グリシンとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分
グリシン
[化粧品成分表示名称]
・グリシン

[医薬部外品表示名称]
・グリシン

水に溶けやすい白色の結晶、または結晶性粉末で生体内でアミノ酸のセリンなどからつくられる中性アミノ酸です。

アミノ酸には、

  • 必須アミノ酸:体内でつくられないために食品などから摂る必要のある
  • 非必須アミノ酸:体内でつくられるために食品などから摂る必要がない

がありますが、グリシンは生体内でつくられるため食品などから摂る必要はない非必須アミノ酸に分類されます。

グリシンからクレアチン、グルタチオン、グリコール酸など生理的に重要な多くの物質が合成されます。

肌の角質層に存在する保水作用のある天然保湿因子(NMF)を構成する約40%がアミノ酸で、3~5%のグリシンを含みますが、グリシンは皮膚のタンパク質に水分がくっつきやすくなる効果をもたらしてくれることがわかっており、保湿効果に優れたアミノ酸だといえます。

この効果はグリシンやセリンなどアミノ酸の中でも限られた成分にしかなく、他の保湿成分にはない保湿機能です。

NMF組成の平均的な内訳グラフ

保湿を目的とした化粧品にグリシンが配合される場合は、天然保湿因子に含まれる他のアミノ酸やPCA-Na乳酸Naなども併せて配合し、角層の保湿効果を向上させているものが多くみられます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

グリシンの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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グリシンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

グリシンの現時点での安全性は、ヒトの角質層にあるアミノ酸の一種であり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性が起こる可能性はありますが、皮膚感作(アレルギー)もほとんど起こらないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に2%グリシンを含む保湿剤を処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった

と記載されています。

試験結果はin vitroのものしかなく、根拠としては弱いですが、皮膚角質層にも存在しているアミノ酸でもあるので、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、2%グリシンを含む保湿剤を処理したところ(HET-CAM法)、刺激性が予測された
  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に2%グリシンを含む保湿剤を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、わずかに眼刺激性があると予測された

と記載されています。

試験結果はin vitroのものしかありませんが、共通して眼刺激性が予測されているため、眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 103人の被検者に1%グリシンを含むシェービングクリームを半閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 102人の被検者に0.025%グリシン、0.025%アルギニン、0.005%メチオニンを含むフェイス&ネック製品を半閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 107人の被検者に1%グリシンを含むキューティクルクリームを繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 104人の被検者に2%グリシンを含む保湿剤を閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 112人の被検者に2%グリシンを含む保湿剤を閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はなかった

と記載されています。

ヒト試験において共通して皮膚刺激性および皮膚感作性がまったくないため、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
グリシン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、グリシンは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

グリシンは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of a-Amino Acids as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813507090> 2017年11月11日アクセス.

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