グリコシルトレハロースとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 毛髪修復成分 泡立ち改良
グリコシルトレハロース
[化粧品成分表示名称]
・グリコシルトレハロース

主にトウモロコシデンプンを酵素反応および水素添加処理して得られるトレハロースに数個のグルコースがα-1,4結合した非還元の糖質です。

製造過程で糖アルコールである加水分解水添デンプンも同時にできるため、グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプンは混合物として併用されます(∗1)

∗1 混合物としての成分組成は、グリコシルトレハロース:約47%、加水分解水添デンプン:約27%、水:約26%です(文献1:2003)。

グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプンは混合物は、しっとりしていてもベタつかない、また皮膜感が実感できる特異的な感触を有していることが大きな特徴です(文献1:2003)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、ヘアケア製品、洗浄製品、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献1:2003)

乾燥における皮表細胞・細胞膜保護による保湿作用

乾燥における皮表細胞膜保護による保湿作用に関しては、トレハロースでも認められている作用ですが、2003年に林原生物化学研究所によって報告されたグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物の細胞保護効果検証によると、

in vitro試験において1%グリコシルトレハロース、1%グリセリンを含む培地および無添加の培地にてマウス線維芽細胞を培養した後、培地を取り除いた人工的乾燥環境下に1時間置き、再び培地を添加し培養後、3日目までの細胞増殖比を測定したところ、以下のグラフのように、

グリコシルトレハロースの細胞保護効果

無添加、グリセリンを含む培地では、2日目までは細胞増殖比の増加が認められたが、2日目以降は細胞増殖比の増加は認められず、横ばいであった。

一方、グリコシルトレハロースを配合した培地では2日目の細胞増殖比が高く、2日目以降でも細胞増殖比の増加が認められた。

この結果より、グリコシルトレハロースに乾燥環境下における細胞保護効果が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献1:2003)、グリコシルトレハロースに乾燥環境下における皮表細胞・細胞膜保護による保湿作用が認められています。

キューティクルの損傷改善による毛髪修復作用

キューティクルの損傷改善による毛髪修復作用に関しては、まず前提知識として毛髪の構造および健常毛と損傷毛のキューティクルの違いについて解説します。

まず毛髪の構造を以下の画像のように断面図でみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

毛髪の断面図

毛髪の表面(一番外側)は、キューティクルと呼ばれ、毛髪を保護する働きをしており、また以下の画像をみてもらうとわかるように、

キューティクルにおける健常時とダメージ時の違い

健常時には閉塞していて手触りもなめらかですが、損傷・ダメージを受けるとキューティクルが開きまたリフトアップし、手触りはギシギシ・パサパサといったものになります。

2003年に林原生物化学研究所によって報告されたグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物の毛髪に対する効果検証によると、

健常毛にブリーチ処理を行い損傷毛をつくり、50%グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物に損傷毛を20分間浸漬し、水で洗浄後に余剰水分を除去し、ドライヤーで乾燥させ、電子顕微鏡で観測した。

観測の結果、損傷毛を50%グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物で処理した場合は、毛髪の亀裂およびキューティクルのリフトアップは認められず、またキューティクルの配列状態は健常毛と差異がなかった。

これは、グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物でコーティングされた影響であると考えられた。

このような検証結果が明らかにされており(文献1:2003)、グリコシルトレハロースにキューティクルの損傷改善による毛髪修復作用が認められています。

泡立ち改善作用

泡立ち改善作用に関しては、洗顔フォームに糖類を配合することによって起泡性が変化することが知られています。

2003年に林原生物化学研究所によって報告されたグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物の洗顔フォームの泡立ちに対する効果検証によると、

石けんを主洗浄成分とする洗顔フォームに、ソルビトールグリセリンまたはグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物をそれぞれ7%配合し、気泡力を比較測定したところ、以下のグラフのように、

各試料を配合した洗顔フォームの気泡力への影響

グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物を配合した洗顔フォームは、ソルビトールまたはグリセリンを配合した洗顔フォームよりも滴下直後での泡立ちが高く、また5分後でもソルビトールを配合した洗顔フォームよりも泡量を維持していた。

この結果から、石けんを主成分とした洗顔フォームにグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物を配合することにより、気泡力の向上が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献1:2003)、グリコシルトレハロースに泡立ち改善作用が認められています。

またグリコシルトレハロースと加水分解水添デンプン混合物に水溶性高分子・カチオン性ポリマーであるポリクオタニウム-10を併用すると、さらに泡立ちおよび泡質(クリーミー性)が良好で、かつすすぎ時にぬるつきがなく、さっぱりとした洗い上がりを有することが報告されています(文献3:2006)

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グリコシルトレハロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

グリコシルトレハロースの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

林原生物化学研究所の安全性試験データ(文献1:2003)によると、

  • 皮膚一次刺激性試験において非刺激物質
  • [ヒト試験] ヒト皮膚パッチ試験において陽性率0%

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

林原生物化学研究所の安全性試験データ(文献1:2003)によると、

  • 眼粘膜刺激性試験において無刺激物

と記載されています。

試験データをみるかぎり、無刺激物と報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

ニキビの原因となるアクネ菌の増殖性について

2009年にサティス製薬によって公開された研究調査によると、

ニキビ用化粧品の開発に役立つアクネ菌(Propionibacterium acnes)の資化性試験を用いて研究調査を行った。

資化性(しかせい)とは、微生物がある物質を栄養源として利用し増殖できる性質であり、化粧品に汎用されている各保湿剤がアクネ菌の栄養源になりうるかを検討するために、14種類の保湿剤(BGグリセリンDPGジグリセリントレハロースグルコースソルビトールプロパンジオールキシリトールPCA-Naベタインラフィノース、GCS(グリコシルトレハロース/加水分解水添デンプン混合物))をアクネ菌に与えてその増殖率を測定したところ、以下のグラフのように、

アクネ菌の保湿剤に対する資化性

縦軸の資化性スコア(吸光度)が高いほど菌が増殖していることを示しており、無添加と同等の増加率の場合はアクネ菌に対する資化性は非常に低いと考えられ、グリコシルトレハロースと加水分解水添デンプンの混合物は無添加と同等の増加率であるため、アクネ菌の増殖性は認められなかった。

このような検証結果が報告されており(文献2:2009)アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

グリコシルトレハロースは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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文献一覧:

  1. 立川 博美, 他(2003)「グリコシルトレハロースを主成分とする新規糖質の特性と化粧品への応用」Fragrance Journal(31)(11),106-113.
  2. “株式会社サティス製薬”(2009)「化粧品でアクネ菌が増える?」, <http://www.saticine-md.co.jp/exam/trustee_service/release/20090519.html> 2019年1月7日アクセス.
  3. カネボウ株式会社(2006)「皮膚洗浄剤組成物」特開2006-193484.

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