マヨラナ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗炎症成分 毛髪保護剤 育毛剤 美白成分
マヨラナ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・マヨラナ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・マヨラナエキス

シソ科植物マヨラナ(学名:Origanum majorana 英名:Sweet marjoram)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

マヨラナ葉エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によってかなり変化がありますが、主に、

  • フラバノン
  • フラボン
  • タンニン

などで構成されています(文献1:2018)

一般的にはマジョラムと呼ばれ、古代ギリシャ時代から薬用・料理と広く使用されてきており、ギリシャ神話では愛の女神アフロディーテにより誕生したとされ、名誉と愛と多産のシンボルとして新郎新婦の幸運と長寿を願い、冠に編み込む習わしがありました(文献3:2018)

古代ギリシャでは、遺族を慰め、死者が安らかに眠れるよう墓地に植えられ、勢いよく育つと死者が来世で幸せに暮らしていると信じられたと伝えられています(文献3:2018)

中世の修道院では、育てたマジョラムを性欲抑制や精神的な治療に用い、船乗りたちは渡航時に万能薬草として必ず携帯したといわれています(文献3:2018)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品をはじめ、ボディ&ハンドケア製品、日焼け止め製品、ヘアケア&頭皮ケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、パック&マスクなど様々な製品に使用されます(文献1:2018;文献2:2017)

また、毛髪保護作用および育毛作用は、まつ毛または眉毛にも当てはまるため、まつ毛美容液をはじめメイクアップとまつ毛ケアを同時にできるという訴求でアイライナー、アイブロウ、マスカラ、眉マスカラなどにも使用されます。

ホスホリパーゼA2活性抑制による抗炎症作用

ホスホリパーゼA2活性抑制による抗炎症作用に関しては、以下の紫外線による炎症の仕組み図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

紫外線による炎症の仕組み

紫外線を浴びた皮膚はまず最初に活性酸素が発生し、活性酸素の働きによって様々な遺伝子の発現を誘導するタンパク質(転写因子)であるNF-κB(エヌエフカッパビー)が活性化します。

NF-κBが活性化すると、炎症性サイトカインの産生が誘導され、また活性化した炎症性サイトカインは炎症性物質をつくるホスホリパーゼA2という酵素を活性化し、活性化したホスホリパーゼA2は炎症性物質の産生を促進させて炎症を発生させます。

マヨラナ葉エキスにはホスホリパーゼA2活性抑制作用が明らかにされており、紫外線による表皮層および真皮層での炎症を抑制する作用が認められています(文献1:2018)

17型コラーゲン産生促進による毛髪保護作用

17型コラーゲン産生促進による毛髪保護作用に関しては、まず17型コラーゲンの毛髪における働きを解説しておきますが、以下の毛髪画像をみてもらえるとわかるように、

毛髪幹細胞における17型コラーゲンの働き

毛髪のバルジ領域には毛包幹細胞および色素幹細胞があり、毛包幹細胞は新たな毛髪をつくるための細胞を供給と隣り合って存在する黒い毛髪の維持に深く関与している色素幹細胞をシグナルを介して維持しています。

この毛包幹細胞をバルジ領域に接着・安定化しているのが17型コラーゲンであり、最新の研究によると性別に関係なく加齢による17型コラーゲンの分解によって毛包幹細胞の接着が維持できなくなり、毛包幹細胞が肝細胞性を失い、角化細胞へ分化してしまい、毛包幹細胞の減少によって新しい毛髪がつくられなくなることで、薄毛が促進されることが明らかになっています。

丸善製薬は、マヨラナ葉エキスに17型コラーゲンの産生を促進させる作用を明らかにしており(文献2:2017)、加齢による17型コラーゲン分解を抑制し、薄毛を抑制することが期待されますが、試験詳細(公開不可)をみるかぎり、かなり穏やかな17型コラーゲン産生促進作用であるため、化粧品に配合される場合の薄毛の抑制作用もかなり穏やかなものであると考えられます。

5α-リダクターゼ阻害作用による育毛作用

5α-リダクターゼ阻害作用による育毛作用に関しては、前提知識として男性方脱毛症の仕組みを解説しておくと、以下の毛髪における男性ホルモン作用の仕組み図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

毛髪における男性ホルモン作用の仕組み

男性ホルモンの一種であるテストステロンは毛髪の毛乳頭細胞内で5α-リダクターゼという酵素により強力な男性ホルモン作用を有するDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、これが細胞内の男性ホルモンレセプターと結合することで男性型脱毛症の症状発生の引き金となるとされています。

つまり、5α-リダクターゼを抑制することで、DHTへの変換も抑制され、結果的に男性型脱毛症に伴う毛髪症状が改善されると考えられます。

丸善製薬は、マヨラナ葉エキスに5α-リダクターゼを阻害する作用を明らかにしており(文献2:2017)、脱毛の抑制が期待できますが、化粧品に配合される場合はかなり穏やかな阻害作用であると考えられます。

アドレノメジュリン(ADM)抑制による色素沈着抑制作用

アドレノメジュリン(ADM)抑制による色素沈着抑制作用に関しては、前提知識としてADMの働きを解説しておくと、以下の紫外線によるメラノサイト活性化の仕組み図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

メラニン合成の仕組み

紫外線を浴びた皮膚はまず最初に活性酸素を発生させて、様々な段階を経てメラノサイトに紫外線情報を届けることでメラノサイトでメラニンの生合成が活性化します。

この紫外線の情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)のひとつにADMがあり、ADMにはメラノサイトを刺激してメラニン産生量を増加させる働きがあります(文献4:2011)

また、ADMにはメラノサイトのデンドライト(触手)の本数を増加させ、また長さを伸ばし、メラノサイトの肥大化を促進させる働きもあります(文献5:2011)

2011年にポーラ化成工業は、マヨラナ葉エキスにADM抑制作用があることを明らかにしており、ADM添加によるメラニン産生増加キャンセル作用およびメラノサイト肥大化抑制(デンドライト本数抑制)が認められています(文献5:2011)

複合植物エキスとしてのマヨラナ葉エキス

プランテージ<モイスト>という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角層水分量上昇作用
  2. 角層のゴワつき改善
  3. 肌内部の保湿力増強

とされており、それぞれ保湿ポイントの違う植物エキスの相乗効果によって天然保湿因子(NMF)の元となるファラグリン産生促進、みずみずしく整った角層維持に大きな効果を果たす酵素であるカスパーゼ-14の発現向上およびヒアルロン酸産生促進で多角的に角層の潤いを増強維持するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はプランテージ<モイスト>であると推測することができます(文献6:2016)

スポンサーリンク

マヨラナ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

マヨラナ葉エキスの現時点での安全性は、重大な皮膚刺激またはアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

重大な皮膚刺激またはアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
マヨラナ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、マヨラナ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

マヨラナ葉エキスは保湿成分、抗炎症成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 抗炎症成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “丸善製薬株式会社”(2018)「マジョラム」技術資料
  2. “丸善製薬株式会社”(2017)「マジョラムエキス」技術資料
  3. ジャパンハーブソサエティー(2018)「マジョラム」ハーブのすべてがわかる事典,48.
  4. “ポーラ化成工業株式会社”(2011)「遺伝子研究からシミの一因を発見 メラノサイト活性化因子ADMがメラニン産生量を増加させることを確認」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20110921.pdf> 2018年7月25日アクセス.
  5. “ポーラ化成工業株式会社”(2011)「メラノサイト活性化因子ADMの新たな作用を発見するとともにADMの作用を抑制するエキスを配合したルシノールCXを開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20111122.pdf> 2018年7月25日アクセス.
  6. 丸善製薬株式会社(2016)「プランテージ<モイスト>」技術資料.

スポンサーリンク

TOPへ