シラカンバ樹液とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 ベース成分
シラカンバ樹液
[化粧品成分表示名称]
・シラカンバ樹液

[慣用名]
・シラカバ樹液、白樺樹液

カバノキ科カバノキ属の落葉樹の一種で、早春の開花および開葉までの1カ月間に限り、白樺(シラカンバ)の幹に穴をあけて得られる無色透明のサラサラした溢出樹液です。

別名シラカバと呼ばれ、シラカンバ樹液の成分組成は、

  • グルコース(糖類):48.0%
  • フラクトース(糖類):41.0%
  • リンゴ酸(有機酸):3.1%
  • コハク酸(有機酸):0.2%
  • シトルリン(アミノ酸):0.15%
  • グルタミン(アミノ酸):0.1%
  • カリウム(ミネラル):微量
  • リン(ミネラル):微量
  • カルシウム(ミネラル):微量

となっており(文献1:2008)、古来よりシラカンバ樹液は民間療法として、フィンランド、ロシア、中国、韓国などの北方諸国で飲まれており、また日本では北海道で先住民族であるアイヌの人々の間で飲用、調理用として用いられてきました。

シラカンバ樹液の飲用は抗疲労、抗ストレスの効果が知られていますが、化粧品に配合される場合は、とくに保湿作用が期待できます。

株式会社コーセーによって2008年に報告されたシラカンバ樹液の培養ヒト表皮角化細胞に関する研究(文献1:2008)によると、

正常ヒト表皮角化細胞を培養し、それぞれ10分の1に濃縮したシラカンバ樹液をそれぞれ0.1%,1%,2%および3%濃度で添加し9日間培養し、保湿因子であるフィラグリンおよびバリア形成因子であるインボルクリンの産生量を調査したところ、

1/10濃縮シラカンバ樹液のフィラグリン産生量への影響

1/10濃縮シラカンバ樹液のインボルクリン産生量への影響

それぞれ濃度依存的に産生量が活性することが明らかとなった。

このことから、シラカンバ樹液はNMFの産生やCE(comified cell envelope)の形成成分を共に促進させることにより、老化や乾燥に伴い減少する皮膚の潤い機能やバリア機能に関わる因子に働きかけ、皮膚の恒常性の維持において有用である可能性が示唆された。

このような研究結果なのですが、専門性が高いので解説していきますが、まず結論からいうと、シラカンバ樹液が結果的に角層の保湿成分であるNMF(天然保湿因子)と表皮のバリア機能を高めると示唆しています。

それはなぜかというと、以下の表皮の肌図を用いて解説しますが、

肌と保湿成分の関係

角質層は角質の中の保湿成分であるNMF(天然保湿因子)と角質の隙間を満たす細胞間脂質で構成されており、この両者が正常に働くことでバリア機能が発揮されています。

ただし、天然保湿因子も細胞間脂質もいきなり角質層で生成されるのではなく、その素となる因子が産生されて顆粒層で酵素などで分解されながらNMFなどになります。

NMFは様々な成分がありますが、主に水分保持能の高い低分子NMFである遊離アミノ酸、ウロカニン酸、ピロリドンカルボン酸などはフィラグリンから産生され、フィラグリンもまたプロフィラグリンという高分子前駆タンパクから分解されてできます。

プロフィラグリンからNMFに変化する仕組み

一方で、セラミドと結合し、バリア機能として強固な膜を形成するCEは有棘層から顆粒層で発現するインボルクリンがトランスグルタミナーゼという酵素と結合して変化することで産生されます。

インボルクリンからCEに変化する仕組み

つまり、シラカンバ樹液は、角層の保湿成分であるNMFおよびバリア機能に重要な役割を果たしているCEそれぞれの変化前段階であるフィラグリンおよびインボルクリンの産生を有意に高める作用があることから、結果的にNMF(天然保湿因子)とバリア機能を高めると示唆されたということです。

スポンサーリンク

シラカンバ樹液の安全性(刺激性・アレルギー)について

シラカンバ樹液の現時点での安全性は、古くから飲用されており、成分組成的にも皮膚刺激はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足により詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

試験結果や安全データはみあたりませんが、古くから飲用されており、成分組成的にも皮膚刺激がないと推測されるため、皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データはみあたらないため、データ不足により詳細不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみあたりませんが、古くから飲用されており、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告はないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

シラカバによる花粉症の場合でもシラカンバ樹液は花粉と成分が異なるため、一般的に問題ないとされています。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
シラカンバ樹液 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、シラカンバ樹液は毒性なし(∗1)となっており、安全性の高い成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

シラカンバ樹液は保湿成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 森山 正大, 成 英次, 三﨑 裕子, 林 昭伸(2008)「シラカンバ (Betula platyphylla Sukatchev var. japonica Hara) 樹液の培養ヒト表皮角化細胞の分化に及ぼす影響」, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj1979/42/2/42_2_94/_article/-char/ja> 2018年4月20日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ