クロレラエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 抗シワ成分 育毛剤
クロレラエキス
[化粧品成分表示名称]
・クロレラエキス

[医薬部外品表示名称]
・クロレラエキス

淡水性単細胞緑藻類クロレラ(学名:Chlorella vulgaris)からで抽出して得られるエキスです。

クロレラエキスの成分は主にアミノ酸で構成されており、アミノ酸の成分組成は、

などで構成されています(文献1:2006;文献3:1959)

クロレラは湖沼や河川などの淡水中に浮遊している緑藻類の植物性プランクトンの一種であり、1890年に発見され、ギリシャ語で「緑の小さいもの」を意味するクロレラと名付けられました。

クロレラは約60%のタンパク質を含み、18種類のアミノ酸のほかビタミン、ミネラル、必須脂肪酸、食物繊維、葉緑素などの栄養成分が豊富に含まれています(文献2:2011)

またクロレラは、20~24時間で4分裂という驚異的なスピードで分裂して増殖しますが、これは分化・増殖を促す成長促進因子である「C.G.F(Chlorella Growth Factor)」と呼ばれる核酸やアミノ酸などからなる複合体が、細胞の中に含まれていることに起因します(文献8:-)

さらに、C.G.Fに含まれる核酸の糖部分はグルコースを主体とするマンノース、ラムノース、アラビノース、ガラクトース、キシロースなどから形成されていること、またペプチドのアミノ酸組成はグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、セリン、グリシン、プロリンなどであることが分かっており、これらが複合体となって大きな力を生みだしていると考えられています(文献8:-)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、アイケア化粧品、洗顔料、、ヘアケア製品、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献5:2003;文献6:2017)

TSP-1増加による抗シワ作用

TSP-1増加による抗シワ作用に関しては、まず前提知識として紫外線によるシワ発生に関与し、血管を増殖させるVEGF(血管内皮増殖因子)と血管の増殖を抑えるTSP-1(トロンボスポンジン-1:血管内皮増殖抑制因子)について解説します。

紫外線を日常的に受けている顔面の皮膚はシワなどの老化現象が早期に現れますが、これは以下の画像をみてもらえるとわかるように、

皮膚における真皮の潤い成分

真皮においてマトリックスを形成し、皮膚のハリ・弾力を構築しているコラーゲンおよびエラスチンが紫外線のダメージにより少しずつ変性し、ハリ・弾力を失っていくことが一因だと考えられています。

このハリ・弾力を失っていくメカニズムを詳しくみていくと、真皮には毛細血管が存在し、皮膚にエネルギーや栄養を供給していますが、2003年に資生堂とハーバード皮膚科学研究所の共同研究によって、

  • 紫外線を浴びた皮膚に正常な皮膚には存在しない太い毛細血管が異常に増加すること
  • エラスチン分解酵素であるエラスターゼを産生する細胞が太くなった毛細血管を通って集まること

これらが明らかにされており、このプロセスによってエラスチンの分解が促進され、シワが発生することがわかっています(文献5:2003)

そして、紫外線による太い毛細血管の増加のメカニズムは、紫外線を浴びた場合に、

  • 血管を増殖させる血管内皮増殖因子であるVEGFの遺伝子発現が活発になること
  • 血管増殖を抑える血管内皮増殖抑制因子であるTSP-1の遺伝子発現が低下すること

これらによって起こることが確認されており、また皮膚中でTSP-1(血管内皮増殖抑制因子)を多く発現させると、皮膚機能にまったく影響を与えずに、紫外線による太い毛細血管出現が長期的に抑制され、シワ形成も抑えられることがわかっています(文献5:2003)

つまり、紫外線によるシワ形成の研究内容を要約すると、通常肌が持つ血管制御因子のバランスが TSP-1 > VEGF であるのに対して紫外線を浴びた肌はこのバランスが TSP-1 < VEGF と逆転することによって太い毛細血管が出現し、エラスチン分解酵素であるエラスターゼを産生する細胞がこの血管を通じて皮膚内に蓄積することでシワ形成の引き金になっているということです。

2003年に資生堂によって報告されたクロレラエキスのシワ原因血管抑制作用検証によると、

300以上の天然成分の中からTSP-1を表皮細胞で増加させる成分を探索したところ、クロレラエキスにその作用があることを見出した。

クロレラエキスには、紫外線によってVEGFが優位な状態をTSP-1優位な状態へ戻す作用があり、その結果太い血管出現を抑制し、シワ形成も抑えられると考えられる。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2003)、クロレラエキスにTSP-1増加による抗シワ作用が認められています。

頭皮脂肪細胞の産生促進による育毛作用

頭皮脂肪細胞の産生促進による育毛作用に関しては、前提知識として頭皮脂肪と育毛の関係について解説しておきます。

毛周期(以下図参照)に応じて頭皮の暑さが変化すること、またAGA(男性型脱毛症)を発症している人の頭皮は薄いという報告がある(文献7:1972)ことから、頭皮の厚さと毛量には相関関係があり、毛量の多い人は頭皮が厚く、毛量の少ない人は頭皮が薄いという傾向があることが明らかになっています。

毛周期(ヘアサイクル)

頭皮脂肪細胞の産生を促進し、頭皮下の脂肪組織の厚みが増すことで頭皮自体が厚くなり、毛周期における成長期の毛包が深く、大きく成長できるようになり、健康な髪が成長しやすい頭皮環境が形成されると考えられています。

2017年にアンファーによって報告されたクロレラエキスとセイヨウニワトコ花エキスの併用による頭皮細胞の産生促進検証によると、

脂肪組織の増大は、脂肪細胞自体の肥大以外に、未分化な細胞の増殖および分化による脂肪細胞数の増加があると考えられる。

そこで未分化な3T3-L1細胞(マウス前駆脂肪細胞)に様々なエキスを添加し、3T3-L1細胞の産生量を確認したところ、以下のグラフのように、

クロレラエキスの3T3-L1細胞(マウス前駆脂肪細胞)分化作用

セイヨウニワトコエキスの3T3-L1細胞増殖作用

クロレラエキスに細胞の分化を促進する作用が、セイヨウニワトコエキスに有意な脂肪細胞増殖作用が示されました。

さらに2つのエキスを併用することで、以下の顕微鏡画像のように、

セイヨウニワトコエキス、クロレラエキス連用による油滴形成効果

未分化細胞から脂肪滴が形成されることも観察され、クロレラエキス、セイヨウニワトコエキスは未分化細胞から脂肪細胞への産生を促進し、皮膚の厚みを増加させる効果が示唆される。

このような試験結果が明らかにされており(文献6:2017)、クロレラエキスにはセイヨウニワトコ花エキスと併用することで頭皮脂肪細胞産生促進作用があることが示唆されています。

複合植物エキスとしてのクロレラエキス

バイオアンテージという複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角質水分量増加
  2. 経表皮水分損失抑制
  3. 細胞賦活(線維芽細胞増殖促進)
  4. 皮膚弾力改善
  5. メラニン生成抑制

とされており、3種の植物エキスによるプラセンタ様作用によって肌の水分量を向上および保持し、細胞を活性化させるとともに皮膚弾力性および明るさの向上と保湿・美白・抗老化と総合的な美肌づくりにアプローチするもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はバイオアンテージであると推測することができます。

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クロレラエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

クロレラエキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

光感作性について

1977年にあるメーカーがアルコール添加をして製造したことで、光過敏症の原因となるフェオホルバイド(クロロフィルの一部が変性したもの)が過剰に生成されたクロレラが健康食品として製品化され、経口摂取による光過敏症が発症して問題となりましたが、これ以降は厚生労働省(当時の厚生省)が加工方法およびフェオホルバイド量についての規格基準を設けており、クロレラの加工法等を管理することにより衛生上の危害発生を未然に防止することが可能であると結論付けています(文献4:1981)

この一連の出来事は健康食品で起こった事例ですが、現在は規格基準をクリアしたクロレラエキスが流通しており、化粧品でも光過敏症の報告はなく、安全性に問題はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
クロレラエキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、クロレラエキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

クロレラエキスは保湿成分、細胞賦活成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,369.
  2. 鈴木 洋(2011)「クロレラ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,60-61.
  3. 田村 盈之輔, 他(1959)「クロレラの栄養学的研究 (その1) クロレラのアミノ酸含量について」
    栄養学雑誌(17)(1),19-20.
  4. “厚生労働省”(1981)「フェオホルバイド等クロロフィル分解物を含有するクロレラによる衛生上の危害防止について」, <http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/18.pdf> 2018年9月6日アクセス.
  5. “株式会社資生堂”(2003)「しわ発生の新たなメカニズムを解明 クロレラエキスがシワ血管抑制に有効であることを発見」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000329/329_v9t30_jp.pdf> 2018年9月6日アクセス.
  6. “アンファー株式会社”(2017)「脂肪細胞の産生を促進させる効果を発見」, <https://www.angfa.jp/_cms/wp-content/uploads/2017/04/62d34400a6e77d1fa93a87ced4847a2e.pdf> 2018年9月6日アクセス.
  7. Hori H, et al(1972)「The thickness of human scalp: normal and bald.」J Invest Dermato(58)(6),396-399.
  8. “株式会社サン・クロレラ”(-)「クロレラの最も価値のある成分C.G.F. -クロレラに含まれた貴重な成分-」, <https://www.sunchlorella.co.jp/material/chlorella/know_chlorella05> 2018年9月6日アクセス.

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