ベタインとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 帯電防止
ベタイン
[化粧品成分表示名称]
・ベタイン

[医薬部外品表示名称]
・トリメチルグリシン

ビート糖(甜菜糖)の副産物である糖蜜から抽出して得られる化学的に純粋な天然のアミノ酸誘導体(トリメチル化グリシン)です。

天然物質ですが、アミノ酸であるグリシンをトリメチル化処理した化学構造と似ているため、トリメチルグリシンまたはグリシンベタインとも呼ばれます。

乾燥時における優れた保水性を有しており、化粧品にも広く汎用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、頭皮&ヘアケア製品、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献2:1991;文献4:1996;文献5:1997;文献6:1996)

角層柔軟化、角層水分量増加および水分保持能による保湿作用

角層柔軟化、角層水分量増加および水分保持能による保湿作用に関しては、1991年にP&Gジャパン(旧ウエラジャパン)によって公開されたベタインの吸湿性および水分保持性の検証によると、

相対湿度54%-85%におけるベタインの吸湿性をグリセリンおよびPGと比較して測定したところ、以下のグラフのように、

ベタインの吸湿性

ベタインは、グリセリンと同等以上の吸湿性を示し、相対湿度70%から80%にかけて顕著な吸湿性を示した。

またベタインの水分保持性を代表的な保湿剤であるPG、ソルビトール、グリセリンおよびグリシンと比較測定したところ、

ベタインの水分保持性

ベタインは、他の保湿剤と比較して顕著な水分保持性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:1991)、ベタインに角層柔軟化、角層水分量増加および水分保持能による保湿作用が認められています。

また1996年に旭化成工業によって公開された技術情報によると、

化粧品に汎用的に用いられる保湿剤としてグリセリン、BGDPGなどの多価アルコールやソルビトールなどの糖類、ヒアルロン酸Naなどの高分子などがある。

ただし、これらの保湿剤は使用直後の保湿力は十分であるものの、効果が長く続かないという欠点があるため、この問題を解決するために検討したところ、ベタインと多価アルコールを併用したものに著しい改善効果があることを見出した。

試験試料として、

試料1:1%ベタイン、40%グリセリンおよび59%軟膏
試料2:10%水、90%軟膏
比較1:10%尿素、市販保湿剤

これらを用いて塗布前、塗布直後および塗布2時間後の伝導度を測定(∗1)したところ、以下の表のように、

∗1 角層に水分が多いと電気が流れやすくなるため、伝導度が高い(電気が流れやすい)ことは、水分量が多いことを意味します。

試料 伝導度
塗布前 塗布直後 1時間後 2時間後
試料1 23.2 ± 8.0 223.6 ± 72.3 101.5 ± 37.3 87.8 ± 33.9
試料2 23.1 ± 8.6 209.1 ± 62.6 30.0 ± 15.9 35.4 ± 21.5
比較1 24.6 ± 9.7 641.5 ± 107.2 69.3 ± 33.0 64.0 ± 25.4

いずれの保湿剤においても塗布直後には角層水分量が上昇し、とくに市販保湿剤は、ほかの試料の約3倍の値を示し、一見最も優れた保湿性を有するように思われたが、時間の経過にともなって角層水分量は低下し、試料2と比較1は塗布前に比べて優位性がなくなった。

さらに2時間経過後の角層水分量を比較すると、市販保湿剤よりも試料1のほうが有意に高く、試料1は市販保湿製剤より水分保持能が優れていることがわかった。

この結果から、ベタインと多価アルコール、とくにグリセリンまたはBGを併用することで保湿持続性を向上させることができると考えられた。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:1996)、ベタインとグリセリンまたはBGを併用することで保湿持続性の向上が認められています。

さらに1997年に味の素によって公開された技術情報によると、ベタイン(0.1%-10%)、PCA-Na(0.05%-5%)およびアミノ酸(0.02%-3%)(∗2)を併用することで、塗布時にベタつきがなく、肌へのなじみがよくしっとり感があり、かつ保湿性が向上することが報告されています(文献5:1997)

∗2 アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、リジン、アルギニンから選ばれる2種以上の混合物となります。

ほかにも1996年にサンスターによって公開された技術情報によると、ベタインと、レイシ柄エキスヨモギ葉エキスまたはカワラヨモギ花エキスのいずれか1種以上を併用することで保湿性、保湿持続性および使用感が向上すると報告されています(文献6:1996)

帯電防止作用

帯電(静電気)防止作用に関しては、ベタインは陽イオンと陰イオンの両方を持ち合わせているため天然の両性界面活性剤の側面があり、トリートメントなどのヘアケア製品に帯電防止剤として配合されることがあります。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ベタインの配合状況調査結果(2013年)

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ベタインの安全性(刺激性・アレルギー)について

ベタインの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 目刺激性:なし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 石鹸の刺激を低減するベタインの有効性試験を健康な被検者28人および21人に実施したところ、10%濃度までのベタインを含む石鹸はベタインを含まない石鹸よりも刺激が少ないが、配合量が多ければ多いほど刺激が少なくなるわけではないことが判明した
  • [ヒト試験] 26人の被検者に5%ベタインを含む製剤を24時間閉塞パッチ下で適用したところ、刺激性は観察されなかった。またいくつかの製剤で抗刺戟性が観察された
  • [ヒト試験] 40人の被検者(男性20人、女性20人)に95%純度のベタイン3.5%を含む2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を4週間にわたって肘の内側に適用し、4週間後および試験部位洗浄の6時間後にTEWl(経表皮水分蒸散量)を測定したところ、試験の終了時に刺激の兆候が観察され、紅斑、剥離、粗さ、掻痒および丘疹の症状について評価した。評価の結果、ベタインはラウリル硫酸ナトリウムによる刺激効果を軽減することが判明し、抗刺激性を有していると考えられた

P&Gジャパン(旧ウエラジャパン)の安全試験データ(文献2:1991)によると、

  • [動物試験] ウサギの背部皮膚へベタイン水溶液を塗布後、一次刺激性を判定したところ、刺激性は認められなかった
  • [ヒト試験] 被検者の前腕内側部へベタイン水溶液を塗布後、刺激性を判定したところ、発赤などの刺激性は認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

P&Gジャパン(旧ウエラジャパン)の安全試験データ(文献2:1991)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼粘膜にベタイン含有製剤を滴下後、眼刺激を判定したところ、眼刺激性は認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者の背中または上腕に8.7%ベタインを含む保湿化粧水0.2mLを半閉塞で反復パッチ試験(HRIPT)したところ、皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者の背中に5%ベタインを含む試験物質0.2mLを閉塞パッチ適用したところ、皮膚刺激性およびアレルギー性接触皮膚炎の兆候はなかった

P&Gジャパン(旧ウエラジャパン)の安全試験データ(文献2:1991)によると、

  • [動物試験] モルモットにベタイン水溶液に対するマキシマイゼーション皮膚感作試験を実施したところ、皮膚感作反応は認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ニキビの原因となるアクネ菌の増殖性について

2009年にサティス製薬によって公開された研究調査によると、

ニキビ用化粧品の開発に役立つアクネ菌(Propionibacterium acnes)の資化性試験を用いて研究調査を行った。

資化性(しかせい)とは、微生物がある物質を栄養源として利用し増殖できる性質であり、化粧品に汎用されている各保湿剤がアクネ菌の栄養源になりうるかを検討するために、14種類の保湿剤(BGグリセリンDPGジグリセリントレハロースグルコースソルビトールプロパンジオールキシリトールPCA-Na、ベタイン、ラフィノースGCS(グリコシルトレハロース/加水分解水添デンプン混合物))をアクネ菌に与えてその増殖率を測定したところ、以下のグラフのように、

アクネ菌の保湿剤に対する資化性

縦軸の資化性スコア(吸光度)が高いほど菌が増殖していることを示しており、無添加と同等の増加率の場合はアクネ菌に対する資化性は非常に低いと考えられ、ベタインは無添加と同等の増加率であるため、アクネ菌の増殖性は認められなかった。

このような検証結果が報告されており(文献3:2009)アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ベタインは保湿成分、界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Alkyl Betaines as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 三田 康蔵(1991)「べタインの化粧品への応用とその安全性」Fragrance Journal(19)(2),70-77.
  3. “株式会社サティス製薬”(2009)「化粧品でアクネ菌が増える?」, <http://www.saticine-md.co.jp/exam/trustee_service/release/20090519.html> 2019年1月4日アクセス.
  4. 旭化成株式会社(1996)「保湿力の高い皮膚外用剤」特開平8-20520.
  5. 味の素株式会社(1997)「化粧料」特開平9-87126.
  6. サンスター株式会社(1996)「皮膚化粧料組成物」特開平8-133947.

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