フィトステロールズ(ダイズステロール)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 エモリエント成分 安定化成分
フィトステロールズ(ダイズステロール)
[化粧品成分表示名称]
・フィトステロールズ、ダイズステロール

[医薬部外品表示名称]
・フィトステロール

植物油脂の脱酸工程で得られるガム質を精製して得られる無臭で白色の結晶性粉末で、主としてβ-シトステロールからなるステロールです。

フィトというのは植物という意味ですが、性質はコレステロールと類似しており、植物由来のコレステロールという意味合いからフィトステロールズという名称になっています。

名称としては他にもダイズステロールやフィトステロール(旧名称)と呼ばれることがあります。

コレステロールと聞くと、体に悪いイメージがあるかもしれませんが、皮膚の一番上の表皮で角質と角質の隙間を埋める水分である細胞間脂質としての役割もセラミドとともに担っている、肌の潤いに重要な成分です。

肌の構造がイメージできない方もいると思うので、以下に肌図を掲載しておきます。

セラミド(細胞間脂質)

図ではセラミドをピックアップしてますが、細胞間脂質はセラミド50%、コレステロール25%、脂肪酸20%、糖脂質5%という割合になっています。

先ほども伝えたように、コレステロールとフィトステロールズは役割としてはほとんど同じで、化粧品に配合される場合、皮膚吸収性がよくエモリエント効果があり肌を潤しバリア機能を高めてくれます。

化粧品によってはコレステロールを配合しているものも多いのですが、成分に詳しくない方からするとコレステロールにマイナスイメージをもっている方も少なくないので、植物性というプラスイメージを利用したフィトステロールズを使用するケースが増えてきています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

フィトステロールズの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

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フィトステロールズの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

フィトステロールズの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者の前腕の擦過した皮膚に100%フィトステロールズ(サクロ由来)1mLを3日間連続して24時間チャンバー適用し、チャンバー除去30分後および次のチャンバー適用前に試験部位を評価したところ、皮膚を刺激しなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、眼刺激性は予測されなかった

と記載されています。

試験結果はin vitroのみで根拠としては弱いですが、眼刺激性は予測されていないため、現時点では眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 市販の大豆抽出物に陽性反応を示した22人の被検者のうち、16人は大豆単離物に対して陽性反応を示し、6人は大豆に陽性反応を示した。19人はフィトステロールズに皮膚反応を示さなかった

と記載されています。

試験の詳細が不明なので根拠としては弱いですが、ほとんどの被検者がフィトステローズズでは皮膚反応を示さなかったため、現時点では皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
フィトステロールズ 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、フィトステロールズは毒性なし(∗2)となっており、毒性はほとんどないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

フィトステロールズは保湿成分とエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR651.pdf> 2017年11月9日アクセス.

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