グルタミン酸Naとは…成分効果と毒性を解説

保湿
グルタミン酸Na
[化粧品成分表示名称]
・グルタミン酸Na

酸性アミノ酸の一種であるグルタミン酸のナトリウム塩です。

グルタミン酸ナトリウム(L-グルタミン酸ナトリウム)は、もともと1908年2月に池田菊苗によってうま味成分がグルタミン酸イオンであることが発見され、同年4月にグルタミン酸イオンをうま味の素として実用化させるためにナトリウム塩にして結晶化したことから、今日の食品添加物としての汎用があります(文献2:2004)

グルタミン酸は、皮膚や毛髪をはじめ生体内に存在することから、化粧品において主に皮膚や毛髪と親和性の高い天然保湿因子成分として配合されますが、アミノ酸の中では比較的水に溶けにくい性質を有しており、水溶性の化粧品に配合する場合は、水溶性を高めたグルタミン酸Naとして配合・使用されることが多いです(文献3:2015)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、頭皮ケア製品、ヘアケア製品、洗浄製品、スキンケア化粧品など様々な製品に使用されます(文献1:2013)

皮膚柔軟化および毛髪柔軟化による保湿作用

皮膚柔軟化および毛髪柔軟化による保湿作用に関しては、まず前提知識として天然保湿因子について解説します。

天然保湿因子は、以下の画像のように、

角質層の構造

角質層の角質に存在する水溶性の保湿成分であり、その構成成分は、以下の表のように、

成分 含量(%)
アミノ酸類 40.0
ピロリドンカルボン酸 12.0
乳酸Na 12.0
尿素 7.0
アンモニア、尿酸、グルコサミン、クレアチン 1.5
ナトリウム 5.0
カリウム 4.0
カルシウム 1.5
マグネシウム 1.5
リン酸Na 0.5
塩化物 6.0
クエン酸Na 0.5
糖、有機酸、ペプチド、未確認物質 8.5

アミノ酸が40%を占めており、ピロリドンカルボン酸や尿素などアミノ酸の代謝物を含めると60%にも及びます。

またアミノ酸の組成は、以下の表のように、

アミノ酸の種類 含量(%)
アスパラギン + アスパラギン酸 1.09
トレオニン 0.64
セリン 20.13
グルタミン + グルタミン酸 3.88
プロリン 6.09
グリシン 13.27
アラニン 9.87
バリン 3.61
メチオニン 0.41
イソロイシン 0.83
ロイシン 1.74
フェニルアラニン 0.78
チロシン 0.98
リシン 1.70
ヒスチジン 1.73
アルギニン 9.18

16種類のアミノ酸が含まれていることが明らかになっています(文献4:1983)

これらの成分が角質層の水分を保持しており、こういった背景からグルタミン酸Naは他の天然保湿因子と併用して保湿剤として配合されています(文献3:2015)

次に、毛髪におけるアミノ酸組成ですが、以下のように、

アミノ酸の種類 含量(%)
アスパラギン + アスパラギン酸 4.9
トレオニン 6.0
セリン 11.7
グルタミン + グルタミン酸 11.4
プロリン 8.4
グリシン 6.4
アラニン 4.6
バリン 5.8
システイン 17.8
メチオニン 0.6
イソロイシン 2.6
ロイシン 5.8
フェニルアラニン 2.2
チロシン 2.0
リシン 2.7
ヒスチジン 0.9
アルギニン 5.8

17種類のアミノ酸が含まれていることが明らかになっています(文献5:1995)

これらの成分が毛髪におけるの水分を保持しており、またグルタミン酸は毛髪に含有量が多いことから、毛髪に親和性の高い保湿剤としてグルタミン酸Naが他の天然保湿因子と併用してヘアケア製品に配合されています(文献3:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

グルタミン酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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グルタミン酸Naの安全性(刺激性・アレルギー)について

グルタミン酸Naの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

食品添加物として承認されており、化粧品成分としても10年以上の使用実績がある中で重要な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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グルタミン酸Naは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of α-Amino Acids as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(6),41S-64S.
  2. 芝 哲夫(2004)「日本の化学を切り拓いた先駆者たち(11):池田菊苗と味の素」化学と教育(52)(8),567-569.
  3. 宇山 光男, 他(2015)「グルタミン酸Na」化粧品成分ガイド 第6版,51.
  4. Horii I, et al(1983)「Histidine-rich protein as a possible origin of free amino acids of stratum corneum.」Journal of Dermatology(10)(1),25-33.
  5. F Wortmann, et al(1995)「Extracting informations from the amino acid compositions of keratins using principal components analysis.」Textile Research Journal(65),669-675.

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