シア脂(シアバター)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 紫外線吸収剤 抗炎症成分
シア脂(シアバター)
[化粧品成分表示名称]
・シア脂

[医薬部外品表示名称]
・シア脂

[慣用名]
・シアバター

中央アフリカに自生するアカテツ科植物シアの果実や種子から得られる白色~淡黄色のオイルで、融点が28℃~45℃と低く肌の上でも溶けるバター状の塊です。

シアは樹高が15mにもおよぶ喬木であり、中央アフリカに広く分布しています。

シアの木

海外の文献(文献2:2017)によると、シア脂の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):37.1~62.1%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):25.6~50.2%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):0.6~10.8%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):2.6~9%
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):0.3~5%
  • ミリスチン酸(飽和脂肪酸類):0.5%
  • リノレン酸(不飽和脂肪酸類):~0.5%

となっており、ヨウ素価は45~77となっています(文献1:2011)

バルサム様の芳香をもち、ヒトの体温でも融解する性質に加え低粘度で潤滑性、拡散、浸透性に優れ、香料の保留性が良好であることから広く化粧品に使用されています。

化粧品として配合される場合、肌の柔軟性に優れ、水分保持効果の持続性も認められているため、乾燥から肌を守るタイプのスキンケア化粧品へ配合されたり、乳化製品やオイル製品にコクを与える感触調整として配合されることもあります。

保湿効果に関しては古くから研究されて実証されているのでデータのひとつを掲載しておきます。

シア脂の保湿効果

上のグラフは、被験者10名の腕に5%シアバター配合クリーム、またはプラセボクリーム(無添加で何も効果もないクリーム)を1日1回、30日間つけて皮膚水分量を計測したものです。

結果として、5%シアバター配合クリームは短時間(0.5時間)で保湿効果を示し、15日~30日と連続で適用することで効果が持続することが明らかになりました。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

シア脂の配合製品数と配合量の調査結果

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シア脂の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

シア脂の現時点での安全性は、皮膚刺激性や光毒性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、アレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 114人の被検者に0.1%シア脂を含むスカルプコンディショナーを適用したところ、一次刺激性はなかった
  • [ヒト試験] 119人の被検者に2%シア脂を含むクリームを適用したところ、一次刺激性はなかった
  • [ヒト試験] 110人の被検者に0.1%シア脂を含むスカルプコンディショナーを閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 116人の被検者に2%シア脂を含むクリームを閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者に4%シア脂を含むフェイスクリーム20μLを閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に4%シア脂を含むアイクリーム20μLを閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 104人の被検者に23.5%シア脂を含むリップグロスを繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 104人の被検者に23.7%シア脂を含むリップグロスを繰り返し適用(HRIPT)したところ、誘導期間中の5~9日目に1人の被検者に皮膚刺激が観察された。皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 109人の被検者に45%シア脂を含むボディマッサージオイルを繰り返し適用(HRIPT)したところ、一次刺激性および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 31人の被検者に45%シア脂を含むボディマッサージオイルを1日2回2週間にわたって使用してもらったところ、紅斑、浮腫および乾燥の兆候はなかった
  • [動物試験] 3匹のウサギの剃毛した腰部にシア脂0.5mLを4時間閉塞パッチ適用したところ、非常にわずかな紅斑が観察されたが3日目または4日目には正常にもどった
  • [動物試験] Maximization試験として10匹のモルモットに誘導期間において75%シア脂を、チャレンジ期間においては20%および50%シア脂を適用したところ、皮膚の過敏反応の兆候は観察されなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

眼刺激性に関しては試験結果や安全性データがみあたらないため、データ不足につき詳細は不明です。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [動物試験] 10匹のモルモットに10%および20%シア脂を含むアセトンを適用し、次いでUV-Bを80秒照射し、続いてUV-Aを80分間照射したところ、光毒性はなかった

と記載されています。

試験結果は動物のものひとつのみですが、使用実績が古い中で光毒性の報告もないため、光毒性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
シア脂 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、シア脂は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

シア脂は保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年11月17日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2017)「Safety Assessment of Butyrospermum parkii (Shea)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR720.pdf> 2017年11月17日アクセス.

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