チューベロース多糖体とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
チューベロース多糖体
[化粧品成分表示名称]
・チューベロース多糖体

[医薬部外品表示名称]
・チューベロースポリサッカライド液

リュウゼツラン科植物チューベロース(学名:Polianthes tuberosa 英名:tuberose)の花弁より誘導したカルス細胞が生産する水溶性多糖エキスです。

チューベロース多糖体は、主にアラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースおよびグルクロン酸を構成糖としており、糖組成比率は、

構成糖 構成糖比率
アラビノースを10としたときの比率(%)
アラビノース 10
マンノース 6.5-6.7
ガラクトース 6.8-7.2
キシロース 0.6-1.0

このような構成になっており(文献1:1994)、皮膚上に塗布し乾燥すると平滑な皮膜を形成することが認められており、この皮膜はミクロレベルにおいてはネット状を呈し、非常に柔軟であり、かつ接着性が高く、また外界の湿度変化による体積や皮膜状態の変化を起こしにくいことが明らかになっています(文献2:1996)

また、チューべロース多糖体は水溶性であり、粘度は高いもののほとんどベタつきがなく、乾燥後もまったく皮膜感を与えないことも報告されています(文献2:1996)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品など様々な製品に使用されます(文献1:1994;文献2:1996;文献3:1997)

角質層保護および皮膜形成による保湿作用

角質層保護および皮膜形成による保湿作用に関しては、1996年に花王によって報告された寒冷および乾燥風に対するチューベロース多糖体の角層保護効果検証によると、

3人の被検者の前腕を10分間アセトン/エーテル処理にて人工的に肌荒れ状態をつくった後に、高分子多糖体水溶液としてキサンタンガムヒアルロン酸Naおよびチューべロース多糖体の0.5%濃度水溶液50μLを塗布し、また比較対照として水を塗布し、気温5℃、相対湿度30%中で10分放置後、同環境の風を5分間あて、落屑の程度を評価した。

落屑の評価には、0(落屑を認めない)、1(ごくわずかに落屑を認める)、2(軽度の落屑を認める)、3(中等の落屑を認める)、4(重度の落屑を認める)の5段階評価を用いたところ、以下のグラフのように、

寒冷・乾燥風の暴露後の高分子多糖体の落屑量比較

未処置部位では、激しい落屑がみられたが、チューべロース多糖体塗布部位では、落屑の発生がほぼ完全に抑制された。

ヒアルロン酸、キサンタンガム塗布部位でも抑制は認められたが、その程度はチューべロース多糖体に比べて低かったため、チューべロース多糖体は荒れ肌を寒冷・乾燥などの刺激から保護する効果が高いと考えられた。

また、チューべロース多糖体の角層保護作用を検証する目的で乾燥状態の激しい晴天下のスキー場において、チューべロース多糖体配合化粧水を顔半分だけに塗布し、1日スキーを行ってもらった後で、顔面の皮膚状態を測定したところ、未塗布部位では落屑が生成していたのに対し、チューべロース多糖体配合化粧水塗布部位ではほとんど落屑が生成しなかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:1996)、チューベロース多糖体に角質層保護および皮膜形成による保湿作用が認められています。

また1997年に花王によって報告された技術資料によると、

チューべロース多糖体とシロキクラゲ多糖体をそれぞれ単体配合または併用した化粧水を調製し、比較対照として両方未配合の化粧水を用いてその保湿効果および使用感を検討した。

健常皮膚を有する5人の被検者の前腕部に各化粧水0.2mLを塗布し、1時間後の角層水分量を測定したところ、以下の表のように、

化粧水 チューべロース濃度 シロキクラゲ濃度 角層水分量相対値
化粧水01 0.4% 0.1% 1.67
化粧水02 0.5% 1.60
化粧水03 0.5% 1.55
化粧水04 1.00

チューべロース多糖体とシロキクラゲ多糖体を併用した場合は、それぞれを単体配合した場合より高い保湿効果が確認された。

また使用感として、使用中の滑らかさとその持続性にも相乗効果が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1997)、チューベロース多糖体とシロキクラゲ多糖体の併用によってそれぞれ単体配合より高い保湿作用が認められています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

チューベロース多糖体の配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

スポンサーリンク

チューベロース多糖体の安全性(刺激性・アレルギー)について

チューベロース多糖体の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

花王の安全性データ(文献1:1994)によると、

  • [動物試験] 6匹の剃毛した健常皮膚または損傷皮膚を有するウサギに1%チューべロース多糖体0.5mLを24時間適用し、除去3,24および48時間後に皮膚反応を判定したところ、健常皮膚および損傷皮膚のいずれのウサギも皮膚反応はまったく認められなかった
  • [動物試験] 6匹の剃毛した健常皮膚または損傷皮膚を有するウサギに1%チューべロース多糖体30mgを1日1回2週間にわたって合計12回適用し、毎塗布24時間後に皮膚反応を判定したところ、いずれのウサギも累積刺激および皮膚感作などの皮膚反応はまったく認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データがみあたらず、データ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

チューベロース多糖体は保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 花王株式会社(1994)「創傷治癒促進剤」特開平6-329546.
  2. 冨士 章, 他(1996)「TPS (チューベロース多糖) の化粧品基剤としての有用性」日本化粧品技術者会誌(30)(1),77-83.
  3. 花王株式会社(1997)「外用剤組成物」特開平9-143024.

スポンサーリンク

TOPへ