クロレラエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 細胞賦活
クロレラエキス
[化粧品成分表示名称]
・クロレラエキス

[医薬部外品表示名称]
・クロレラエキス

クロレラ科淡水性単細胞緑藻クロレラ・ブルガリス(学名:Chlorella vulgaris)からで抽出して得られる抽出物(エキス)です。

クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)は、湖沼や河川などの淡水中に浮遊しており、含有成分の約60%がタンパク質であること、そして増殖能力が高いことから世界的な食糧難時代の新しい食料資源として世界各国で培養されています(文献1:2011)

クロレラエキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
アミノ酸 アスパラギン酸トレオニンセリングルタミン酸グリシンアラニンバリンイソロイシンロイシンチロシンフェニルアラニンリシンアルギニンプロリン など
糖質 多糖 β-グルカン など

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献2:2013;文献3:2001;文献4:2008;文献5:2010;文献6:2014)

クロレラ・ブルガリスの化粧品以外の主な用途としては、食品分野において高タンパクであることから食品としての利用が期待されていますが、その濃い緑色と魚のような臭いからまだ広く利用されるには至っていません(文献7:2007)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、シート&マスク製品、日焼け止め製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品などに汎用されています。

皮表柔軟化および角層水分量増加による保湿作用

皮表柔軟化および角層水分量増加による保湿作用に関しては、まず前提知識として皮膚最外層である角質層の構造と役割について解説します。

直接外界に接する皮膚最外層である角質層は、以下の図のように、

角質層の構造

天然保湿因子を含む角質と角質の間を細胞間脂質で満たした、レンガとモルタルの関係と同様の構造となっており、この構造が保持されることによって、外界からの物理的あるいは化学的影響から身体を守り、かつ体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐとともに一定の水分を保持する役割を担っています(文献8:2002;文献9:1990)

一方で、老人性乾皮症やアトピー性皮膚炎においては、角質細胞中のアミノ酸などの天然保湿因子が顕著に低下していることが報告されています(文献10:1989;文献11:1991)

このような背景から、皮表を柔軟化し角層の水分量を増加することは肌の乾燥の改善、ひいては皮膚の健常性の維持につながると考えられています。

1997年に一丸ファルコスによって報告されたクロレラエキスの乾燥肌・肌荒れに対する影響検証によると、

乾燥肌、湿疹、肌荒れなどの皮膚疾患で悩む40人の被検者(20-30歳)のうち20人に3%クロレラエキス配合乳液を、対照として別の20人にクロレラエキス未配合乳液をそれぞれ1日2回(朝晩)3ヶ月にわたって洗顔後の顔面に塗布してもらった。

また、頭皮や髪の生え際に同様の皮膚疾患がみられる40人の被検者(20-30歳)のうち20人に5%クロレラエキス配合ヘアトニックを、対照として別の20人にクロレラエキス未配合ヘアトニックをそれぞれ毎日洗髪後の頭皮に2ヶ月にわたって塗布してもらった。

それぞれ2,3ヶ月後に「有効:湿疹、乾燥肌、肌荒れが改善された」「やや有効:湿疹、乾燥肌、肌荒れがやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 有効 やや有効 無効
クロレラエキス配合乳液 20 15 4 1
乳液のみ(対照) 20 0 4 16
クロレラエキス配合ヘアトニック 20 12 6 2
ヘアトニックのみ(対照) 20 1 2 17

3%クロレラエキス配合乳液または5%クロレラエキス配合ヘアトニックの塗布により、湿疹、乾燥肌、肌荒れなどの皮膚・頭皮疾患に対して良好な効果が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献12:1997)、クロレラエキスに皮表柔軟化および角層水分量増加による保湿作用が認められています。

細胞賦活作用

細胞賦活作用に関しては、まず細胞賦活について解説します。

賦活(ふかつ)とは、活力を与える、物質の機能・作用を活性化するといった意味ですが、皮膚科学分野においては細胞の働きが衰えることにより相対的に低下した皮膚機能の活性化を意味し(文献13:2008)、化粧品においては主に加齢などによって低下した表皮新陳代謝(ターンオーバー:turnover)の改善効果などを目的として配合されます。

1980年にクロレラ工業によって報告されたクロレラエキスのヒト皮膚に対する影響検証によると、

24人の女性被検者(20-48歳)に乾燥固形分濃度0.3%クロレラエキス配合フェイスクリームを1日1回3週間にわたって入浴後に顔全体に塗布してもらった。

3週間後に「著効:皮膚に潤いがみられ、色素沈着、肌荒れ、キメがかなり改善された」「有効:皮膚に潤いがみられ、色素沈着、肌荒れ、キメが改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 著効 有効 無効
クロレラエキス配合クリーム 24 8 13 3

乾燥固形分濃度0.3%クロレラエキス配合クリームの塗布により、皮膚の様々な疾患に対して良好な改善効果が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献14:1980)、クロレラエキスに細胞賦活作用が認められています。

クロレラエキス(水抽出)の細胞賦活作用のメカニズムとしては、クロレラの水溶性溶媒抽出物には核酸関連物質、糖タンパク、多糖体などが含まれており、これらの相互作用により皮膚の新陳代謝が盛んになり、細胞を賦活するとともに皮膚の改善効果が発現すると考えられていますが(文献14:1980)、明確なメカニズムはみつけられていないため、みつかりしだい追補または再編集します。

複合エキスとしてのクロレラエキス

クロレラエキスは、他の植物エキスとあらかじめ混合された複合原料があり、クロレラエキスと以下の成分が併用されている場合は、複合植物エキス原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 バイオアンテージ B
構成成分 BGクズ根エキスアロエベラ葉エキスクロレラエキス
特徴 メラニン生成抑制、経表皮水分蒸散抑制、角質水分量増加、線維芽細胞増殖促進など植物抽出液によってプラセンタ様作用を意図して設計された混合植物抽出液

クロレラエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

クロレラエキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献12:1997)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの剪毛した背部に固形分濃度0.5%クロレラエキス水溶液を塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に固形分濃度約0.5%クロレラエキス水溶液0.5mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

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クロレラエキスは保湿成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分

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参考文献:

  1. 鈴木 洋(2011)「クロレラ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,60-61.
  2. C. Safi, et al(2013)「Influence of microalgae cell wall characteristics on protein extractability and determination of nitrogen-to-protein conversion factors」Journal of Applied Phycology(25),523-529.
  3. M. Shaaban(2001)「Green Microalgae Water Extract as Foliar Feeding to Wheat Plants」Pakistan Journal of Biological Sciences(4)(6),628-632.
  4. F. Faheed, et al(2008)「Effect of Chlorella vulgaris as bio-fertilizer on growth parameters and metabolic aspects of lettuce plant」Journal of Agriculture and Social Sciences(4)(4),165-169.
  5. S.N. Naik, et al(2010)「Production of first and second generation biofuels: A comprehensive review」Renewable and Sustainable Energy Reviews(14)(2),578-597.
  6. C. Safi, et al(2014)「Morphology, composition, production, processing and applications of Chlorella vulgaris: A review」Renewable and Sustainable Energy Reviews(35),265-278.
  7. E.W. Becker(2007)「Micro-algae as a source of protein」Biotechnology Advances(25)(2),207-210.
  8. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.
  9. 田村 健夫, 他(1990)「表皮」香粧品科学 理論と実際 第4版,30-33.
  10. I Horii, et al(1989)「Stratum corneum hydration and amino acid content in xerotic skin」British Journal of Dermatology(121)(5),587-592.
  11. M. Watanabe, et al(1991)「Functional analyses of the superficial stratum corneum in atopic xerosis」Archives of Dermatology(127)(11),1689-1692.
  12. 一丸ファルコス株式会社(1997)「クロレラ水抽出物含有線維芽細胞増殖促進物質」特開平9-40523.
  13. 霜川 忠正(2008)「細胞賦活剤」BEAUTY WORD 皮膚科学用語編,246-247.
  14. クロレラ工業株式会社(1980)「皮膚化粧料」特開昭55-062005.

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