ビオチンとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
ビオチン
[化粧品成分表示名称]
・ビオチン

卵黄から発見されたビタミンB群の一種で、ビタミンHやコエンザイムRとも呼ばれている水に微量に溶ける白色結晶性粉末です。

補酵素としてピルビン酸カルボキシラーゼという酵素の活性に関わっており、ビオチンが欠乏するとエネルギー代謝や様々な生理機能が低下し、また免疫機能の低下やコラーゲン合成の低下も確認されています。

主に腸内細菌によって合成されるため、一般的にはビオチン欠乏症は起こしにくいのですが、アトピー性皮膚炎の患者の血中ビオチン濃度は健常人の半分以下であることが明らかになっており、ビオチンを投与することで症状が緩和されたという報告があります。

そういった報告もあるため、一般的にはサプリメントなどで経口投与するイメージが強いと思いますが、2004年に皮膚科で行われた試験によると、

  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、尋常性ざ瘡の疾患をもつ60人の女性患者に同意を得て0.2%ビオチンを含むジェルおよび1%ビオチンを含む軟膏を朝晩2回顔に塗布するように指導し、著効・有効・変化なし・悪化の4段階で評価したところ、著効および有効率は60人のうち38人(63%)、変化なしは19人(31%)、悪化3人(6%)であり、約50%がドライスキンに対して著効であった。今回の結果は角質水分量や経表皮水分蒸発料(TEWL)の測定を行っていないことから科学的なビオチンの保湿効果として評価されるべき性格のものではないが、ビオチンがアトピー性ドライスキンに対してかなり期待できる保湿促進剤として評価される可能性のある成分であることが示唆された

と報告されており、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの疾患がある場合の保湿成分として期待されています(文献1:2004)

また、ビオチン単体ではメラニン抑制作用は認められていませんが、アスコルビルリン酸Naにビオチンを併用した場合にメラニン抑制の相乗効果が認められています(文献2:2015)

化粧品に配合される場合、健康な肌を維持する目的の化粧品に配合されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ビオチンの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年)

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ビオチンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ビオチンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、わずかな一過性の眼刺激が起こる可能性があるものの、皮膚感作性(アレルギー性)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(皮膚アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Biotin」(文献3:2001)によると、

  • [ヒト試験] 2時間以内のじんま疹を引き起こした事例が1例報告されていますが、その他の臨床試験では有害反応は生じなかった
  • [動物試験] モルモットの腹部皮膚にビオチンを0.1cc皮内注射したところ、注射部位に皮膚刺激は認められなかった(Crittenden,1948)

と記載されています。

試験結果ではほとんどの事例で皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

個別事例においてビオチンによって蕁麻疹が生じた例がひとつ報告されていますが、1例だけなので臨床的に皮膚感作性があるとはいえないと判断し、皮膚感作性はほとんどないと結論づけました。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Biotin」(文献3:2001)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に0.1%d-ビオチン(pH7.3)を適用したところ、わずかな一過性の刺激しか生じなかったと報告されたが、研究の詳細は提供されなかった(Crittenden,1948)

と記載されています。

試験結果は詳細不明ですが、一過性の刺激しか生じなかったと報告されているため、眼刺激性は刺激性なし~わずかな刺激が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ビオチン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ビオチンは毒性なし(∗3)となっており、安全データをみる限り、安全性に問題がないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ビオチンは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 小村十樹子(2004)「ビオチン配合外用製剤のドライスキンへの応用」Fragrance Journal(32)(2),p29-34, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/109158101529025472> 2018年1月28日アクセス.
  2. DSMニュートリション(2015)「安定型ビタミンC誘導体「ステイ-C 50」に期待」C&T(4)(163),p44.
  3. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Biotin」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/109158101529025472> 2018年1月28日アクセス.

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