ジオウ根エキス(アカヤジオウ根エキス)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 血行促進成分 育毛剤
ジオウ根エキス
[化粧品成分表示名称]
・ジオウ根エキス、アカヤジオウ根エキス

[医薬部外品表示名称]
・ジオウエキス

ゴマノハグサ科植物ジオウ(学名:Rehmannia glutinosa)の根からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ジオウは、大きく分けてアカヤジオウとカイケイジオウに分類され、一般的にジオウというとアカヤジオウを指しますが、化粧品成分表示名では「ジオウ根エキス」と「アカヤジオウ根エキス」が存在します。

どちらもアカヤジオウ属で、学名でみるとRehmannia glutinosaの根の抽出物であり、成分組成も同様であることからここではジオウ根エキスとしてまとめて解説します(文献5:2005)

ジオウ根エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • イリドイド配糖体:カタルポール、レーマニオシドA,B,C,D
  • フェニルプロパノイド配糖体:アクテオシド
  • 糖類:スタキオース、マンニトール
  • アミノ酸:アルギニン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2017;文献5:2005)

生薬としての地黄は生地黄、乾地黄、熟地黄に大別され、生地黄は採取後3ヶ月以内の新鮮な根のことで、乾地黄は日干しあるいは加熱して乾燥させたものであり、熟地黄は新鮮な根を酒などで蒸した後で乾燥させたものになり、日本では乾地黄と熟地黄のみが流通していますが、日本薬局方では区別しておらずすべてジオウと規定しています(文献3:2011)

ジオウエキスやカタルポールには血糖降下や緩下、利尿作用などが認められており、漢方では生地黄、乾地黄、熟地黄の効能は区別されており、生地黄は清熱・涼血、乾地黄は清熱・養血、熟地黄は滋陰・補血と移行します(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品をはじめ、日焼け止め製品、ヘアケア&頭皮ケア製品、洗顔料、洗浄製品、まつげ美容液、パック&マスク、化粧下地、口紅など様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献5:2005)

5α-リダクターゼ阻害による抗脱毛作用

5α-リダクターゼ阻害による抗脱毛作用に関しては、前提知識として男性方脱毛症の仕組みを解説しておくと、以下の毛髪における男性ホルモン作用の仕組み図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

毛髪における男性ホルモン作用の仕組み

男性ホルモンの一種であるテストステロンは毛髪の毛乳頭細胞内で5α-リダクターゼという酵素により強力な男性ホルモン作用を有するDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、これが細胞内の男性ホルモンレセプターと結合することで男性型脱毛症の症状発生の引き金となるとされています。

つまり、5α-リダクターゼを抑制することで、DHTへの変換も抑制され、結果的に男性型脱毛症に伴う毛髪症状が改善されると考えられます。

2005年に一丸ファルコスによって報告されたジオウエキスの抗男性ホルモン作用検証によると、

テストステロンをクロロホルムにて溶解し、1.4%および7%ジオウエキスを加えた後に5α-リダクターゼを加えて37℃にて反応させたところ、以下のグラフのように、

ジオウエキスの5α-リダクターゼ阻害作用

ジオウエキスは濃度依存的に5α-リダクターゼを阻害する効果が確認された。

このような試験結果が明らかになっており(文献5:2005)、ジオウエキスには5α-リダクターゼ阻害作用が認められています。

ただし、試験では1.4%および7%濃度で行われており、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であると推測されるので、試験結果ほど有意な5α-リダクターゼ阻害作用は見込めず、かなり穏やかな作用であると考えられます。

血流改善作用

血流改善作用に関しては、同じく2005年に一丸ファルコスによって報告された皮膚温度回復比較検証によると、

健康な男女2人(40代男性1人、20代女性1人)に恒温恒湿室(室温25±1,湿度50±5%)にて30分間馴化したあとにサーモグラフィにて温度を測定した。

次に25℃に保った25%ジオウエキス水溶液および比較として50%エタノール水溶液(ジオウエキス無添加)に被検者の手を手首まで5分間浸し、十分に拭き取った後、手の甲の温度を測定したところ、以下のグラフのように、

 ジオウエキスの皮膚表面温度回復作用

ジオウエキスを塗布した手の温度はジオウエキス無添加に比べてより速やかに回復した。

この結果よりジオウエキスには皮膚温の回復を促進させる作用、すなわち皮膚の血流を改善する作用が期待できる。

このような試験結果が明らかになっており(文献5:2005)、ジオウエキスに血流改善作用が示唆されています。

ただし、試験は25%濃度で行われており、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であると推測されるので、試験結果ほど有意な血流改善作用は見込めず、かなり穏やかな作用であると考えられます。

血流改善作用および5α-リダクターゼ阻害作用による育毛作用

ジオウ根エキスの育毛作用機序は、5α-リダクターゼ阻害作用と頭皮の血流改善作用によるものですが(文献5:2005)、これらはすでに解説したように、試験での濃度が高く、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であると推測されるので、試験よりもかなり穏やかな作用であると考えられるため、育毛作用も同様にかなり穏やかな作用であると推測されます。

複合植物エキスとしてのジオウ根エキス

混合植物エキスOG-D1という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミンを中和・分解する消臭作用
  2. タバコ臭を中和・分解する消臭作用

とされており、それぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって4大悪臭およびタバコ臭を多角的に消臭するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合は混合植物エキスOG-D1であると推測することができます(文献6:2015)

混合植物エキスOG-1という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角層水分量増加作用
  2. 経表皮水分蒸発量抑制作用
  3. バリア機能向上
  4. 乾燥によるかゆみの減少

とされており、それぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によってキメが整い水分保持能を有する健常な皮膚へ改善するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合は混合植物エキスOG-1であると推測することができます(文献6:2015)

混合植物エキスOG-2という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 血行促進作用

とされており、それぞれを個別抽出したエキスよりも同時抽出したエキスの相乗効果で高い血行促進作用を示すもので、入浴剤をはじめ化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合は混合植物エキスOG-2であると推測することができます(文献6:2015)

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ジオウ根エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ジオウ根エキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されている漢方生薬であり、また外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されている成分でもあり、化粧品配合範囲内において、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)、光毒性および光感作性の報告もないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“池田回生病院皮膚科”の「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」(文献4:1996)によると、

  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の両前腕内側に2%ジオウ根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を20分FinnChamber適用し、パッチ除去10分後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激反応および接触蕁麻疹反応はなかった
  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の背部に2%ジオウ根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を48時間FinnChamber適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、4人の被検者にわずかな紅斑が観察され、1人の被検者に明瞭な紅斑が観察されたが、72時間後には反応は観察されず、これらの反応は許容範囲内であると考えられた。他の被検者に皮膚刺激および皮膚感作反応は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、紅斑反応は許容範囲内であると判断されており、また化粧品に配合する場合の濃度は1%未満であるため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

光毒性および光感作性について

“池田回生病院皮膚科”の「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」(文献4:1996)によると、

  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の背部に2%ジオウ根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を48時間FinnChamber適用し、パッチ除去に塗布部位の左半分をアルミ箔を入れた黒色テープで覆い、UVAライト(3.0J/c㎡)を12.5cmの距離で5分間照射し、照射30分後および翌日に皮膚反応を評価したところ、皮膚反応は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ジオウ根エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ジオウ根エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ジオウ根エキスは保湿成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,371.
  2. 原島 広至(2017)「ジオウ(地黄)」生薬単 改訂第3版,250-251.
  3. 鈴木 洋(2011)「地黄(じおう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,190.
  4. 須貝 哲郎(1996)「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」皮膚(38)(4),448-456.
  5. 伴野 規博(2005)「血流促進と抗男性ホルモン作用を併せ持つジオウエキスの育毛効果」Fregrance Journal(33)(12),73-78.
  6. “小川香料株式会社”(2015)化粧品用エキス剤混合植物エキスOGシリーズ

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