プロポリスエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
プロポリスエキス
[化粧品成分表示名称]
・プロポリスエキス

ミツバチ科昆虫ミツバチ(学名:apis mellfera 英名:honey)が採取してきた種々の植物の樹液と自らの唾液(酵素)を混ぜ合わせてつくる樹枝状物質からエタノールで抽出したエキスです。

国によってミツバチが採取する植物が異なり、産地や起源植物が異なることで特有成分も大きく異なることが明らかになっていますが、ここでは最も有名であり、国内での使用頻度が最も高いブラジル産をもとに解説していきます。

ブラジル産プロポリスの起源植物は、キク科のアレクリン・ド・カンポ(学名:Baccharis dracunculifolia)であり、抗菌物質を豊富に含む新芽を集めて作られているという特徴があります(文献5:2000)

プロポリスエキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 樹脂・樹液
  • ミツロウ
  • 精油
  • 花粉
  • 有機酸
  • ミネラル:マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、銅、亜鉛
  • ビタミン:B₁,B₂,E、ナイアシン、葉酸
  • 桂皮酸誘導体:アルテピリンC、p-クマル酸、バッカリン

などで構成されています(文献6:1987;文献7:1994)

プロポリス(propolis)とは、pro(前)+polis(都市 = コロニー)なるギリシャ語に由来し、巣を守る物質を意味しています。

ミツバチは種々の植物から樹枝状物質を集めて帰巣し、これを巣の内側やくぼみに薄く塗ったり、巣箱の間隙や巣門に塗布して冷気や水の侵入を防いだり、巣の修理・補強に用いています(文献1:1982)

また、プロポリスの強力な殺菌・抗菌力により巣の中をほぼ無菌状態に保つことが可能で、巣の中の子の生命と環境をバクテリアから守ることができます(文献2:2002)

プロポリスは、紀元前300年頃からヒトに利用され、古代エジプト人は死体の防腐保存のために使用し、1899-1902年に起こった南ア戦争(ボーア戦争)の際には、ワセリンにプロポリスを調合したプロポリスワセリンが傷の治療に用いられたと記録されており(文献1:1982)、これらはプロポリスの抗菌活性(文献3:1998)、止血作用、創傷治癒作用(文献4:1996)などが機能し、効果を発揮していたと推測されます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、ハチミツをコンセプトにした製品、スキンケア化粧品、ハンド&ボディケア製品、メイクアップ化粧品、リップケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、シート&マスク製品など様々な製品に使用されています(文献2:2002)

効果・作用についての補足

プロポリスエキスには、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、育毛作用、コラーゲン合成作用および色素沈着抑制作用など様々な作用が報告されていますが(文献2:2002)、動物およびヒトでの臨床データがなく、化粧品配合量における効果という点で、現段階では文献がないまたは探せていないため、これらの作用については保留とし、文献が見つかりしだい追補します。

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プロポリスエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

プロポリスエキスの現時点での安全性は、

  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):強感作物質

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

ドイツのハンブルグ大学病院皮膚科の臨床データ(文献9:1987)によると、

  • プロポリスまたはプロポリスエキスのミツバチ製品は、アレルギー性接触皮膚炎の症例数増加の原因となっています。以前は養蜂業者でしか観察されていませんでしたが、今日ではプロポリスアレルギーは主に天然化粧品や様々な病気の自己治療にプロポリスを使用している人に見られます。1887年から約200のプロポリス皮膚炎の症例が観察され、そのうち養蜂業者は25%程度であった。プロポリスに含まれるほとんどすべてのフラボノイド配糖体およびフェノール類がポプラのつぼみ油に含まれる成分と同一であるため、ポプラのつぼみ油に含まれる成分がプロポリス過敏症の原因であると考えうる

池田回生病院皮膚科の臨床データ(文献8:2002)によると、

  • 1998-2000年までの3年間にパッチテストした35例のうち9例でプロポリス皮膚炎が確認された

– 個別事例 –

富山医科薬科大学皮膚科の臨床データ(文献11:1999)によると、

  • [ヒト試験] 76歳の主婦が1999年3月よりブラジル産プロポリ原液を外用したところ、同月下旬より顔、手、背中などの塗布部に一致して紅斑が出現した。パッチテストではプロポリス原液の10倍およびペルーバルサムで陽性、未精製プロポリス原塊および水抽出プロポリスでは陰性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、強感作性物質と複数報告されているため、皮膚感作が起こる可能性が高いと考えられます。

プロポリス中の強感作物質は、カフェ酸エステル(1,1-dimethylallyl caffeic acid ester)であることが見出されており(文献9:1987;文献10:1987)、その他にもプロポリス中に弱い感作物質が20種類以上報告されています。

プロポリスは、強感作物質で接触アレルギーが成立しやすく、成立後も外用を続けると、短期間(約3日)で接触皮膚炎症候群の症状を呈するに至り、また接触アレルギー成立後の内服は全身性接触型皮膚炎も併発するため、接触皮膚炎が疑われた場合は直ちに外用および内服を中止する必要があります(文献8:2002)

プロポリスは約200種の成分から成るにもかかわらず、その感作物質として明らかになっているのはカフェ酸エステル(1,1-dimethylallyl caffeic acid ester)および約20種の弱い感作物質だけであり、これら以外の成分はまだ明らかになっていません。

プロポリスは、種々のつぼみをミツバチが集めてくるので、感作物質の同定は困難であると考えられ、プロポリスの使用を控えることが望ましいと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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プロポリスエキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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文献一覧:

  1. 滝野 慶則, 他(1982)「プロポリス,その化学成分と生物活性」ミツバチ科学(3)(4),145-152.
  2. 堤 龍彦, 他(2002)「ミツバチ由来原料の香粧品への応用」Fragrance Journal(30)(3),17-24.
  3. T Hashimoto, et al(1998)「Anti-Helicobacter pylori Compounds in Brazilian Propolis」Natural medicines(52)(6),518-520.
  4. T Tatefuji, et al(1996)「Isolation and Identification of Compounds from Brazilian Propolis which Enhance Macrophage Spreading and Mobility」Biological and Pharmaceutical Bulletin(19)(7),966-970.
  5. 加藤 学, 他(2000)「フィールドで観察されたブラジル産プロポリス起源植物」ミツバチ科学(21)(4),169-178.
  6. 水野 端夫, 他(1987)「プロポリスの特性と作用」Fragrance Journal(15)(2),20-28.
  7. 松田 忍(1994)「プロポリス-健康補助食品-」ミツバチ科学(15)(4),145-154.
  8. 須貝 哲郎(2002)「皮膚科学からみたプロポリス接触皮膚炎の現状」Fragrance Journal(30)(3),33-37.
  9. B M Hausen, et al(1987)「Propolis allergy. (Ⅰ). Origin, properties, usage and literature review.」Contact Dermatitits(17)(3),163-170.
  10. B M Hausen, et al(1987)「Propolis allergy. (Ⅱ). The sensitizing properties of 1,1-dimethylallyl caffeic acid ester.」Contact Dermatitits(17)(3),171-177.
  11. 北川 太郎, 他(1999)「プロポリス皮膚炎」アレルギー(48)(8-9),1090.

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