グレープフルーツ果実エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 収れん成分 バリア機能
グレープフルーツ果実エキス
[化粧品成分表示名称]
・グレープフルーツ果実エキス

[医薬部外品表示名称]
・グレープフルーツエキス

ミカン科植物グレープフルーツ(学名:Citrus grandisまたはCitrus Paradisi)の果実から抽出して得られるエキスです。

グレープフルーツ果実エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • テルペノイド類:d-リモネン
  • デカノール
  • オクタノール
  • リナロール
  • ヌートカトン
  • ビタミン類:ビタミンA,C,P

などで構成されています(文献2:2006;文献3:-)

アロマテラピーでは、消化器系の働きを正常化し、リンパの流れを改善する目的で使用されています(文献3:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの作用があるとされており、キメを整え肌を滑らかに保つ目的で化粧水、クリームなどのスキンケア化粧品、パック、ヘアケア製品、洗顔料などに使用されます(文献2:2006)

バリア機能改善作用

バリア機能改善作用に関しては、2017年に株式会社ファンケルによるグレープフルーツ果実エキスのバリア機能改善研究結果によると、

細胞内にあるビタミンCと特異的に結合して生理作用を発現する機能を持つビタミンD受容体(VDR)の機能が低下すると、皮膚のバリア機能に重要な役割を果たすタンパク質の遺伝子発現が低下することが明らかになっており、表皮細胞を用いて紫外線や活性酸素などの外的要因によるビタミンD受容体(VDR)の影響を測定したところ、ビタミンD受容体(VDR)の発現量が低下し、機能が低下することが明らかとなりました(以下グラフ参照)

外的要因によるビタミンD受容体の減少率

そこで、柑橘類の果実に多く含まれるヘスペリジンに着目し、表皮細胞に数種類の柑橘類エキスを1%添加し、ビタミンD受容体の機能を高める成分の探索を行ったところ、グレープフルーツの果実から抽出したエキスにビタミンD受容体(VDR)の機能を高める活性化作用があることを発見しました(以下グラフ参照)

グレープフルーツ果実エキスによるビタミンD受容体活性化作用

この結果により、グレープフルーツ果実エキスは紫外線や活性酸素などの外的要因で低下したビタミンD受容体を活性化させて、皮膚バリア機能の改善効果を有する可能性が判明しました。

このように報告されており(文献4:2017)、バリア機能の改善効果の可能性が明らかとなっています。

ただし、この研究では1%グレープフルーツ果実エキスを添加することでビタミンD受容体が約1.6倍に増加していますが、試験期間が記載されておらず、また化粧品配合量は一般的に1%未満であるため、試験よりもかなり穏やかな作用であると考えられます。

複合植物エキスとしてのグレープフルーツ果実エキス

フルーツリンクルプロテクトエッセンスという複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. ターンオーバー促進(表皮角化細胞増殖促進)
  2. ターンオーバー促進(CE(Cornified Envelope)強化因子産生促進)
  3. 色素沈着抑制(メラノサイト活性化因子mRNA発現抑制)
  4. 抗菌力向上(ヒトβディフェンシン3(h-BD3)mRNA発現促進)

とされており、皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)を促進し、古くよどんだ皮膚を排出、そしてメラニン産生を予防することで新しい皮膚の明るさを維持し、抗菌力を高めてニキビのできにくい皮膚にすることで、総合的に健やかな皮膚に生まれ変わらせるもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はフルーツリンクルプロテクトエッセンスであると推測することができます。

シトロルミン8という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 色素沈着抑制作用(チロシナーゼ活性阻害)
  2. 皮膚の明度向上および色素沈着改善作用

とされており、2種類の柑橘果実から抽出した高濃度シトロフラボノイドをリポソーム化することで、皮膚への浸透度を向上させ、色素沈着を改善し、皮膚のトーンを明るくすることで全体的な皮膚の輝きを増すもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はシトロルミン8であると推測することができます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

グレープフルーツ果実エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

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グレープフルーツ果実エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

グレープフルーツ果実エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)および光毒性の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 206人の被検者の背中に0.16%グレープフルーツ果実エキスを含むトナー0.15mLを誘導期間において週3回合計9回閉塞パッチ適用し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価した。次いで2週間の休息期間の後に同じ試験部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ適用24,48および72時間後に皮膚反応を評価したところ、試験物質は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった(Product Investigations Inc,2006)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に100%グレープフルーツ果実エキスを処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった(Active Concepts,2014a)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激はおよび皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に100%グレープフルーツ果実エキスを処理したところ、眼刺激性は予測されなかった(Active Concepts,2014b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性について

試験データはみあたりませんが、化粧品に使用されるグレープフルーツ果実エキスに光毒性はないと考えられます。

アロマなどで使用されるグレープフルーツ精油は果皮を圧搾抽出して得られ、中等の光毒性があるとされていますが、グレープフルーツ精油の光毒性は精油に含まれるベルガプテンならびにフクロマリン類によるものであり、グレープフルーツ油を適用した皮膚を日光に暴露する場合は製品中の精油濃度を4%以内に制限するように報告されています(文献5:1998)

これは言い換えるなら、グレープフルーツ精油であっても製品中4%以内なら光毒性が起こる可能性が低いと考えられます。

化粧品に使用されるグレープフルーツ果実エキスは、果皮ではなく果実から抽出されており、また一般的に光毒性の原因物質となる成分は除去されていることが多く、これまで重大な光毒性の報告もないことから光毒性はほとんど起こらないと考えられます。

ただし、すべての化粧品原料で安全であるとは言い切れないため、気になる場合は事前に販売メーカーに問い合わせることを推奨します。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
グレープフルーツ果実エキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、グレープフルーツ果実エキスは■(∗1)となっていますが、安全性データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

グレープフルーツ果実エキスは保湿成分、収れん成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 収れん成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2015)「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」,<https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR691.pdf> 2018年6月25日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,368.
  3. “丸善製薬株式会社”(-)「原料事典 グレープフルーツ」,<http://www.maruzenpcy.co.jp/jiten/ke/k/grapefruit.html> 2018年6月24日アクセス.
  4. “株式会社ファンケル”(2017)「グレープフルーツ果実エキスに皮膚のバリア機能改善作用を発見」,<http://www.fancl.jp/news/pdf/20170421_grapefruitsbarrierkinoukaizensayou.pdf> 2018年6月25日アクセス.
  5. ロバート・ティスランド, トニー・バラシュ(1998)「精油のプロフィール グレープフルーツ」精油の安全性ガイド,233

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