ブクリョウエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗シワ成分 抗糖化
ブクリョウエキス
[化粧品成分表示名称]
・ブクリョウエキス

[医薬部外品表示名称]
・ブクリョウエキス

サルノコシカケ科植物マツホド(学名:Wolfiporia extensa)の外層をほとんど取り除いた菌核からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ブクリョウエキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 多糖体:パヒマン
  • トリテルペノイド類:エブリコ酸、パキマ酸
  • エルゴステロール

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2017)

マツホドは、日本全土および中国、北米に分布し、主に伐採後4~5年たったマツ科の植物、アカマツ、シナアカマツなど針葉樹の根に寄生する担子菌類・木材腐朽菌の一種であり、その菌核の形は不規則な塊状、球状、長円形、長楕円形などで大小様々です。

生薬部位は菌糸の塊である菌核で、生薬名をブクリョウ(茯苓)といい、松の神霊の気が伏してできたものという「伏霊」に由来します。

水性エキスには、利尿、抗潰瘍、血糖降下、血液凝固抑制作用が、パヒマンには免疫増強作用などが知られています(文献3:2011)

漢方では、利水消腫・健脾・安神の効能があり、水腫や痰飲の治療には必ず用いられる要薬で、とくに脾胃の気虚による湿や痰飲の症状に適しています(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、シート&マスク製品などの製品に使用されます(文献1:2006;文献4:1993;文献6:2015)

メイラード反応抑制およびコラーゲンの架橋結合抑制による抗シワ作用および抗糖化作用

メイラード反応抑制およびコラーゲンの架橋結合抑制による抗シワ作用に関しては、まず前提知識としてコラーゲンの架橋結合とメイラード反応について解説します。

最初にコラーゲンの架橋結合についてですが、皮膚におけるコラーゲンの主な役割は、以下の肌図をみるとわかりやすいと思うのですが、

真皮の潤い成分一覧

皮膚の真皮層で肌のうるおいやハリ・弾力を保持することにあります。

このコラーゲンのハリや弾力は、以下のコラーゲン図のように、

コラーゲンの構造

コラーゲンが立体的な3重螺旋の網目構造になっていることも深く関与していますが、以下のコラーゲンの架橋構造図のように、

コラーゲンの架橋構造

コラーゲンとコラーゲンを化学的結合による架橋(橋かけ)によって結合しています。

この架橋は、健康なコラーゲン繊維では、コラーゲンの切れた断端が他のコラーゲン繊維の断端と架橋構造(橋かけ)により結ばれることで、皮膚の弾力が保たれますが、加齢にともなってコラーゲン繊維間で必要以上に架橋ができてしまうと、コラーゲン繊維が硬くなってしまい、柔軟性・弾力性が失われます(文献5:2002)

そのため、コラーゲンの不要な架橋結合を抑制することは、皮膚の老化の抑制および皮膚の弾力保持の上で重要であると考えられます。

次にメイラード反応についてですが、メイラード反応とは糖化のことです。

糖化とは、加齢にともなって体内の余分な糖とコラーゲンの中のアミノ酸が結合することで、タンパク質が変性・劣化し、AGEs(糖化最終生成物)という老化物質を生成する反応のことです。

メイラード反応(糖化)が生成するAGEsに架橋物質であるペントシジンがありペントシジンが不必要な架橋の生成に大きく関与しているため、メイラード反応を抑制することで不必要な架橋生成の抑制になると考えられています(文献4:1993)

1993年に日本メナード化粧品によって報告されたコラーゲン架橋に及ぼす生薬エキスの効果検証によると、

中国古来の医方書にようれば婦人面薬の中にシワに有効とされる処方がいくつかみられ、中でも唐の時代に編纂された「外台秘要」にはシワや美白剤など外用剤の処方が記載されており、これらの処方のうちシワに関する処方に共通して使用されている頻度の高い生薬があり、これらの中にシワに対して有効な成分の含有が考えられます。

これらの中から使用頻度の高い10種を選び、コラーゲンの架橋生成に対する抑制効果を測定したところ、ブクリョウに18.1%、カガミグサに58.3%の有意な抑制効果が認められた。

また、メイラード反応抑制検証として、牛血清アルブミン(タンパク)をグルコース(ブドウ糖)を5日間培養し、メイラード反応の中間体であるケトアミンの生成を誘発し、生薬エキスを添加することによって生成ケトアミン量を測定したところ、ブクリョウは52.8%、カガミグサは9.3%の生成抑制効果が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:1993)、ブクリョウエキスには有意にメイラード反応抑制作用およびコラーゲンの架橋結合抑制作用が認められており、強いコラーゲン架橋抑制による抗シワ作用が認められていると同時に抗糖化作用も認められると考えられます。

スポンサーリンク

ブクリョウエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ブクリョウエキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されている漢方生薬であり、また外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されているため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ブクリョウエキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ブクリョウエキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ブクリョウエキスは保湿成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,381.
  2. 原島 広至(2017)「ブクリョウ(茯苓)」生薬単 改訂第3版,306-307.
  3. 鈴木 洋(2011)「茯苓(ぶくりょう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,414-415.
  4. 広瀬 統, 他(1993)「コラーゲンの架橋に及ぼす生薬エキスの効果」日本化粧品技術者会誌(26)(4),289-294.
  5. 朝田 康夫(2002)「コラーゲン変性はなぜ起こる」美容皮膚科学事典,149-151.
  6. 宇山 光男, 他(2015)「ブクリョウ」化粧品成分ガイド 第6版,215.

スポンサーリンク

TOPへ