セイヨウアカマツ球果エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 抗たるみ 抗老化成分 育毛剤 毛髪保護剤
セイヨウアカマツ球果エキス
[化粧品成分表示名称]
・セイヨウアカマツ球果エキス

[医薬部外品表示名称]
・マツエキス

マツ科植物セイヨウアカマツ(学名:Pinus sylvestris 英名:Scots pine)の球果(松かさ、まつぼっくり)から抽出して得られるエキスです。

セイヨウアカマツ球果エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油:α-ピネン、β-ピネン、リモネン
  • ミルセン
  • 多糖類
  • アミノ酸

などで構成されています(文献1:2015;文献2:2006)

セイヨウアカマツは別名ヨーロッパアカマツとも呼ばれ、スコットランドでは国木となっており、スコットランドの高地はほぼこの木で占められていましたが、過伐採、山火事、ヒツジやアカシカの過放牧によって個体群が減少し、現在ではごく狭い地域だけが残っています。

近代ではニュージーランドや北アメリカで大規模に植林され、アメリカ合衆国ではクリスマスツリーの木として広く用いられています。

薬用ハーブとしては、精油は咳や風邪の治療に用いられ、吸入剤・発赤剤としては筋肉の硬直やリウマチにとくに高い効果を示し、入浴時にはリラックス効果を得るために用いられます(文献2:2006)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品をはじめ、ボディケア製品、洗顔料、洗浄製品、メイクアップ化粧品など幅広く様々な製品に使用されます(文献1:2015;文献3:-;文献4:2015)

また、2014年に世界最大のIn-cosmeticsで銀賞を受賞したリデンシルという複合成分に毛乳頭刺激および毛髪幹細胞賦活作用でセイヨウアカマツ球果エキスも配合されており、脱毛抑制作用、育毛作用、ハリ・コシ強化による毛髪保護作用などの目的で育毛剤、ヘアケア製品、まつ毛美容液、アイメイクアップ化粧品などにも使用されます(文献5:2014)

リンパ管の正常化によるたるみ抑制作用

リンパ管の強化・正常化によるたるみ抑制作用に関しては、前提知識としてリンパ管の機能低下により起こるむくみ・たるみの仕組みを解説しておきます。

むくみが起こる仕組みは、リンパ液中に豊富に存在する脂肪酸がリンパ管の不安定化を引き起こし、脂肪酸がリンパ管の外へ漏れ出て、漏れ出た脂肪酸が脂肪細胞の分化を直接促進することにあります。

また、むくみは皮下脂肪の増大・蓄積に関与し、たるみを引き起こしていることが発見されています(文献4:2015)

そして、リンパ管の機能を高めるペプチド(生体因子)であるアペリンには、リンパ管から脂肪酸が漏れ出ることを抑制する機能があることが明らかになっており、さらにむくみによる皮下脂肪の蓄積を抑制することが発見されています(文献4:2015)

2015年に資生堂が報告したリンパ管の機能を高め皮下脂肪の増大・蓄積を抑制するアペリンと同じ機能を持つ生薬成分の検証によると、

アペリンは、リンパ管内皮細胞の細胞膜に存在するGタンパク共役型受容体APJに結合し、リンパ管を強化することが知られており、約200種の生薬成分の中からAPJに結合するアペリンと同等のリンパ管強化作用をもつ成分を探索したところ、マツエキス(セイヨウアカマツ球果エキス)を見出した。

マツエキスには、アペリンと同等に脂肪酸によるリンパ管の不安定化を抑制する効果があることがわかりました。

そこで、セイヨウアカマツ球果エキスを配合した製品を1日2回、2ヶ月間にわたって連続使用したところ、ほうれい線・フェイスライン・首のたるみを改善する効果があることが認められた。

このような結果が明らかにされており(文献4:2015)、セイヨウアカマツ球果エキスにはリンパ管の正常化(不安定化抑制)による抗むくみ作用・抗たるみ作用があると考えられます。

ただし、試験は人数や濃度が不明であり、一般的に化粧品配合量は1%未満であるため、試験よりも穏やかな抗むくみ作用および抗たるみ作用であると考えられます。

複合植物エキスとしてのセイヨウアカマツ球果エキス


リデンシルという複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 発毛幹細胞の活性化作用
  2. IL-8抑制による強力な酸化作用
  3. シスチン結合促進による毛幹強化作用
  4. 毛髪タンパク質強化による毛髪保護作用

とされており、植物エキスの相乗効果によって成長期の毛髪伸長促進、休止期の脱毛抑制および毛髪のハリ・コシ強化するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はリデンシルであると推測することができます(文献5:2014)

ファルコレックスBX32という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 抗菌(フケ菌)
  2. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)

とされており、植物エキスの相乗効果によって頭皮を多角的に健やかにするもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX32であると推測することができます。

ファルコレックスBX46という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. エラスチン保護(エラスターゼ阻害)
  2. 角質水分量増加
  3. 経表皮水分損失抑制
  4. 抗酸化(SOD様)
  5. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)

とされており、植物エキスの相乗効果によって炎症改善と同時に肌の水分量を向上および保持し、多角的に脂性肌やニキビ肌を健やかに整えるもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX46であると推測することができます。

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セイヨウアカマツ球果エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

セイヨウアカマツ球果エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セイヨウアカマツ球果エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セイヨウアカマツ球果エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セイヨウアカマツ球果エキスは保湿成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分 抗老化(抗シワ,抗たるみ)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 宇山 光男, 他(2015)「セイヨウアカマツ」化粧品成分ガイド 第6版,205.
  2. マリア・リス・バルチン(2011)「パイン精油」アロマセラピーサイエンス,311-314.
  3. 一丸ファルコス株式会社(-)「ファルコレックス マツ B」技術資料.
  4. “株式会社 資生堂”(2015)「資生堂、世界初・リンパ管の機能低下と「たるみ」の関係を解明」, <https://www.shiseidogroup.jp/releimg/2455-j.pdf> 2018年8月1日アクセス.
  5. Induchem(2014)「Redensyl®」技術資料.

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