キュウリ果実エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 収れん成分
キュウリ果実エキス
[化粧品成分表示名称]
・キュウリ果実エキス

[医薬部外品表示名称]
・キューカンバーエキス(1)

ウリ科植物キュウリの果実から抽出したエキスです。

主な成分として、ビタミン類、有機酸類、アミノ酸類、フラボノイド類などで構成されています。

保湿効果に優れているといわれ、また有機酸類の影響から穏やかな収れん効果の有しています。

2007年に岩手県立遠野病院と青森県立保健大学看護学科が共同で行ったそう痒感のある患者のキュウリローション使用による止痒効果と保湿作用の検証によると、

皮膚乾燥により慢性・持続性のあるかゆみを訴える患者の中から中等以上のかゆみを有する16人の被検者(男性11人、女性5人、37~91歳)にキュウリローションスプレーを1週間にわたって1日2回朝と夜に同一部位に使用し、それぞれ15分後に評価し、1週間使用後の翌朝噴霧1,30および60分後にかゆみの重症度と皮膚水分量を測定した。

かゆみの重症度基準は白取の重症度基準に基づいており、以下のようにスケーリングされています。

重症度 日中の症状 夜間の症状
4
(激烈)
いてもたってもいられない痒み。掻いてもおさまらず、ますます痒くなり、仕事も勉強も手につかない。 痒くてほとんど眠れず、しょっちゅう掻いているが、掻くとますます痒みが強くなる
3
(中等)
かなり痒く、人前でも掻く。かゆみのためにイライラし、たえず掻いている。 痒くて目がさめる。ひと掻きすると一応眠るが、無意識のうちに眠りながら掻く。
2
(軽度)
ときに手がいき、軽く掻く程度で一応おさまり、あまり気にならない。 多少かゆみはあるが、掻けばおさまる。かゆみのために目がさめることはない。
1
(軽微)
ときにむずむずするが、特に掻かなくても我慢できる。 就寝時わずかにかゆいが、特に意識して掻くほどではない。
0
(なし)
ほとんどまたはまったくかゆみを感じない。 ほとんどまたはまったくかゆみを感じない。

このかゆみ基準をもとにキュウリローション使用前と1週間の使用1,30および60分後のかゆみ重症度を比較したところ、以下の表のように、

キュウリローション使用前後のかゆみの変化

使用前は16人全員3(中等)であったが、1週間使用後では14人(88%)にかゆみの改善が認められ、とくに1分後の平均は1.62と即時性があり、また60分後は30分後と変化がなかった。

皮膚水分率の変化は以下のグラフのように、

キュウリローション使用前後の皮膚水分率比較

使用前の平均値は35.1%と乾燥状態であったが、キュウリローション1週間使用後の翌朝噴霧1分後の平均皮膚水分率は55.9%、噴霧30分後は45.6%、噴霧60分後は43.6%と、使用前に比べてすべての測定時間で皮膚水分率の上昇が認められた。

これらの結果から皮膚乾燥によるかゆみを訴える患者に対してキュウリローションの使用は止痒効果と保湿作用があると考えられた。

このように報告されており(文献2:2007)、キュウリ果実エキスに皮膚乾燥によるかゆみを軽減する効果および保湿作用があることが裏付けられています。

ただし、この検証内容はキュウリ果実エキスの濃度が不明であるため、キュウリ果実エキス配合の市販製品に過度に期待しすぎないようにしてください。

化粧品に配合される場合は、乾燥から肌を守るスキンケア化粧品、UV製品、洗浄製品、パック製品など様々な製品に幅広く使用されています。

また、複数の植物エキスによる乾燥肌保護および保湿を目的として、キュウリ果実エキスと一緒にアルニカ花エキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウニワトコエキス、ゼニアオイエキス、パリエタリアエキスが配合されることがあります。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

キュウリ果実エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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キュウリ果実エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

キュウリ果実エキスの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼領域の刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、1例のみわずかなかゆみの報告があります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に0.2%キュウリ果実エキスを含む54.8%水と45%ブチレングリコールの混合物1%溶液15μLを24時間単一閉塞パッチ適用したところ、適用24および48時間で紅斑または浮腫は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011a)
  • [ヒト試験] 被検者(人数不明)の手の甲に0.5%~2.5%キュウリ果実エキスエタノール抽出物をステアリン酸を乳化剤として水中油型エマルションクリームとした製剤(pH6.4~6.9)を塗布し、24時間観察することによって評価したところ、皮膚刺激、紅斑、浮腫は観察されなかった(Stoltz DR,1984)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に0.00055%キュウリ果実エキスを含む2つの製剤を21日間の誘導期間、10~24日間の無処置期間および4日間のチャレンジ期間において閉塞パッチ適用したところ、標準化された累積刺激スコアは試験物質および蒸留水の両方で0であり、陽性対照の0.5%ラウリル硫酸ナトリウムでは2430であった。0.00055%キュウリ果実エキスは有意な皮膚刺激剤および皮膚増感剤ではなかった(Personal Care Products Council,2011b)
  • [ヒト試験] 103人の患者に1%キュウリ果実エキスを含むアイローションを誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、2週間の無処置期間を設けた後にチャレンジパッチ適用し、パッチ除去48および72時間後に皮膚反応を評価したところ、誘導期間中は反応は観察されなかったが、チャレンジ期間で5人(48時間で2人、72時間で2人、48時間および72時間で1人)の被検者においてほとんど知覚できない紅斑が観察された。1人の被検者において24時間で軽度の紅斑が観察されたが、72時間では反応はみられなかった。1%キュウリ果実エキスを含むアイローションは皮膚刺激または皮膚感作を誘発する可能性がないと結論づけられた(Clinical Research Laboratories Inc,1995)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に1%キュウリ果実エキスを含むアイローション0.2mLを誘導期間において週3回3週間にわたって合計9回24時間閉塞パッチ適用し、2週間の無処置期間を設けた後にチャレンジパッチ適用し、パッチ除去48および72時間後に皮膚反応を評価したところ、チャレンジ時に2人の患者が反応を示した。1人は24時間で軽度な反応がみられたが72時間では反応はみられなかったため、一時的は反応と考えられ、臨床的に重要視しなかった。もう1人は24時間および72時間で軽度~中等の反応を示したため、改めてチャレンジパッチを4日間連続で前腕に開放適用したところ、反応は観察されなかった。1%キュウリ果実エキスを含むアイローションは皮膚刺激剤および皮膚増感剤とはみなされなかった(Consumer Product Testing Co,2012)
  • [ヒト試験] 600人の患者の背中に1%キュウリ果実エキスを含むアイトリートメントマスクを誘導期間において合計10回48時間閉塞パッチ適用し、試験部位は即時反応を評価し、1~2時間後に遅延反応を評価した。2週間の無処置期間の後に48時間チャレンジパッチを適用し、さらに1週間後に再チャレンジパッチ適用し、試験部位の即時反応および遅延反応を評価したところ、反応は観察されず、1%キュウリ果実エキスを含む眼用製剤は皮膚刺激剤または感作物質ではなかった(Orentreich Research Corporation,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激はおよび皮膚感作性なしと報告されているため、通常の配合濃度下において、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 30人の女性患者の眼瞼下に1%キュウリ果実エキスを含むアイローションを1日2回28日間に連続で塗布し、眼領域の皮膚反応について評価したところ、1人の被検者がほぼ毎日眼瞼のわずかなかゆみを報告したが、皮膚刺激を誘発する可能性は示さなかった(Clinical Research Laboratories Inc,2012)
  • [ヒト試験] 21人の患者に5%キュウリ果実エキスを含むアイゲルを21日間連続で塗布したところ、アイゲルの耐容性は良好であると結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼領域での使用において、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼領域の刺激はほとんどないと考えられます。

ただし、1例においてわずかなかゆみが報告されているので、ごくまれにかゆみを伴うと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 9人の被検者の背中に5%キュウリ果実エキスを含むアイゲルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後1つの部位に10Jc㎡のUVAおよびUVBを最小紅斑線量の⅔を照射した。両方の部位を照射10分後および24,48および72時間後に評価したところ、5%キュウリ果実エキスを含むアイゲルは光毒性ではなかった(Clinical Science Research International Ltd,1992)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、光毒性はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

食品分野においてキュウリは、セロリ、ニンジン、スイカと交差感作性が認められており、化粧品におけるキュウリ果実エキスでも同様に交差アレルギーが認められるかは現時点では不明ですが、キュウリをはじめセロリ、ニンジン、スイカにアレルギーを有している場合はアレルギー反応が起こる可能性が考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [in vitro試験] 酵素結合免疫吸着法(ELISA)により、キュウリ、セロリ、ニンジン、スイカの1つ以上にアレルギーを示した6人のプール血清を使用して交差アレルギー性を調べたところ、皮膚試験または放射性アレルギー試験(RAST)では食品インデックスとしてキュウリ、セロリ、ニンジンおよびスイカは陽性であった。これら4つの食品間の強いアレルギー性交差反応性がELISAおよび免疫ブロット阻害試験の両方で実証された(FDA,2012)

と記載されています。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
キュウリ果実エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、キュウリ果実エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

キュウリ果実エキスは保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Cucumis sativus (Cucumber)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814526892> 2018年6月11日アクセス.
  2. 坪井 ふみ子, 畠山 なを子, 藤井 博英(2007)「そう痒感のある患者のキュウリローション使用による止痒効果と保湿作用の検証」日本看護技術学会誌(6)(2),30-33.

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