルグルセス-10とメチルグルセス-20が存在しますが、これらを比較すると以下のマトリクス表のように、
メチルグルセス-10と比較して、メチルグルセス-20はやや皮膜感を形成し、ややさっぱりした使用感を付与します(文献2:2012)。
このような背景から、化粧水、ミスト化粧品、さっぱり系スキンケア化粧品などに使用されており、また洗い上がりのさっぱり感を付与する目的で洗顔料に使用されることもあります。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
メチルグルセス-20の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、
- [ヒト試験] 56人の被検者にそれぞれ20%メチルグルセス-20水溶液(10人)、40%メチルグルセス-20水溶液(12人)、60%メチルグルセス-20水溶液(12人)、80%メチルグルセス-20水溶液(13人)および100%メチルグルセス-20原液(9人)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激や皮膚感作の兆候はなく、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Product Investigations Inc,1976)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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メチルグルセス-20は保湿成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:保湿成分
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文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Methyl Glucose Polyethers and Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(2_Suppl),12S-40S.
- 日油株式会社(2012)「マクビオブライド MGシリーズ」技術資料.
- 宇山 侊男, 他(2015)「メチルグルセス類」化粧品成分ガイド 第6版,54.
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