セラミドとは…種類・成分効果と毒性を解説

保湿成分 バリア機能 エモリエント成分
セラミド
[化粧品成分表示名称]
・セラミドEOP、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAG、セラミドAP(改正名称)
・セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド5、セラミド6Ⅱ(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・N-フィトスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、N-オレオイルフィトスフィンゴシン、N-リノレオイルフィトスフィンゴシン、N-2-ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン

[慣用名]
・ヒト型セラミド、ヒトセラミド

セラミドは専門的にはスフィンゴシン誘導体と呼ばれており、下の図のように皮膚の角質細胞の間で接着剤(∗1)のように隙間を埋めて、肌の水分を保持したり、外からの有害物質の侵入を防止するための脂質のバリアのような物質です(∗1 角質細胞はレンガのようなブロックでセラミドはブロックをキレイに隙間なく並べるためのセメントとして例えられることが多いです)。

セラミド(細胞間脂質)

角質の保湿成分である天然保湿因子(NMF)と合わせて乾燥から肌を守るために使われます。

角質細胞の間にあるので、角質細胞間脂質と呼ばれることもありますが、セラミドは細胞間脂質の約50%を構成しており、他は遊離脂肪酸が約20%、コレステロールが約15%、コレステロールエステルが約10%、糖脂質が約5%となっています。

細胞間脂質におけるセラミドの割合の円グラフ

セラミドをはじめとする細胞間脂質は、バリア機能において重要な役目をもっていることが明らかにされており、しかもバリア機能だけでなく保湿機能としても重要な役目を担っていることが研究で明らかになっています。

また、細胞間脂質がアトピー性皮膚炎・主婦湿疹・乾皮症などによって減少した肌は、肌の保湿機能が低下しますが、そういった乾燥肌に細胞間脂質を塗るだけで保湿機能が回復することが報告されています。

これは、保湿機能の維持に細胞間脂質の果たしている役割がどれほど大きいかを知る指標となり、その細胞間脂質の約50%を占めるセラミドが角質層の保湿に特に重要であるといえます。

細胞間脂質はラメラ構造となっており、肌の水分保持のメカニズムとして最重要視されている部分ですが、この構造をつくっているのがセラミドです(以下の図参照)。

セラミドがつくっているラメラ構造

化粧品に配合されるセラミドは、哺乳動物の脳や酵母発酵によってつくられていますが、精製技術が進んでいるため現在は、純度の高い天然系のものが使用されることが多いです。

一方で、天然系のセラミドに似せた類似細胞間脂質(擬似セラミドや合成セラミドと呼ばれる)は、大豆レチシンや熟成カミツレ、ヤシ油やサトウキビより精製・抽出したものがあります。

化粧品での天然系セラミドと類似セラミドの見分け方は、天然系の場合、成分表示欄にセラミド1・セラミド2・セラミド3など「セラミド+数字」「セラミド+アルファベット」「N-●●スフィンゴシン」と表示されているので、それらを目安としてください。

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セラミドの種類

セラミドは大きく分けて6種類あり、期待する効果によって使い分けられています。

中でも、セラミド2がとくに水分を保持する役割であることが立証されています。

また、セラミド1は角質層を通じて物質の出入りを防ぐバリア機能の働きをしていると考えられています。

それぞれの主な特徴を以下に掲載しておきます。

  • ・セラミドEOP [旧表示名:セラミド1(N-フィトスフィンゴシン)]
    セラミド1は、バリア機能の強化・維持でよく知られ、皮膚の弾力性や細胞間の結合性の改善作用があり、乾燥肌向けや抗老化向けのスキンケア化粧品によく配合されます。セラミド1の不足は、角化症(たこや魚の目など角質が硬くなる症状)や魚鱗鮮(サメ肌と言われている症状)、アトピー性皮膚炎に関わっていると言われています。
  • ・セラミドNG [旧表示名:セラミド2(N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン)]
    皮膚や毛髪のセラミドと同じ構造をしており、セラミドの中でも極めて保水効果が高いことが立証されており、保湿剤や肌荒れ防止・改善目的で化粧品に配合されます。セラミドNSと呼ばれることもあります。
  • ・セラミドNP [旧表示名:セラミド3(N-ステアロイルフィトスフィンゴシン)]
    皮膚と同じ構造をしており、保湿効果やバリア機能回復効果に優れたセラミド。皮膚のバリア機能を改善し、長時間水分保持機能を持続させるエモリエント成分としても優れていて、外界の刺激から肌を守る目的で配合される。
  • ・セラミドNP [旧表示名:セラミド3(N-オレオイルフィトスフィンゴシン)]
    皮膚と同じ構造をしており、保湿効果やバリア機能回復効果に優れたセラミド。効果としては上のN-ステアロイルフィトスフィンゴシンと同じ効果ですが、保護効果にも持続性があるので敏感肌や乾燥肌向けの化粧品に使用されることが多い。
  • ・セラミドNP [旧表示名:セラミド3(N-リノレオイルフィトスフィンゴシン)]
    皮膚と同じ構造をしており、美白効果(メラニン産生抑制効果)のあるセラミドで、美白有効成分のアルブチンに匹敵する美白効果が報告されています。保湿・美白・バリア機能強化を目的とした化粧品に配合される。
  • ・セラミドAP [旧表示名:セラミド6Ⅱ(N-2-ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン)]
    セラミド6にはピーリング作用(不要な角質をはぎ取る作用)をもったAHA(アルファ・ヒドロキシ酸)と同じ作用があり、角質を柔らかくして剥がれ落ちやすくしてターンオーバーの正常化を促進し、皮膚をなめらかにする効果がある。

同じセラミドでも数字が違うと効果も変わってくるため、化粧品によってはひとつのセラミドを高配合したり、複数のセラミドを配合して統合的な効果を期待するものもあります。

セラミドとスフィンゴ糖脂質の違い

スフィンゴ糖脂質の中には、米セラミドと呼ばれるものやグルコシルセラミドと呼ばれるものもあるので、セラミドとスフィンゴ糖脂質は同じものだと思いがちですが、スフィンゴ糖脂質は以下の図のように、セラミド(95%)と糖脂質(5%)で構成されている脂質で、セラミドはスフィンゴ糖脂質の構成成分です。

スフィンゴ糖脂質の組成

95%がセラミドなので、例えば米由来のスフィンゴ糖脂質であれば米セラミドと呼ばれることもありますし、馬の脊髄から抽出したスフィンゴ糖脂質であれば馬セラミドと呼ばれたりします。

また、米や小麦、コンニャクやトウモロコシから抽出したスフィンゴ糖脂質は総じて植物性セラミドと呼ばれることもあります。

これらは厳密にはセラミドではなくセラミド含有成分なので間違わないように注意してください。

一応、以下の図にセラミドとスフィンゴ糖脂質の違いをまとめておいたので理解の助けにしてください。

セラミドとスフィンゴ糖脂質の違い

スフィンゴ糖脂質については以下を参考にしてください。

セラミドの最新研究結果

情報公開日:2016年8月19日

小林製薬株式会社と東京工科大学応用生物学部との共同研究にて、ヒト型セラミド1,2,3混合物が、肌に存在する保湿成分・セラミドを合成する遺伝子発現に作用し、セラミド産生促進効果を発揮することが発見されました(文献1:2016)

具体的な研究結果は、ヒト型セラミド1,2,3混合物が、

  1. セラミド合成に関与する遺伝子の発現を促進する
  2. セラミド合成を促進する
  3. バリア機能を改善する

というものです。

以下は、研究結果です。

1.セラミド合成に関与する遺伝子の発現を促進する
2.セラミド合成を促進する

角層バリア機能に重要なセラミドの生合成には、de novo経路とSalvage経路の2つの経路が存在するのですが、セラミド合成に関与する遺伝子のうち、de novo経路におけるSPT(セリンパルミトイル転移酵素)、CERS(セラミド合成酵素)、ELOVL(脂肪酸伸長酵素)と、Salvage経路におけるβGCase(β-グルコセレブロシダーゼ)、SMase(スフィンゴミエリナーゼ)の遺伝子発現への影響を調べました。

また、βGCase、SMaseの発現に影響を与えると考えられている脂質代謝の調節因子、PPAR-αの遺伝子発現および、セラミド量の測定を行い、実際にセラミドが増えているかどうかについて調査したところ、

セラミド生合成経路

以下の3点が明らかになりました。

  1. ELOVL1, ELOVL3, CERS3, CERS4, PPAR-α, βGCaseの遺伝子発現を高める
  2. ELOVL6, CERS2, SPT, SMaseの遺伝子発現には影響しない
  3. セラミド1, 2, 4を増加させる

①については、三次元培養皮膚モデルにヒト型セラミド1,2,3を添加し、3日間培養した後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて遺伝子発現量を調査したところ、ELOVL1, ELOVL3, CERS3, CERS4, PPAR-α, βGCaseのそれぞれが以下のグラフのデータとなり、

セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の増加

ELOVL1, ELOVL3, CERS3, CERS4, PPAR-α, βGCaseの遺伝子発現を高めることが確認されました。

②については、同じく、三次元培養皮膚モデルにヒト型セラミド1,2,3を添加し、3日間培養した後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて遺伝子発現量を調査したところ、ELOVL6, CERS2, SPT, SMaseのそれぞれが以下のグラフのデータとなり、

セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の変化

ELOVL6, CERS2, SPT, SMaseの遺伝子発現には影響を与えないことが確認されました。

③については、三次元培養皮膚モデルにヒト型セラミド1,2,3混合物を添加し、3日間培養した後、脂質を抽出し、TLCプレートに展開後、3%硫酸銅(II)-15%リン酸溶液にて発色させた。

画像処理ソフトでコレステロールに対するセラミドのスポットの濃さを計測し、細胞あたりのセラミド量を比較したところ、以下のグラフのように、

セラミド量の変化

セラミド1,2,4の増加が確認されました。

また、三次元培養皮膚モデルにヒト型セラミド1,2,3を添加し、5日間培養した後、凍結切片を作成し、蛍光ラベルした抗セラミド抗体にて、蛍光抗体染色を行い蛍光顕微鏡で観察したところ、

セラミド量の増加 蛍光抗体染色

顆粒層でのセラミド量の増加が確認されました。

3.バリア機能を改善する

ヒト型セラミド1,2,3混合物のバリア機能への効果を検証するため、ヒト表皮モデルを用いて角層水分蒸散量(TEWL)の抑制効果を調べたところ、以下のグラフのように、

TEWLの抑制効果

ヒト型セラミド1,2,3混合物にTEWLを抑制する効果が認められました。

これらの研究結果から、ヒト型セラミド1,2,3混合物に肌のセラミド産生を促進する効果があることが明らかとなり、バリア機能を改善する可能性があることが示唆されました。

セラミドの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

セラミドは生体内に存在する成分で、毒性や刺激性はなく、アレルギー(皮膚感作性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セラミドは毒性なし(∗)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗ 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

セラミドとセットで使用される成分と効果

・水素添加大豆リン脂質とフィトステロールとセラミド2のプレミックス。全植物性で水に分散するだけで安定なセラミド2含有リポソーム液(ラメラ分散液)を形成し、皮膚へ保湿効果・バリア機能向上効果を与えるプレミックスとして、以下の成分表示順でリポソーム化粧水、ローション、乳液などに使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、ダイズステロール、セラミドNG(セラミド2)
[医薬部外品表示名]
水素添加大豆リン脂質、フィトステロール、セラミド2
・水素添加大豆リン脂質とフィトステロールとセラミド2、セラミド3のプレミックス。全植物性で水に分散するだけで安定なセラミド2、セラミド3含有リポソーム液(ラメラ分散液)を形成し、皮膚へ保湿効果・バリア機能向上効果を与えるプレミックスとして、以下の成分表示順でリポソーム化粧水、ローション、乳液などに使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、ダイズステロール、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)
・水素添加大豆リン脂質とフィトステロールとセラミド2、セラミド3、セラミド6Ⅱのプレミックス。全植物性で水に分散するだけで安定な3種のセラミドを含有するリポソーム液(ラメラ分散液)を形成し、皮膚へ保湿効果・バリア機能向上効果を与えるプレミックスとして、以下の成分表示順でリポソーム化粧水、ローション、乳液などに使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、ダイズステロール、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
・水素添加大豆リン脂質とフィトステロールとセラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド5、セラミド6Ⅱのプレミックス。全植物性で水に分散するだけで安定な5種のセラミドを含有するリポソーム液(ラメラ分散液)を形成し、皮膚へ保湿効果・バリア機能向上効果を与えるプレミックスとして、以下の成分表示順でリポソーム化粧水、ローション、乳液などに使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、ダイズステロール、セラミドEOP(セラミド1)セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAG(セラミド5)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
・水素添加大豆リン脂質、コレステロール、セラミド2、セラミド3、セラミド6Ⅱのプレミックス。皮膚へ保湿効果とバリア機能向上効果を与え、高機能を実現しながらべたつかない良感触を両立した処方を製剤できる。セラミドを乳液やクリームへ配合しやすい。セラミドを含む細胞間脂質成分のみで、どんな油剤でも乳化することができる天然系乳化剤のプレミックスとして、以下の成分表示順で使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、コレステロール、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
[医薬部外品表示名]
水素添加大豆リン脂質、コレステロール、セラミド2N-ステアロイルフィトスフィンゴシンヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン
・水素添加大豆リン脂質、フィトステロール、グリセリン、BG、セラミド2、セラミド3、セラミド6Ⅱのプレミックス。高機能を実現しながら、べたつかない良感触を両立した処方が可能で、セラミドを乳液やクリームへ配合しやすいプレミックスとして、以下の成分表示順で使用されます。医薬部外品に配合可能。
[化粧品表示名]
水添レシチン、ダイズステロール、グリセリン、BG、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
[医薬部外品表示名]
水素添加大豆リン脂質、フィトステロール、濃グリセリン、1,3-ブチレングリコール、セラミド2N-ステアロイルフィトスフィンゴシンヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン
・水素添加大豆リン脂質、フィトステロール、セラミド2、セラミド3、セラミド5、セラミド6Ⅱのプレミックス。高機能を実現しながら、べたつかない良感触を両立した処方が可能で、セラミドを乳液やクリームへ配合しやすいプレミックスとして、以下の成分表示順で使用されます。
水添レシチン、ダイズステロール、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAG(セラミド5)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
・傷んだ毛髪に浸透、補修するために18-メチルエイコサン酸(18-MEA)等のアンテイソ脂肪酸、5種のセラミドを含む毛髪構成脂質を用いたナノカプセル溶液として、以下の成分表示順で使用されます。
コレステロール、クオタニウム-33、セラミドEOP(セラミド1)セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAG(セラミド5)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
・傷んだ毛髪に浸透、補修するために18-メチルエイコサン酸(18-MEA)等のアンテイソ脂肪酸、3種のセラミドを含む毛髪構成脂質を用いたナノカプセル溶液として、以下の成分表示順で使用されます。
コレステロール、クオタニウム-33、セラミドNG(セラミド2)セラミドNP(セラミド3)セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
・セラミドとペプチドの効果を併せ持ち、皮膚バリア機能の修復や抗老化機能を両立したプレミックスとして、以下の成分表示順で使用されます。
安息香酸アルキル(C12-15)、トリベヘニン、セラミドNG(セラミド2)、PEG-10フィトステロール、パルミトイルトリペプチド-1

基本的な配合量の多い成分表示順は上記の通りですが、1%以下の成分は順不同に表示されるので、製品によっては表示順が異なっている場合があります。

∗∗∗

セラミドは保湿成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 小林製薬(2016)「ヒト型セラミド1,2,3の肌への有効性を新発見 セラミド産生促進効果を確認」, <https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160819_01/index.html> 2017年8月20日アクセス.

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