キュウリ果実エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿
キュウリ果実エキス
[化粧品成分表示名称]
・キュウリ果実エキス

[医薬部外品表示名称]
・キューカンバーエキス(1)

ウリ科植物キュウリ(学名:Cucumis sativus 英名:Cucumber)の果実からエタノールBGなどで抽出して得られる抽出物植物エキスです。

キュウリ(胡瓜)はインド北部、ヒマラヤ南麓を原産とし(∗1)、日本には渡来の時期は明らかではないものの中国から伝来し、江戸初期には栽培が始まっていたとされており、現在においても食用として生食や漬物などをはじめ広く用いられています(文献2:2017)

∗1 ヒマラヤ南麓を原産とする説が有力とされています(文献2:2017)。

キュウリ果実エキスは天然成分であることから地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
ビタミン カロテン、アスコルビン酸 など
糖類 スクロースグルコース など
有機酸 リンゴ酸 など

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献2:2017)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、ボディソープ製品、クレンジング製品など様々な製品に汎用されています。

角質水分量増加による保湿作用

角質水分量増加による保湿作用に関しては、まず前提知識として皮膚最外層である角質層の構造と役割について解説します。

直接外界に接する皮膚最外層である角質層は、以下の図のように

角質層の構造

角質と角質の間を細胞間脂質で満たした、レンガとモルタルの関係と同様の構造となっており、この構造が保持されることによって、外界からの物理的あるいは化学的影響から身体を守り、かつ体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐとともに一定の水分を保持する役割を担っています(文献3:2002;文献4:1990)

2001年に一丸ファルコスによって報告されたキュウリ果実エキスの保湿作用検証によると、

3人の女性被検者(20-25歳)の前腕屈側に0.01%キュウリ果実エキス水溶液1mLを塗布し、60秒後に余剰な水分を除去し角層コンダクタンス(∗2)を経時的に測定したところ、以下のグラフのように、

∗2 コンダクタンスとは、皮膚に電気を流した場合の抵抗(電気伝導度:電気の流れやすさ)を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなり、コンダクタンス値が高値になることから、角層水分量を調べる方法として角層コンダクタンスを経時的に観測する方法が定着しています。

キュウリ果実エキス塗布による角層水分量への影響

キュウリ果実エキスの塗布は、精製水および比較対照のアロエベラエキスより保湿効果が高くかつ長く維持されていることが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献5:2001)、キュウリ果実エキスに角質水分量増加による保湿作用が認められています。

複合植物エキスとしてのキュウリ果実エキス

キュウリ果実エキスは他の植物エキスとあらかじめ混合された複合原料があり、キュウリ果実エキスと以下の成分が併用されている場合は、複合植物エキス原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 ファルコレックスBX51
構成成分 BGアルニカ花エキスキュウリ果実エキスセイヨウキズタ葉/茎エキスゼニアオイ花エキス、パリエタリアエキス、セイヨウニワトコ花エキス
特徴 角層水分量増加および経表皮水分蒸散抑制による保湿作用およびSOD様活性による抗酸化作用にアプローチし皮膚の健常性を保持する目的で設計された6種の複合植物抽出液

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

キュウリ果実エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

キュウリ果実エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

キュウリ果実エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.2%キュウリ果実エキスを含む水とBGの合液15μLを24時間単一閉塞パッチ適用し、適用24および48時間後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者においても紅斑または浮腫は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に0.00055%キュウリ果実エキスを含む製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、標準化された累積刺激スコアは試験物質および蒸留水の両方で0であり、陽性対照の0.5%ラウリル硫酸ナトリウムでは2430であった。この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 103人の患者に1%キュウリ果実エキスを含むアイローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間中に皮膚反応は観察されなかったが、チャレンジ期間において5人(48時間で2人、72時間で2人、48時間および72時間で1人)の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察された。1人の被検者において24時間で軽度の紅斑が観察されたが、72時間では反応はみられなかった。1%キュウリ果実エキスを含むアイローションは皮膚刺激または皮膚感作を誘発する可能性がないと結論づけられた(Clinical Research Laboratories Inc,1995)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に1%キュウリ果実エキスを含むアイローション0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、チャレンジ期間において2人の患者が皮膚反応を示した。1人は24時間で軽度な反応がみられたが72時間では反応はみられなかったため、一過性の反応と考えられ臨床的に重要視しなかった。もう1人は24時間および72時間で軽度-中程度の皮膚反応を示したため、改めてチャレンジパッチを4日間連続で前腕に開放適用したところ、反応は観察されなかった。1%キュウリ果実エキスを含むアイローションは皮膚刺激剤および皮膚感作剤とはみなされなかった(Consumer Product Testing Co,2012)
  • [ヒト試験] 600人の患者の背中に1%キュウリ果実エキスを含むアイトリートメントマスクを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの患者においても皮膚反応は観察されず、1%キュウリ果実エキスを含む眼用製剤は皮膚刺激剤または感作物質ではなかった(Orentreich Research Corporation,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

光毒性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 9人の被検者の背中に5%キュウリ果実エキスを含むアイゲルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後1つの部位に10Jc㎡のUVAおよびUVBを最小紅斑線量の⅔を照射した。両方の部位を照射10分後および24,48および72時間後に評価したところ、5%キュウリ果実エキスを含むアイゲルは光毒性ではなかった(Clinical Science Research International Ltd,1992)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、一般に光毒性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

キュウリ果実エキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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参考文献:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(Suppl_2),47S-64S.
  2. 杉田 浩一, 他(2017)「きゅうり」新版 日本食品大事典,215-217.
  3. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.
  4. 田村 健夫, 他(1990)「表皮」香粧品科学 理論と実際 第4版,30-33.
  5. 一丸ファルコス株式会社(2001)「保湿性植物抽出物を含有する化粧料組成物」特開2001-031521.

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