コメヌカエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 バリア改善 美白 抗酸化成分
コメヌカエキス
[化粧品成分表示名称]
・コメヌカエキス

[医薬部外品表示名称]
・コメヌカエキス

イネ科植物イネ(学名:Oryza sativa 英名:Rice)の米糠(種皮・果皮)を水やBG(1,3-ブチレングリコール)などで抽出したエキスです。

コメヌカエキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 糖類
  • γ-オリザノール
  • フェルラ酸
  • ビタミンB₁
  • ナイアシン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:-)

イネは、インド北部から中国の雲南省を原産とし、アジアおよび世界各国で食用として広く栽培されており、日本でも縄文時代の晩期には北九州で稲作が行われていました。

コメヌカの成分としては、生体内エネルギーの運用システムに必要不可欠なリンや皮膚の発育や健常維持に必要な亜鉛、皮膚炎の予防因子であるナイアシンなどが特に多く含まれていることが特徴で、それに加えてアミノ酸、糖類、脂質成分などが多く含まれています(文献4:1998)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗浄製品、洗顔料、ヘアケア製品、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献3:1995;文献4:1998;文献5:2006;文献9:2006)

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用に関しては、まず前提知識としてセラミドについて解説します。

以下の角質層の構造および細胞間脂質におけるラメラ構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

角質層の構造

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

角質層のバリア機能は、生体内の水分蒸散を防ぎ、外的刺激から皮膚を防御する重要な機能であり、バリア機能には角質と角質の隙間を充たして角質層を安定させる細胞間脂質が重要な役割を果たしています。

細胞間脂質は、主にセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成され、これらの脂質が角質細胞間に層状のラメラ構造を形成することによりバリア機能を有すると考えられています。

セラミドは、細胞間脂質の50%以上を占める主要成分であり、皮膚の水分保持能およびバリア機能に重要な役割を果たしており、バリア機能が低下している皮膚では角質層中のセラミド量が低下していること(文献6:1989)、またアトピー性皮膚炎患者では角質層中のコレステロール量の減少は認められないがセラミド量は有意に低下していることが報告されています(文献7:1991;文献8:1998)

またヒト皮膚には7系統のセラミドが存在することが確認されており、全種類のセラミドが角質層に存在する比率で補われることが理想的ですが、セラミドを適正な比率で補充することは技術的に困難であるため、生体内におけるセラミド合成を促進することが重要であると考えられています。

2006年に日本メナード化粧品によって公開された技術情報によると、

生体内におけるセラミド合成を促進する成分・物質を検討したところ、コメ、クズアンズスイカズラユキノシタ、テンチャ、ラフマ、サンザシイザヨイバラ、エゾウコギ、ナツメシソオウレンサイシン、コガネバナ、キハダクワボタンシャクヤクチンピムクロジチョウジユリダイズシロキクラゲの抽出物によりセラミド合成が促進されることを見出した。

in vitro試験において、マウスケラチノサイト由来細胞を培養した培地を用いて、試料未添加のセラミド合成促進率を100とした場合の試料添加時のセラミド合成促進量を計測したところ、以下の表のように、

試料 抽出方法 10μg/mLあたりのセラミド合成促進率(%)
コメ 熱水 110
エタノール 115
クズ 熱水 133
エタノール 145
アンズ 50%BG水溶液 123
エタノール 137
スイカズラ 熱水 116
エタノール 122
ユキノシタ 熱水 121
テンチャ エタノール 115
ラフマ エタノール 114
サンザシ 50%BG水溶液 130
イザヨイバラ 熱水 112
エタノール 115
エゾウコギ 熱水 129
ナツメ 熱水 162
エタノール 152
シソ エタノール 187
オウレン 熱水 150
サイシン 熱水 145
エタノール 165
コガネバナ 50%BG水溶液 118
熱水 121
キハダ 熱水 178
エタノール 195
クワ 熱水 129
エタノール 145
ボタン 熱水 116
50%BG水溶液 126
シャクヤク 熱水 112
チンピ 熱水 111
エタノール 117
ムクロジ エタノール 115
チョウジ 熱水 114
ユリ 50%BG水溶液 115
ダイズ エタノール 120
熱水 129
シロキクラゲ 熱水 125

コメ抽出物は、無添加と比較してセラミド合成促進効果を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2006)、コメヌカエキスにセラミド合成促進による保湿・バリア改善作用が認められています。

チロシナーゼ活性低下による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性低下による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユーメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノン、ドーパクロムへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

1995年に共栄化学工業によって公開された技術情報によると、

in vitro試験において培養B16メラノーマ細胞を用いた培地に5%または10%コメヌカ抽出物を添加し、ドーパクロムの生成量を測定したところ、以下のグラフのように、

コメヌカ抽出物のチロシナーゼ活性抑制作用

コメヌカ抽出物は、細胞活性をほとんど阻害することなく濃度依存的にドーパクロムの生成量を低下させ、細胞内チロシナーゼ活性の抑制を示した。

なお配合量は0.0005%~5%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.005%~1%の範囲内が好ましい。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1995)、コメヌカエキスにチロシナーゼ活性低下による色素沈着抑制作用が認められています。

ただし、試験は5%および10%で行われており、化粧品の配合量は一般的に1%以下と考えられるため、1%以下濃度においてはかなり穏やかな作用傾向であると考えられます。

また1998年にテクノーブルによって報告された技術資料によると、

in vitro試験において培養B16メラノーマ細胞を用いた培地にコメヌカ抽出物を添加し、細胞内チロシナーゼ活性を測定したところ、以下のグラフのように、

B16細胞におけるコメヌカ抽出物のメラニン生成抑制効果

コメヌカ抽出物は、濃度依存的に細胞内チロシナーゼ活性が低下することがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:1998)、コメヌカエキスにチロシナーゼ活性低下による色素沈着抑制作用が認められています。

ただし、試験は5%および10%で行われており、化粧品の配合量は一般的に1%以下と考えられるため、1%以下濃度においてはかなり穏やかな作用傾向であると考えられます。

グルタチオンレダクターゼ活性増強による抗酸化作用

グルタチオンレダクターゼ活性増強による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として生体内における活性酸素の構造とグルタチオンレダクターゼについて解説します。

生体内における活性酸素は以下のように、

酸素(O₂) → スーパーオキシド(O₂⁻) → 過酸化水素(H₂O₂) → ヒドロキシラジカル(・OH)

最初に酸素と反応(電子を取り込む)して、まず活性酸素のスーパーオキシドを発生させ、発生したスーパーオキシドは活性酸素分解酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって水に分解されますが、その過程で活性酸素である過酸化水素が発生します。

発生した過酸化水素は、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼによって、また抗酸化物質であるグルタチオンを用いてグルタチオンペルオキシターゼによって水に分解されますが、それでも処理できない場合は、ヒドロキシラジカルを発生させます。

グルタチオンは細胞内で酸化型と還元型の2種類の構造で存在し、酸化還元酵素であるグルタチオンレダクターゼにより酸化型のグルタチオンは還元型に変換され、細胞内の還元能力が保持されています。

ただし、紫外線などの酸化ストレスにより皮膚中のグルタチオンレダクターゼ活性が低下することが知られており(文献10:1989)、還元型グルタチオンの生成量が減少し、細胞の還元能力が低下することで、過酸化物による傷害がその防御反応を超えたとき、皮膚は酸化され、細胞機能が劣化して老化していくと考えられます。

そのため、細胞の還元能力を保持するためには、還元型グルタチオンの濃度を上げることが重要であり、還元型グルタチオンの生成を促進するグルタチオンレダクターゼは、細胞の還元能力を保持する重要な酵素であると考えられます。

2006年に日本メナード化粧品によって公開された技術情報によると、

細胞内のグルタチオンレダクターゼの活性を増強させて、還元型グルタチオンの生体濃度を高め、還元型グルタチオンの欠乏により生じる過酸化物の皮膚障害からの防御作用に優れた成分を検討したところ、メハジキ、カンゾウ、エゾウコギ、サイシン、コメヌカ、センキュウユリおよびシロキクラゲにその効果を見出した。

in vitro試験においてヒト表皮角化細胞を培養した培地に各植物抽出物900μLと9.5mM酸化型グルタチオンなどを添加し、グルタチオンレダクターゼ活性を測定し、同時に試料溶液のタンパク濃度を測定し、試料未添加の細胞におけるグルタチオンレダクターゼ活性を100としたときの試料添加のグルタチオンレダクターゼ活性を細胞内グルタチオンレダクターゼ活性として算出したところ、以下の表のように、

試料(エタノール抽出物) 細胞内グルタチオンレダクターゼ活性(%)
無添加 100
メハジキ 130
カンゾウ 121
エゾウコギ 119
サイシン 121
コメ 115
センキュウ 116
ユリ 112
シロキクラゲ 105

コメ抽出物は、無添加と比較して細胞内グルタチオンレダクターゼ活性化作用が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献9:2006)、コメヌカエキスにグルタチオンレダクターゼ活性増強による抗酸化作用が認められています。

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コメヌカエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

コメヌカエキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性はほとんどなく、重大な皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

共栄化学工業の安全性試験データ(文献12:2000)によると、

  • [in vitro試験] 眼粘膜刺激試験の代替法である培養ウサギ角膜細胞を用いた試験によりコメヌカエキスの皮膚刺激性を評価したところ、比較対照のコウジ酸やアルブチンに比べて皮膚刺激が少なく、安全性の高い美白化粧料を得ることができると結論づけた
  • [ヒト試験] 20人の女性被検者(18~50歳)の上背部にコメヌカエキス配合クリームを1日2回1ヶ月間塗布し、塗布部の紅斑を目視で観察し評価したところ、いずれの被検者にも紅斑は観察されなかったため、安全性が高いと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激はおよび皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性ほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの「Safety assessment of Oryza Sativa (Rice) Bran Oil, Oryza Sativa (Rice) Germ Oil, Rice Bran Acid, Oryza Sativa (Rice) Wax, Hydrogenated Rice Bran Wax, Oryza Sativa (Rice) Extract, Oryza Sativa (Rice) Bran Extract, Oryza Sativa (Rice) Germ Powder, Oryza Sativa (Rice) Starch, Oryza Sativa (Rice) Bran, Hydrolyzed Rice Bran Protein, and Hydrolyzed Rice Protein」(文献11:2001)によると、

  • コメヌカエキスを含むベニバナオイルは、照射治療を含めた2つの臨床試験においてどちらも光毒性および光感作性を示さなかった(Elder;1985)

と記載されています。

詳細な試験データは不明ですが、掲載された安全性データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

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コメヌカエキスは保湿成分、バリア改善成分、美白成分、抗酸化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 バリア改善成分 美白成分 抗酸化成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,370.
  2. 丸善製薬株式会社(-)「米糠(こめぬか)」技術資料.
  3. 共栄化学工業株式会社(1995)「美白化粧料」特開平7-304648.
  4. 山田 勝久(1998)「米由来成分の化粧品への応用」Fragrance Journal(26)(3),13-18.
  5. 日本メナード化粧品株式会社(2006)「セラミド合成促進剤」特開2006-111560.
  6. G Grubauer, et al(1989)「Transepidermal water loss:the signal for recovery of barrier structure and function.」The Journal of Lipid Research(30),323-333.
  7. Imokawa G, et al(1991)「Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin?」J Invest Dermatol.(96)(4),523-526.
  8. Di Nardo A, et al(1998)「Ceramide and cholesterol composition of the skin of patients with atopic dermatitis.」Acta Derm Venereol.(78)(1),27-30.
  9. 日本メナード化粧品株式会社(2006)「グルタチオンレダクターゼ活性増強剤」特開2006-111545.
  10. Jürgen Fuchs M.D, et al(1989)「Impairment of Enzymic and Nonenzymic Antioxidants in Skin by UVB Irradiation.」Journal of Investigative Dermatology(93)(6),769-773.
  11. Cosmetic Ingredient Review(2001)「Safety assessment of Oryza Sativa (Rice) Bran Oil, Oryza Sativa (Rice) Germ Oil, Rice Bran Acid, Oryza Sativa (Rice) Wax, Hydrogenated Rice Bran Wax, Oryza Sativa (Rice) Extract, Oryza Sativa (Rice) Bran Extract, Oryza Sativa (Rice) Germ Powder, Oryza Sativa (Rice) Starch, Oryza Sativa (Rice) Bran, Hydrolyzed Rice Bran Protein, and Hydrolyzed Rice Protein」Final Amended Report
  12. 共栄化学工業株式会社(2000)「美白化粧料」特開2000-264834.

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