アロエベラ液汁とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 細胞賦活剤 バリア機能 紫外線防止成分
アロエベラ液汁
[化粧品成分表示名称]
・アロエベラ液汁
・アロエベラ液汁-1(旧称)

ユリ科植物アロエベラ(学名:Aloe vera = Aloe barbadensis)の葉から下剤成分であるアロインを除去して圧搾して得られる葉汁です。

アロエベラ液汁の成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • ムコ多糖類
  • アミノ酸
  • アロエサポナリンⅠ

などで構成されています(文献2:2006)

アロエベラは南アフリカ原産で、寒さに弱い品種であるため日本では沖縄でしか栽培されていませんが、欧米ではアロエといえばアロエベラを指します。

アロエベラの表皮のすぐ下には、医薬品成分であり大腸を直接刺激して腸蠕動を促進させ、下痢をひきおこす下剤成分であるアロインが含まれており、食品や化粧品に使用できないため、表皮を除いたゼリー状の葉肉部だけを利用します。

葉肉には、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ムコ多糖類、酵素などが多く含まれており、ムコ多糖類のエースマンナンは免疫細胞を活性化して免疫力を高め、火傷、外傷、皮膚潰瘍、胃炎、胃潰瘍などの治癒を促進することが報告されています(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、ヘアケア製品、日焼け止め製品、洗浄製品、洗顔料、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献2:2006;文献4:2015;文献6:2017)

インボルクリン遺伝子の発現量増加による細胞賦活作用

インボルクリン遺伝子の発現量増加による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識としてインボルクリンについて解説します。

以下の表皮角質層の拡大図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

皮膚における角質の構造図

角質層は、角質と細胞間脂質で構成されており、角質の隙間を細胞間脂質が敷き詰めることで角質層は安定し、また外界物質の侵入を防ぐと同時に角質層の水分蒸発を防ぎ、バリア機能として働きます。

角質層を形成する角質細胞は、表皮ケラチノサイト(角化細胞)の最終産物であり、顆粒層で細胞にアポトーシス(∗1)を起こさせるタンパク質分解酵素であるカスパーゼによってアポトーシスを迎えた死細胞です。

∗1 あらかじめ遺伝子で決められたメカニズムによる細胞の自然死現象のことです。

角質細胞の一番外側には細胞膜が存在し、細胞膜の内側には周辺帯(cornified Sell envelope:CE)と呼ばれる極めて強靭な裏打ち構造の不溶性タンパクの膜が形成されており、角質細胞を包んでいます(文献6:2011)

インボルクリンとは、周辺帯の外側に存在する構成成分のひとつで、疎水性を獲得し、細胞間脂質が整然と配列されるための土台を提供していると考えられており、表皮細胞の成熟にともなってつくられることからターンオーバーの指標としてよく用いられています。

2015年に小林製薬と近畿大学薬学総合研究所との共同研究によって報告されたアロエベラ液汁の表皮ターンオーバー促進作用の検証によると、

アロエベラ液汁を含む培地でヒト表皮細胞を48時間培養し、インボルクリンの遺伝子発現量を調べたところ、以下のグラフのように、

アロエベラ液汁の濃度とインボルクリン遺伝子発現量の影響

アロエベラ液汁は、濃度依存的にインボルクリンの遺伝子発現量を増加することがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2015)、アロエベラ液汁にインボルクリン遺伝子の発現量増加によるターンオーバー促進作用(細胞賦活作用)が認められています。

インテグリンおよびカドヘリン増加による細胞賦活作用

インテグリンおよびカドヘリン増加による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識としてインテグリンおよびカドヘリンについて解説します。

上記と同じになりますが、以下の表皮角質層の拡大図をみてもらうと、

皮膚における角質の構造図

細胞の一番外側に存在するのが細胞膜ですが、インテグリンおよびカドヘリンはどちらも細胞膜に存在する接着因子であり、インテグリンは主に細胞と細胞外マトリックスの結合に関与する糖タンパク質でカドヘリンは主に細胞と細胞の結合に関与する糖タンパク質です。

2015年に小林製薬と近畿大学薬学総合研究所との共同研究によって報告されたアロエベラ液汁の細胞接着因子の増加作用の検証によると、

アロエベラ液汁を含む培地でヒト表皮細胞を48時間培養し、インテグリンおよびカドヘリンの抗体で細胞表面を染色し、発現量を解析したところ、以下のグラフのように、

アロエベラ液汁による細胞接着因子のタンパク質発現量

アロエベラ液汁は、インテグリンおよびカドヘリンを増加することがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2015)、アロエベラ液汁に細胞接着因子であるインテグリンおよびカドヘリンの増加による皮膚構造の強化作用(バリア機能向上作用)が認められています。

カスパーゼ-3発現抑制による紫外線防御作用

カスパーゼ-3発現抑制による紫外線防御作用に関しては、まず前提知識として紫外線によるアポトーシスの皮膚への影響とアポトーシスを起こさせるタンパク質分解酵素であるカスパーゼ-3について解説します。

アポトーシスは、インボルクリン遺伝子の発現量増加による細胞賦活作用で解説したようにあらかじめ遺伝子で決められたメカニズムによる細胞の自然死現象のことです。

ダメージが蓄積され、自己で修復できなくなった角質細胞は、他の細胞に悪影響を与えないようにアポトーシス(細胞死)を選びますが、アポトーシスそのものは皮膚を守る自然な防御反応です。

しかし、紫外線を浴び続けると、このアポトーシスが過剰に起こり、角質細胞が炎症の原因となる様々な炎症物質を放出して炎症反応を起こし、異常なケラチノサイト(角化細胞:角質の元となる表皮の角層の下にある細胞)が増加することで、肌表面のキメの消失や水分量の低下の原因になることが知られています(文献5:2017)

そして、アポトーシスを引き起こすのがタンパク質分解酵素であるカスパーゼであり、カスパーゼには14種類が存在していますが、アポトーシスに関わるのは、

  • 誘導型カスパーゼ:カスパーゼ-2,8,9,10
  • 実行型カスパーゼ:カスパーゼ-3,6,7

となっています。

2017年に小林製薬と近畿大学薬学総合研究所との共同研究によって報告されたアロエベラ液汁における紫外線による過剰な表皮細胞死の抑制効果検証によると、

アロエベラ液汁を添加したヒト表皮細胞にUVB(20mJ/c㎡)を照射し、照射8時間後にカスパーゼ-3発現量を測定したところ、以下のグラフにように、

アロエベラ液汁による活性カスパーゼ-3の発現抑制効果

アロエベラ液汁を添加した場合、カスパーゼ-3の発現そのものを抑えることが確認された。

次に、実際に細胞死(アポトーシス)が起きているかをヒト表皮細胞の膜表面に着目して測定したところ、アロエベラ液汁を添加したヒト表皮細胞では、細胞死にむかっている細胞がほとんど認められないことが確認され、アロエベラ液汁を添加することで紫外線に晒される中でも細胞が健全な膜状態を維持しており、紫外線からのダメージを免れていることが確認できた。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2017)、アロエベラ液汁にはカスパーゼ-3発現抑制による紫外線における過剰アポトーシスの抑制作用(紫外線防御作用)が認められています。

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アロエベラ液汁の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アロエベラ液汁の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、化粧品に配合されるアロエベラ葉エキスはアレルギーやかぶれの原因となる医薬品成分であるアロインが除去されており、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性もほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

試験結果や安全性データはみあたりませんが、古くから使用実績があり、あかぎれや傷ついた皮膚を治療する軟膏などの皮膚外用薬にも使用されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果はみあたりませんが、化粧品で使用するアロエベラ液汁は、アレルギーの原因となり得る医薬品成分であるアロインが除去されていることもあり、皮膚感作(アレルギー)はほとんど起こらないと考えられます。

ネット上ではアロエでアレルギーやかぶれが起こったという記事もみられますが、同じアロエベラエキスでも医薬品の軟膏やクリームの場合はアロインが含まれているので、アレルギーやかぶれが起こる可能性があります。

また、化粧品でもキダチアロエはアロインを除去しなくてもいいとされているので、キダチアロエはアレルギーやかぶれが起こる可能性があります。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Aloe Andongensis Extract, Aloe Andongensis Leaf juice, Aloe Arborescens Leaf Extract , Aloe Arborescens Leaf Juice, Aloe Arborescens Leaf Protoplasts, Aloe Barbadensis Flower Extract, Aloe Barbadensis Leaf, Aloe Barbadensis Leaf Extract, Aloe Barbadensis Leaf Juice, Aloe Barbadensis Leaf Polysaccharides, Aloe Barbadensis Leaf Water, Aloe Ferox Leaf Extract, Aloe Ferox Leaf Juice, and Aloe Ferox Leaf Juice Extract」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.1%アロエベラ液汁を含む化粧水の光感作性試験を行ったところ、試験部位において照射および未照射にかかわらず光感作反応は観察されなかった(CTFA,2003)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、光感作性は観察されていないため、光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アロエベラ液汁

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アロエベラ液汁は△(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アロエベラ液汁は保湿成分、細胞賦活成分、紫外線防御成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分 紫外線防御成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Aloe Andongensis Extract, Aloe Andongensis Leaf juice, Aloe Arborescens Leaf Extract , Aloe Arborescens Leaf Juice, Aloe Arborescens Leaf Protoplasts, Aloe Barbadensis Flower Extract, Aloe Barbadensis Leaf, Aloe Barbadensis Leaf Extract, Aloe Barbadensis Leaf Juice, Aloe Barbadensis Leaf Polysaccharides, Aloe Barbadensis Leaf Water, Aloe Ferox Leaf Extract, Aloe Ferox Leaf Juice, and Aloe Ferox Leaf Juice Extract」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810701351186> 2018年9月4日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,362.
  3. 鈴木 洋(2011)「アロエ・ベラ(Aloe vera)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,15-16.
  4. 小林製薬(2015)「アロエベラ液汁に計3点の美肌効果を新たに確認」, <https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2015/150818_01/index.html> 2018年9月4日アクセス.
  5. 小林製薬(2017)「美肌効果の解明が進むアロエベラ液汁 紫外線ダメージから皮膚を守る効果を新発見」, <https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2017/170907_01/index.html> 2018年9月4日アクセス.
  6. 清水 宏(2011)「周辺帯」あたらしい皮膚科学第2版,9.

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