チロシンとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
チロシン
[化粧品成分表示名称]
・チロシン

[医薬部外品名称]
・L-チロシン

チロシンは、副腎髄質ホルモンであるアドレナリンや生体の黒色色素であるメラニンを生成するアミノ酸で、天然保湿因子(NMF)の約40%を構成する非必須アミノ酸の一種でもある、白色の結晶または結晶性の粉末です。

美白成分がメラニン色素を抑制する仕組みを解説するときに以下のようにチロシンがでてくることが多いのですが、

チロシンがメラニンに変化する仕組み

紫外線によってチロシンにチロシナーゼという酵素が反応してメラニンの元になるドーパに変わります。

シミの元になる成分として有名なチロシンですが、天然保湿因子のアミノ酸のひとつでもあります。

NMF組成の平均的な内訳グラフ

そのため、化粧品としては優れた効果は明らかになっていませんが、天然保湿因子のアミノ酸組成に近づけて角質の保湿効果を相乗的に高める目的の保湿化粧品に他のアミノ酸と一緒に配合されることが多いです。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

チロシンの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

スポンサーリンク

チロシンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

チロシンの現時点での安全性は、ヒトの角質層に存在するアミノ酸の一種であり、皮膚刺激性はほとんどなく、わずかに眼刺激性が起こる可能性はあるものの、皮膚感作性(アレルギー性)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 104人の被検者に0.03%チロシン、0.27%アルギニン、0.07%ヒスチジンHCI、0.03%フェニルアラニンを含む日焼け止め製品を閉塞パッチ下で繰り返し適用したところ(HRIPT)、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった

と記載されています。

試験結果はひとつですが、皮膚刺激および皮膚感作はなく、また生体内に存在するアミノ酸でもあるため、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 19人の被検者に1%チロシン、0.05%アスパラギン酸マグネシウムを含むアイクリームを2週間眼に点眼し、耐用性を試験したところ、眼に影響はみられず、安全性と耐用性に優れていた
  • [ヒト試験] 12人の被検者に1%チロシン、0.05%アスパラギン酸マグネシウムを含むアイクリームのスティンギング(チクチク刺さる感覚の刺激性)試験を行ったところ、わずかなスティンギングの可能性が示唆された
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、1%チロシン、0.05%アスパラギン酸マグネシウムを含むアイクリームを処理したところ(HET-CAM法)、わずかな刺激性が予測された

と記載されています。

試験結果によると、わずかな眼刺激性を示唆するものもありますが、ヒト試験で眼刺激性は確認されていないため、わずかな眼刺激性が起こる可能性はありますが、総合的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
チロシン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、チロシンは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

チロシンは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813507090> 2017年11月12日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ