スギナエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 収れん 抗シワ成分 抗老化成分 抗白髪成分
スギナエキス
[化粧品成分表示名称]
・スギナエキス

[医薬部外品表示名称]
・スギナエキス

トクサ科植物スギナ(学名:Equisetum arvense 英名:Common Horsetail)の全草からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

スギナエキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • ミネラル類:有機ケイ素
  • フラボノイド類:クエルセチン
  • サポニン類:エキセトニン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2016)

早春に姿を現すツクシはスギナの胞子茎で、いわゆるスギナは栄養茎です。

スギナは、フラボノイド類と5~8%に達するケイ酸塩を含み、古くから緩和な植物性利尿剤として用いられてきました(文献2:2016)

ケイ素は生物圏で酸素の次に多い元素で石英として存在しますが、一部は可溶化して植物に取り込まれ、シリカやケイ酸塩として含有されます(文献2:2016)

ケイ素は体内で骨や軟骨の発育やコラーゲン・エラスチンなどの結合組織の強化・合成促進に関与します(文献2:2016;文献3:2011)

スギナは、ドイツでは外傷後の浮腫に内用され、また膀胱炎や尿道炎などの泌尿器系の感染症や腎砂、尿砂に用いられ、外用では局所の止血や骨折、捻挫、リウマチ、痛風、関節炎に、また爪・髪の弱質化に湿布などで用いられます(文献2:2016)

漢方では、清熱・止咳・利尿の効能があり、鼻血、咳嗽、喘息、泌尿器疾患などに用います(文献3:2011)

日本の民間でも古くから利尿、鎮咳、解熱、止血薬として知られており、淋病、膀胱炎、浮腫、気管支炎、痔出血などに用いられています(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品をはじめ、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、洗浄製品、化粧下地、メイクアップ化粧品など幅広く様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献4:2012;文献5:2005)

皮膚の高分子ヒアルロン酸産生促進による抗シワ作用

皮膚の高分子ヒアルロン酸産生促進による抗シワ作用に関しては、前提知識として皮膚におけるヒアルロン酸の働きを解説しておきます。

以下の肌図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

真皮の潤い成分一覧

皮膚には、皮膚表面のバリア機能や保水機能を有する角質層を含む表皮層とその下に皮膚の保水・ハリ・弾力機能を有する真皮層があり、ヒアルロン酸は真皮層で多量の水分を保持し、とくに高分子ヒアルロン酸には抗酸化、線維芽細胞増殖促進、コラーゲン産生促進、抗炎症、血管新生抑制などの効果が知られています(文献4:2012)

また皮膚のヒアルロン酸は加齢により減少すること、さらに紫外線により直接的および分解酵素を介して間接的に低分子化が起こることも知られています(文献4:2012)

2012年にポーラ化成が実施した独自の抽出法で調整したスギナエキスに真皮線維芽細胞および表皮ケラチノサイトの高分子ヒアルロン酸の産生促進作用検証によると、

スギナエキスを添加して培養した表皮ケラチノサイトの培養上清を真皮線維芽細胞に加えて培養し、ヒアルロン酸量を測定したところ、無添加と比較して、以下のグラフのように、

真皮線維芽細胞のヒアルロン酸産生に対するスギナエキスの影響

無添加と比較して、30%のヒアルロン酸量増加が確認され、さらに産生されるヒアルロン酸の分子量が大きいことも確認され、高分子ヒアルロン酸合成酵素であるHAS2(Hyaluronan synthase 2)のmRNA(∗1)が増加していることも確認された。

∗1 mRNAとは、メッセンジャー・リボ核酸(messenger RNA)の略で、酵素などのタンパク質を細胞の中で合成するためにDNAの遺伝情報の一部を写し取り、伝達する核酸の一種です。

このような研究結果を明らかにしており(文献4:2012)、スギナエキスにヒアルロン酸産生促進作用が認められています。

ただし、この試験結果はポーラ化成の独自抽出によるスギナエキスに限定されるため、ポーラ製品およびポーラ関連メーカー製品のみに期待できる効果であると考えられます。

また、試験はin vitro試験であり、詳細が不明なため、化粧品に配合される場合は、試験よりも穏やかなヒアルロン酸産生促進作用である可能性が考えられます。

メラニン産生促進による抗白髪作用

メラニン産生促進による抗白髪作用に関しては、まず前提知識として毛髪における黒髪(黒色色素)のメカニズムとチロシナーゼについて解説します。

以下の毛髪の構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

毛髪の構造

毛髪の黒化は、色素細胞であるメラノサイトの活性によって行われていますが、白髪はメラノサイトがメラニンの産生を停止することで起こります(文献6:2002)

メラノサイト内でのメラニン黒化は、皮膚と同様以下のように、

チロシンがメラニンに変化するメカニズム

メラノサイト内に存在するアミノ酸の一種であるチロシンとチロシナーゼという酵素が結合することでドーパ → ドーパキノンと変化していくことで生合成されるため、これらのプロセスのいずれかまたは複数の作用を促進することで人為的に白髪の発生を抑制することが可能であると考えられています。

2005年に花王によって公開された技術情報によると、

白髪の発生の防止、改善効果に優れ、かつ安全性にも優れた白髪防止剤の検討を行ったところ、スギナ、スイカズラヒキオコシ、ブドウ、ヘチマ、セイヨウニワトコナギイカダおよびタイソウの抽出物にその作用を見出した。

in vitro試験においてマウス色素細胞を培養した培地に各植物抽出物1%と所定濃度のメラニン前駆物質を加え、2日間の培養後にっメラニン前駆物質の細胞内取り込み量を無添加を100として測定したところ、以下の表のように、

試料 メラニン前駆物質取り込み量
無添加 100
スギナ 221
スイカズラ 141
ヘチマ 177
ヒキオコシ 144
ブドウ 133
セイヨウニワトコ 152
ナギイカダ 126
タイソウ 136

スギナ抽出物は、メラニン前駆物質の取り込み量の有意な増加がみられたため、メラニン生成を増大させることがわかった。

また白髪のある21人の男性被検者(31~52歳)に0.5%スギナエキス配合製剤とスギナエキス未配合製剤をそれぞれ左右の頭部に別々に1日2回3ヶ月間にわたって塗布し、塗布部位の頭髪を試験前後で4段階(0:ほとんど改善なし、1:わずかに改善、2:やや改善、3:強く改善)で評価した。

その結果、スギナエキス配合製剤の平均値は2.0であり、やや改善効果がみられた。

これらの結果からスギナ抽出物は、メラニン生成を増大させ、白髪の改善効果がに優れていることが示された。

配合量は一般的に0.0001%~10%の範囲内が好ましく、とくに0.001%~5%の範囲内が好ましい。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2005)、スギナエキスにメラニン産生促進による抗白髪作用が認められています。

複合植物エキスとしてのスギナエキス

ファルコレックスBX46という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. エラスチン保護(エラスターゼ阻害)
  2. 角質水分量増加
  3. 経表皮水分損失抑制
  4. 抗酸化(SOD様)
  5. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)

とされており、植物エキスの相乗効果によって炎症改善と同時に肌の水分量を向上および保持し、多角的に脂性肌やニキビ肌を健やかに整えるもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX46であると推測することができます。

ファルコレックスBX50という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. オムツかぶれ改善(リパーゼ阻害)
  2. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
  3. リパーゼ活性阻害

とされており、植物エキスの相乗効果によってニキビや肌荒れの炎症を多角的に抑制するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX50であると推測することができます。

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スギナエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

スギナエキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

スギナエキスは保湿成分、収れん成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 収れん成分 抗老化成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,373.
  2. 林真一郎(2016)「スギナ」メディカルハーブの事典 改定新版,78-79.
  3. 鈴木 洋(2011)「問荊(もんけい)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,461.
  4. “ポーラ化成工業株式会社”(2012)「スギナに皮膚の高分子ヒアルロン酸産生を増加させる作用を確認」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20120119.pdf> 2018年7月29日アクセス.
  5. 花王株式会社(2005)「白髪防止剤」特開2005-068159.
  6. 朝田 康夫(2002)「毛の形態に関する疾患は」美容皮膚科学事典,383-384.

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