エクトインとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗老化成分
エクトイン
[化粧品成分表示名称]
・エクトイン

塩水湖や塩分を含んだ砂漠などの過酷な環境に生息する微生物(学名:Halomonas elongata)などを由来とする環状アミノ酸です。

とくにハロゲン塩類親和性バクテリアの中に多く存在することが確認されており、この生物が極めて厳しい条件下(温度変化や乾燥条件下)でも生息できる理由のひとつとしてエクトインが大きく関与していることが研究によって明らかになっています(文献2:2009)

また、エクトインにはヒトの皮膚の水分量を高い次元で維持(保護)する作用を有していることが明らかとなっており、この作用によってコラーゲンなど体内の重要なタンパク質が熱や乾燥などのストレスから保護されます。

ヒトの皮膚は、身体に熱などのストレスが加わったときに、ダメージから身体を防御しようとして細胞のタンパク構造を強化したり、ダメージを修復する働きがあるヒートショックプロテインというタンパク質が発現し、その生成スピードが早ければ早いほどダメージが少なくなるのですが、開発元のMERCKの研究報告によると、

ヒートショックプロテインによる細胞保護比較

無添加と比較して1%のエクトインを塗布したほうが最初の20分~40分にかけて2倍以上ヒートショックプロテインの生成を早めることが明らかになっています(文献2:2009)

また、熱や紫外線を浴びることで皮膚がダメージ受けると、ランゲルハンス細胞という免疫細胞の数が減少し、細胞の保護機能が低下しますが、開発元のMERCKの研究報告によると、

UV照射によるランゲルハンス細胞の保護比較

無添加に比べて1%エクトイン配合クリームを塗布したランゲルハンス細胞はほとんど減少していないことが明らかになっています(文献2:2009)

化粧品に配合される場合は、肌のうるおいを長時間保つ保水作用、ヒートショックプロテイン産生促進による細胞保護および修復作用、紫外線照射によってコラーゲン破壊を加速させるIL-6活性抑制作用目的で、チーク・ファンデーション・口紅・化粧下地などのメイクアップ化粧品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品などに配合されます。

エクトインのメイクアップ製品への配合効果に関しては、2012年にポーラ化成工業の研究報告によると、以下の図のように、

エクトインタルクの紫外線防御の仕組み

タルクの表面にエクトインをコーティング処理することで、エクトインタルクが皮膚上で均一にメーク膜を形成し、紫外線によって徐々にエクトインが肌に浸透し、同時にヒートショックプロテインを産生します(文献3:2012)

また、2012年のポーラ化成の研究報告では、以下のグラフのように、紫外線照射によってコラーゲン破壊を加速させるIL-6活性抑制作用などの防御能を高めることが明らかにされています(文献3:2012)

エクトインの表皮IL-6産生抑制効果

ただし、試験の詳細が不明であるため、化粧品への配合においては試験よりも穏やかなIL-6活性抑制作用であると考えられます。

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エクトインの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

エクトインの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

開発元のMERCKの安全データシート(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD404テストガイドラインに基づく皮膚刺激性試験の結果、皮膚刺激性なし

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激の報告がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

開発元のMERCKの安全データシート(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD405テストガイドラインに基づく眼刺激性試験の結果、眼刺激性なし

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激の報告がないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

開発元のMERCKの安全データシート(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いたOECD406テストガイドラインに基づく皮膚感作性試験の結果、陰性

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作の報告がないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
エクトイン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、エクトインは△(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

エクトインは保湿成分、抗シワ(抗老化)成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 抗シワ(抗老化)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “MERCK”(2017)「安全データシート RonaCare® Ectoin」, < http://www.merck-performance-materials.jp/country.jp.pm/ja/images/RonaCare%20Ectoin_tcm2081_170147.pdf> 2018年7月24日アクセス.
  2. MERCK(2009)RonaCare® Ectoin技術資料
  3. “ポーラ化成工業株式会社”(2012)「紫外線による皮膚弾力の低下を抑制する新規機能性粉体を開発」, < http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20120124.pdf> 2018年7月24日アクセス.

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