トウモロコシエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 抗酸化成分 抗シワ成分
トウモロコシエキス
[化粧品成分表示名称]
・トウモロコシエキス

[医薬部外品表示名称]
・トウモロコシエキス

イネ科植物トウモロコシ(学名:Zea mays 英名:Corn)の種子を水で抽出精製したエキスです。

トウモロコシエキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 糖類:ブドウ糖ショ糖
  • ペプチド
  • アミノ酸類
  • ビタミンB群(B₁,B₂,B₅,B₆,B₁₂)
  • タンニン

などで構成されています(文献2:2006;文献3:1998)

トウモロコシは、アメリカ原産で世界各国で食用または飼料として栽培されています。

日本において医療分野では、トウモロコシデンプンが賦形剤として、トウモロコシ油が軟膏や硬膏などの製剤用基剤または注射剤の溶液として日本薬局方に収載されているほか、果実に存在しているナンバ毛と呼ばれる長い花柱に利尿作用があることから生薬として脚気、腎炎、肝炎、糖尿病、結石の治療に利用されています(文献3:1998)

化粧品に配合される場合は、

これらの作用があるとされており、くすみの素になる古い角質を除去して新しい皮膚に潤いを与え、透明感のある滑らかな肌へ導く目的で化粧水、スキンケア化粧品、ボディケア製品、洗顔料、メイクアップ化粧品、マスクなどに使用されます(文献2:2006;文献3:1998)

ATP産生促進による細胞賦活作用

トウモロコシエキスの細胞賦活作用はATP産生促進の結果生じるものですが、ATP(アデノシン三リン酸)とは、生態機能を維持するために炭水化物、脂質、タンパク質を代謝させて得られるエネルギーのことで、細胞のエネルギー源として多くの細胞間反応を活発にしていますが、皮膚に対しては、

  • 表皮細胞のメラチンやセラミドの生合成に関与
  • 栄養物の取り込みや老廃物の排出など物質が細胞膜を通過する働きの促進

これらの効果が知られており、これらの効果を向上させることで結果として皮膚が活性化します。

1998年に日光ケミカルズが報告しているトウモロコシエキスの細胞賦活作用の検証結果によると、

培養ヒト表皮細胞に1%トウモロコシエキスを添加し、もう一方は無添加で効果を検証したところ、無添加と比較して1%トウモロコシエキスを添加したヒト表皮細胞は分化を増進し、明らかに細胞内ATPを活性化した。

タンパク質と炭水化物は細胞内で分解され、ATPの形でエネルギーをつくるため、この作用はトウモロコシエキス中のタンパク質と炭水化物によるものと考えられる。

この結果から、トウモロコシエキスはヒト皮膚細胞中でエネルギーを産生したり蓄積するのに有効な活性成分を濃縮した形で含有しており、表皮細胞の分化を促進することで皮膚組織の保護機能を高め、またトウモロコシエキスによって産生されたATPの蓄積により、表皮細胞のケラチンやセラミドを保護したり、生体と環境との物質のやりとりを調節する物質の合成量を著しく増加させることが示唆された。

このような結論が認められており(文献3:1998)、ATP産生促進による細胞賦活作用を有していると考えられます。

フリーラジカル抑制による抗酸化作用

フリーラジカル抑制作用に関しては、同じく1998年に日光ケミカルズが報告しているトウモロコシエキスのフリーラジカル抑制作用の検証結果によると、

トウモロコシエキスは構造中にキレート効果を示すリン酸を多く含有しているため、触媒作用を示す鉄イオンを補足することによって過酸化脂質の生成抑制に効果があると考えられたため、ヒドロキシラジカルによるアラキドン酸の過酸化によって生成されるマロンジアルデヒド(∗1)の量によって評価した。

2%トウモロコシエキスを添加したときの過酸化抑制効果を評価したところ、マロンジアルデヒドの生成量の抑制が確認され、その効果は7時間後まで持続したため、過酸化脂質抑制効果が示されたといえる。

∗1 マロンジアルデヒドとは、脂質の過酸化によって形成される2次生成物で、組織と相互作用しやすく、老化、突然変異、がんの原因となる物質です。

このような結論が認められており(文献3:1998)、フリーラジカルを補足・抑制することによる過酸化脂質抑制作用(抗酸化作用)を有していると考えられます。

ただし、この試験は2%濃度で実施されており、また抑制率の詳細なデータは提供されておらず、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であると推測されるので、試験結果よりは穏やかな抗酸化作用であると考えられます。

抗シワ作用

抗シワ作用に関しては、フィブロネクチンを生成促進することで細胞の移動と増殖を活性化しシワを埋めるという作用機序なのですが、言い換えると、切り傷のように細胞の間が開いてしまった状態を創傷治癒のメカニズムを促進することで結合して(傷の溝を塞いで)皮膚表面を滑らかにするというものです。

フィブロネクチンは、細胞間に存在し、細胞の接着(固定)、増殖、分化、移動に関与し、細胞間の連絡係の役割を担っています。

BASFジャパンが報告しているトウモロコシエキスの抗シワ効果検証によると、

in vitro試験による培養ヒト正常線維芽細胞に1%,2%および5%トウモロコシエキスを添加し、フィブロネクチンの合成量を評価したところ、濃度依存的にフィブロネクチン合成促進作用が認められた。

また、5人の女性被検者に3%トウモロコシエキスを4週間にわたって1日1回塗布したところ、目元のシワの有意な改善が認められた。

このような結論が認められており、抗シワ作用が明らかとなっています。

ただし、これらの試験は1%濃度以上で実施されており、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であると推測されるので、試験のように4週間で有意なシワ改善効果は見込めず、使い続けることで穏やかに改善が期待できるものであると考えられます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2006-2007年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

トウモロコシエキスの配合製品数と配合量の調査結果(2006-2007年)

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トウモロコシエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

トウモロコシエキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は非刺激またはわずかな眼刺激が生じる可能性があるものの、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Cosmetic Ingredients Derived From Zea Mays (Corn)」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者に3%トウモロコシエキスを含むフェイスクリームの皮膚感作Maximization試験を実施した。前処理として0.25%硫酸ラウリルナトリウム水溶液0.05mLを24時間適用した後に誘導期間において試験物質を5回にわたって48~72時間閉塞パッチ適用した。次いで10日間の休息期間の後に再び前処理を行ってからチャレンジパッチを適用し、パッチ適用48および72時間で皮膚反応を評価したところ、アレルギー反応または皮膚感作の兆候はなかった(KGL Inc,2006)
  • [ヒト試験] 21人の被検者に肩甲骨領域に10%トウモロコシエキス水溶液を48時間Finn Chamber適用し、パッチ除去30分後に刺激性を評価したところ、1人の被検者で軽度の紅斑が観察されたが、他の被検者に刺激反応は観察されなかった(Eurosafe,2001)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Cosmetic Ingredients Derived From Zea Mays (Corn)」(文献1:2011)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢にトウモロコシエキス0.1mLを点眼し、点眼1,24,48および72時間後に検査したところ、24時間以内にすべてのウサギにおいて結膜のわずかな赤みおよび涙液が観察されたが、これらの反応は24時間で完全に消失した(Biogir SA,1991)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激性が報告されているため、眼刺激性は非刺激またはわずかな眼刺激性が生じる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トウモロコシエキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トウモロコシエキスは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トウモロコシエキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分 抗シワ(抗老化)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Final Report of the Safety Assessment of Cosmetic Ingredients Derived From Zea Mays (Corn)」,<http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1091581811403832> 2018年7月3日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,378.
  3. 安達 美香(1998)「トウモロコシ由来の活性成分の機能と応用」Fregrance Journal(26)(3),33-38.

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