コレステロールとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 エモリエント成分 安定化成分
コレステロール
[化粧品成分表示名称]
・コレステロール

[医薬部外品表示名称]
・コレステロール

ヒトを含む哺乳動物の組織内に広く存在している重要な生体成分で、融点が約150℃のオイルにはよく溶けるが水には溶けない白色の薄片状または粒状の結晶です。

コレステロールというと健康分野ではコレステロールを摂ると動脈硬化などの危険が高まると言われていたり、健康診断などでコレステロールの数値が高い方はコレステロールを含む化粧品をつけるとコレステロールが増えてしまう心配があるかもしれませんが、コレステロールは肌の表皮の細胞間脂質の中でセラミドと似たような保水の役割をしています。

細胞間脂質を知らない方のために簡単に解説しておくと、以下の図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

細胞間脂質

肌の一番上の表皮の角質と角質の隙間を埋めるのが細胞間脂質で、細胞間脂質の構成は、

  • セラミド:50%
  • 脂肪酸:20%
  • コレステロールエステル:15%
  • コレステロール:10%
  • 糖脂質:5%

となっています。

コレステロールエステルというのは脂肪酸とくっついているコレステロールで、コレステロールは脂肪酸とくっついていない遊離型コレステロールのことなので、大きく分類するとコレステロールの比率は25%となります。

細胞間脂質の役割を担っていることからも想像できるように、コレステロールは水分を抱え込む働きがあり保湿効果やエモリエント効果に優れているだけでなく、リポゾームなど生体と親和性の高い構造を安定させるために配合されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

コレステロールの配合製品数と配合量の調査

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コレステロールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

コレステロールの現時点での安全性は、最小~軽度の皮膚刺激性および最小の眼刺激性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)、光感作性および光毒性はなく、安全性には問題ない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cholesterol」(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 23人の被検者に1.4%コレステロールを含む保湿基剤0.3gを閉塞パッチ下で72時間適用し、パッチ除去後(72時間)およびその24時間後(96時間)に0~4のスケールで刺激性を評価したところ、平均刺激スコアは72時間で0.31、96時間で0.22であり、保湿基剤は最小限~軽度の刺激性であった
  • [ヒト試験] 25人の被検者に1.4%コレストロールを含む保湿基剤0.3gを閉塞パッチ下で72時間適用し、パッチ除去後(72時間)およびその24時間後(96時間)に0~4のスケールで刺激性を評価したところ、平均刺激スコアは72時間で0.24、96時間で0.28であり、保湿基剤は軽度の刺激性であった
  • [ヒト試験] 26人の被検者に1.4%コレストロールを含む3つの保湿基剤を閉塞パッチ下で72時間適用し、パッチ除去後(72時間)およびその24時間後(96時間)に0~4のスケールで刺激性を評価したところ、1つ目の平均刺激スコアは72時間で0.24、96時間で0.28であり、保湿基剤は軽度の刺激性であった。2つ目の保湿剤は、26人の被検者に用いて72および96時間後の平均刺激スコアは0.17および0.23であった。3つ目の保湿剤は25人の被検者を用いて試験したところ、72時間で0.42であり、96時間で0.48で、弱い刺激剤であった
  • [ヒト試験] 10人の被検者の前腕の手のひら側に1.4%コレステロールを含む製剤0.3gを1日1回、10回連続で閉塞パッチ適用し、0~4の5段階スケールで毎日刺激性を評価したところ、すべての被検者において反復適用後に刺激スコア1に相当する軽度な紅斑が生じた。最も早かったのは4回目の適用で、最も遅かったのは9回目の適用であった。刺激指数は最大40のうち3.5で、軽度の刺激物であった
  • [ヒト試験] 8人の被検者5つの2.7%コレステロールを含むワセリン0.3gを21日間累積刺激試験として週5回3週間にわたって閉塞パッチ下で適用し、0~4の5段階スケールで評価したところ、いずれの評価においてもスコアは1で、軽度の紅斑が観察された。5つのコレステロール含有製剤の累積刺激指数は最大60のうち10.1、10.0、0.8、3.4、9.5で、最小限~軽度の刺激性と結論付けられた
  • [ヒト試験] 8人の被検者に1.4%コレステロールを含む保湿剤を反復パッチ適用したところ、皮膚刺激指数は最大8.0のうち1.4であり、最小限の皮膚刺激性であった
  • [ヒト試験] 87人の被検者に誘導期間として1.7%コレステロールを含む保湿クリーム0.1mLを24時間閉塞パッチ下で週3回3週間連続で適用し、7週間目にチャレンジパッチを未処置部位に24時間適用した。パッチ除去24オヨビ48時間後に評価したところ、3人の被検者は誘導期間の1回目でほとんど知覚できないほどの紅斑を生じ、1人の被検者は3回目でほとんど知覚できないくらいの紅斑反応を示した。チャレンジパッチにはいずれの被検者も反応を示さなかった。1.7%コレステロールを含む保湿剤はこれらの試験条件下では最小限の刺激剤であり、皮膚感作剤ではなかった
  • [ヒト試験] 15人の被検者の背中に1.4%コレステロールを含む保湿ベース0.3mLを月~金まで週5回24時間閉塞パッチ下で合計14回適用し、パッチ除去直後に毎回評価したところ、15人の被検者の14日間の合計スコアは23で、累積刺激指数は最大40のうち1.5であった。チャレンジパッチに対する反応は陰性であった。この保湿ベースは最小の累積刺激剤であり、皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に誘導期間として1.366%コレステロールを含む7つの保湿基剤0.3mLまたは0.3gを月~金まで同じ場所に合計21箇所の閉塞パッチを合計21回適用し、14日の無処置期間を経てチャレンジパッチを未処置部位に24時間閉塞適用した。パッチ除去1,24,および48時間後に刺激スコアをつけたところ、7つすべての保湿基剤が最小の皮膚刺激性であり、平均刺激スコアは最大60のうち、それぞれ4.70、5.60、6.00、3.65、3.30、4.30および4.70であった。チャレンジパッチには反応はみられず、いずれの製品も感作物質ではないことが示された

と記載されています。

試験結果では、共通して最小限~軽度の皮膚刺激性を示しており、また皮膚感作性はいずれの試験でも観察されていないため、最小~軽度の皮膚刺激がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cholesterol」(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの2グループの片眼に5%コレステロールを含むトウモロコシ油0.1mLを点眼し、目をすすがず、Draize法に基づいて評価したところ、1つのグループに点眼した1日後では眼刺激スコアは0であり、もうひとつのグループは2匹のウサギに軽度の結膜刺激がみられた。すべての刺激スコアは2日目には0であった。眼刺激スコアは第1グループで最大110のうち0、第2グループで1であり、5%コレステロールを含むトウモロコシ油は最小の眼刺激性であった
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に6%コレステロールを含むフェイスクリーム0.1mLを点眼し、点眼30秒後に3匹のウサギは処理した眼をすすいだ。点眼の1,2,3,4および7日目に眼刺激性を評価したところ、目をすすいでいない6匹のウサギのうち2匹にわずかな角膜紅斑がみられ、5匹に結膜の赤みが観察された。3~7日目には刺激は観察されなかった。目がすすがれた3匹のウサギのうち2匹は1日目に結膜の赤みが観察された。このフェイスクリームはわずかな眼刺激剤であると結論付けられた
  • [動物試験] 6匹のウサギに1.7%コレステロールを含む保湿製剤を点眼し、眼をすすがず、評価したところ、24時間で4匹のウサギが軽度の結膜刺激性を示したが、48時間後には炎症は認められなかった。この保湿製剤の眼刺激スコアは最大110のうち2であり、最小の眼刺激性であった

と記載されています。

試験結果は共通して最小の眼刺激性が観察されているため、最小の眼刺激性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cholesterol」(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に1.4%コレステロールを含む保湿基剤を6時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後Schott WG345フィルターを有する150Wキセノンソーラーシミュレーターで試験部位を照射し、照射24および48時間後に評価したところ、いずれの部位においても反応はなく、これらの試験条件下では光毒性を有していなかった
  • [ヒト試験] 110人の被検者に6%コレステロールを含むフェイスクリームを背中には閉塞パッチ下で、耳の後ろには開放パッチ下で48時間適用し、1日無処置期間を設けて再度閉塞パッチを48時間適用し、パッチ除去後に評価した。評価後にHanovia Tanette Mark Iランプ(300~370nm)を照射し、48時間後に光増感について評価したところ、パッチ適用のどの段階においても皮膚反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 25人の被検者の背中の真ん中に1.4%コレステロールを含む保湿剤を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後キセノンソーラーシミュレーター(UVA放射)を照射した。この手順を48時間間隔で同じ部位に3週間にわたって合計6回繰り返し、最後の誘導パッチの10日後に24時間閉塞チャレンジパッチを適用した後、ソーラーシミュレータ-を照射した。照射48および72時間後にチャレンジ部位を評価したところ、いずれの試験においても皮膚反応はなく、この保湿基剤は光感作剤ではなかった

と記載されています。

試験結果は共通して光毒性および光感作性なしと結論づけられているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コレステロール 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コレステロールは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

コレステロールは保湿成分とエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Cholesterol」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818609141922> 2017年11月16日アクセス.

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