セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 バリア改善成分
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[化粧品成分表示名称]
・セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド

[医薬部外品表示名称]
・N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

セラミド2と類似の構造を持つように1987年に花王株式会社が開発したセラミド機能成分(合成セラミド)です。

セラミドとは、以下の肌図をみるとわかりやすいと思いますが、

セラミド(細胞間脂質)

肌の一番上の表皮に存在する角質と角質の間を埋める細胞間脂質の50%を占める成分で、この細胞間脂質が満たされていることで肌のバリア機能が正常に機能し、必要以上の水分蒸発を防ぎ、一定の水分を保持し、体外の刺激などから肌を保護する役割を担っています。

化粧品としてのセラミドの機能は、湿疹や皮膚炎などの皮膚疾患、花粉やPM2.5などの環境刺激、不規則な生活やストレスなどの心身の乱れによって肌のバリア機能が壊れるまたは不安定になることで起こる皮膚の水分蒸発やバリア機能の低下を表皮セラミドの代替成分として改善することにあります。

セラミドにはいくつか種類があり、最も効果が高いのはヒト皮膚と同様の構造を有するヒト型セラミドといわれていますが、ヒト型セラミドは高価でしかも当時は化粧品にヒト型セラミドを配合するには高度な技術を要するため、一部のメーカーしか配合できないという事情がありました。

そういった背景の中で1987年に開発されたのがセラミド2に類似した構造をもつ合成セラミドであるセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドで、その特徴はヒト型セラミドに比べて価格が大幅に安価であること、また安定した配合が可能であること、そして角層に浸透し(文献5:-)ヒト型セラミドと同等以上の保水効果を有していることです。

花王株式会社が行ったヒト型セラミドとセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドの保湿効果比較では、13人の被検者を対象にそれぞれ1%配合したクリームを1日2回、3日間連続で使用後にコンダクタンス(∗1)を計測したところ、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドのほうがやや水分保持機能が高いことが明らかとなっています。

∗1 コンダクタンスは皮膚に電気を流した場合の抵抗を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

ヒト型セラミドおよび合成セラミドの水分保持能改善効果比較

また、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドはヒト型セラミドと同様に結合水として水分を維持することが時差熱解析の結果から確認されています(文献3:2005)

さらに、アメリカで実施された乾燥肌に対する試験によると、

乾燥落屑性皮疹を有するアメリカ女性に市販の代表的なエイジングケアクリームを対照にハーフフェイス使用試験を行ったところ、対照クリームに比較して5%セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド配合クリームに有意な落屑低減効果や皮膚水分量増加効果が確認された。また、アトピー性皮膚炎、進行性手掌角皮症などにおいても同様に5%セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド配合クリームが有用であることが確認されている(文献4:1990)

乾燥落屑性皮疹やアトピー性皮膚炎などにも有用であることが明らかになっています。

現在はヒト型セラミドの処方が発展し、化粧品への使用も浸透していますが、原料としては比較的高価なことは変わらず、安価で安定的にセラミドの効果を得られる合成セラミドの役割は依然として大きく、安価な敏感肌向けスキンケア化粧品、水分保持能を視野に入れた製品に使用されています。

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セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドの安全性(刺激性・アレルギー)について

セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドの現時点での安全性は、化学構造はセラミドに類似しており、また1987年からの使用実績があり、皮膚刺激はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

試験結果や安全データはみあたりませんが、化学構造はセラミドに類似しており、1987年からの使用実績があり、皮膚刺激の報告もほとんどないため、皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データはみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみあたりませんが、化学構造はセラミドに類似しており、1987年からの使用実績があり、皮膚感作(アレルギー)の報告はないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 高木 豊, et al(1999)「最近のセラミド研究開発の現状」Fragrance Journal(27)(10),p9-16.
  2. 岡田 譲二, et al(2004)「セラミド類似の構造をもつ合成セラミドの開発と化粧品への応用」Fragrance Journal(32)(11),p35-41.
  3. 高木 豊, et al(2005)「セラミドの保湿能と製品への応用」Fragrance Journal(33)(10),p42-50.
  4. 芋川玄爾(1990)「角質細胞間脂質の機能とその応用」Fragrance Journal(4)(26),p42-50.
  5. “花王株式会社”(-)「セラミドの働きを効果的に補い、肌のバリア機能を助けて潤いを与える」, <https://www.kao.co.jp/curel/curelceramide/> 2018年11月3日アクセス.

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