チューベロース多糖体とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 エモリエント成分
チューベロース多糖体
[化粧品成分表示名称]
・チューベロース多糖体

[医薬部外品表示名称]
・チューベロースポリサッカライド液

リュウゼツラン科の多年草チューべロース(月下香)の花びらから得られる水溶性多糖エキスです。

構成糖は、マンノース、グルクロン酸、アラビノース、ガラクトースで、保湿作用とエモリエント作用を有しており、皮膚上に塗布した後は柔軟性のある薄いネット状の皮膜をつくり、温度変化や急激な乾燥による柔軟性や体積の変化はほとんどなく、寒冷乾燥から角質を保護します(文献2:1995;文献3:1996)

1996年の花王株式会社による多糖溶液塗布後の皮膚の平滑性試験によると、

豚皮に水、キサンタンガムヒアルロン酸、チューべロース多糖体それぞれ0.2%を含む水溶液を塗布し、摩擦力を測定し、動摩擦係数を求めたところ、以下のグラフのように、

チューべロース多糖体の動摩擦係数比較

チューべロース多糖体は55%程度の動摩擦係数を示し、他の多糖類(ヒアルロン酸、キサンタンガム)の塗布部位と比較して有意に低かった。

すなわち、チュべロース多糖体を塗布することにより、より滑らかな皮膚が得られることが示唆された。

保湿剤として幅広く使用されている他の多糖類と比較しても、皮膚塗布後に有意な平滑性(皮膚をなめらかにする作用)が明らかにされています(文献3:1996)

同じく1996年の花王株式会社による多糖皮膜の皮膚上での残留性の測定によると、

5人の被検者の顔面にチューべロース多糖体、ヒアルロン酸、キサンタンガムの各0.5%水溶液60μLを塗布し、日常生活をおくった後6時間後にスクラブ法により多糖を回収し定量したところ、以下のグラフのように、

チューべロース多糖体の塗布6時間後の残留率比較

チューべロース多糖体は90%以上の高い残留率を有しており、他の2つの多糖(ヒアルロン酸、キサンタンガム)と比較して有意に高かった。

チューべロース多糖体は皮膚上で長時間にわたり皮膜を形成することが示唆された。

幅広く使用されている他の多糖類と比較しても、皮膚上で長時間にわたり皮膜を形成することが明らかにされています(文献3:1996)

同じく1996年の花王株式会社による寒冷・乾燥・風に対する保護効果の測定によると、

3人の被検者の前腕を10分間アセトン/エーテル処理にて人工的に肌荒れ状態をつくった後に0.5%各高分子多糖体水溶液50μLを塗布し、5℃、相対湿度30%中で10分放置後、同環境の風を5分間あて、落屑の程度を、0(落屑を認めない)、1(ごくわずかに落屑を認める)、2(軽度の落屑を認める)、3(中等の落屑を認める)、4(重度の落屑を認める)と規定し、落屑(スケーリング)の評価を行ったところ、以下のグラフのように、

寒冷・乾燥風の暴露後の高分子多糖体の落屑量比較

未処置部位では、激しい落屑がみられたが、チューべロース多糖体塗布部位では、落屑の発生がほぼ完全に抑制された。

ヒアルロン酸、キサンタンガム塗布部位でも抑制は認められたが、その程度はチューべロース多糖体に比べて低かったため、チューべロース多糖体は荒れ肌を寒冷・乾燥などの刺激から保護する効果が高いと考えられた。

また、チューべロース多糖体の角層保護作用を検証する目的で乾燥状態の激しい晴天下のスキー場において、チューべロース多糖体配合化粧水を顔半分だけに塗布し、1日スキーを行ってもらった後で、顔面の皮膚状態を測定したところ、未塗布部位では落屑が生成していたのに対し、チューべロース多糖体配合化粧水塗布部位ではほとんど落屑が生成しなかった。

幅広く使用されている他の多糖類と比較しても、落屑の発生がほぼ完全に抑制されたことが明らかにされ、またスキー場での検証から実用の場の有用性も確認されています(文献3:1996)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

チューベロース多糖体の配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

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チューベロース多糖体の安全性(刺激性・アレルギー)について

チューベロース多糖体の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足により詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • チューべロース多糖体は、現在の使用状況および化粧品での配合量において安全である

と記載されています。

詳細な試験データはみあたりませんが、高分子多糖体であり、皮膚刺激および皮膚感作の報告がないため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データがみあたらず、データ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
チューベロース多糖体 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、チューベロース多糖体は毒性なし(∗1)となっており、毒性に関する心配はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

チューベロース多糖体は保湿成分とエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2015)「Safety Assessment of Polysaccharide Gums as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR680r.pdf> 2018年6月9日アクセス.
  2. 大辻一也,本多泰暉,杉村順夫,武井彰,手嶋享(1995)「植物培養細胞による多糖類の生産とその化粧品への応用」植物組織培養Vol.12,No.1,P.8-15
  3. 冨士 章, 長澤 真木, 林 千夏, 城倉 洋二, 山崎 誠司, 手嶋 亨(1996)「TPS (チューベロース多糖) の化粧品基剤としての有用性」日本化粧品技術者会誌(30)(1),77-83.

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