アルテア根エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 収れん成分 美白成分 消臭剤
アルテア根エキス
[化粧品成分表示名称]
・アルテア根エキス

[医薬部外品表示名称]
・アルテアエキス

アオイ科植物ビロードアオイ(別名:ウスベニタチアオイ 学名:Athaea officinalis 英名:Marsh mallow)の根からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)またはこれらの混液で抽出して得られるエキスです。

アルテア根エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献1:2006)

アルテアは、ハーブとしてはマシュマロウと呼ばれ、ヨーロッパの伝統医学で2000年にわたって用いられてきた歴史をもちます。

マシュマロウの粘液は、粘液を含むハーブの中で最も重要な位置を占めており、アラビノガラクタンなどの多糖類より構成され、葉には6~9%、アルテア根と呼ばれる根には6.2~11.6%含まれます(文献3:2016)

粘液が効果的な症状として空咳、のどの痛み、気管支炎、口内炎、消化管の炎症、泌尿器の炎症などで粘液が粘膜に潤いを与え刺激から保護します(文献3:2016)

また湿疹や皮膚炎などに湿布などで外用すると粘液が患部を保護し、修復を早めます(文献3:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ製品、ヘアケア製品、洗浄製品、洗顔料、シート マスク製品、デオドラント製品、消臭剤などに使用されます(文献1:2006;文献2:2015;文献4:1998;文献5:2006)

エンドセリン-1抑制による色素沈着抑制作用

エンドセリン抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてエンドセリンについて解説します。

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

生体内で最も強力な血管収縮物質のひとつであるエンドセリン-1は、情報伝達物質のひとつでもあり、エンドセリン-1を抑制することでメラニン合成の抑制につながります。

1998年に花王によってアルテア根エキスのエンドセリン抑制効果が明らかにされており(文献4:1998)、アルテア根エキスにエンドセリン抑制によるメラニン合成抑制作用(色素沈着抑制作用)が認められています。

アルカリホスファターゼ抑制による腋消臭作用

アルカリホスファターゼ抑制による腋消臭作用に関しては、まず前提知識として腋臭発生のメカニズムとアルカリホスファターゼについて解説します。

以下の体毛の構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

体毛の構造図

一般に腋臭およびワキガ発生のメカニズムは、アポクリン汗腺から汗とともに分泌される脂質やタンパク質などが皮膚表面の常在菌や空気中の細菌によって分解されて起こると考えられています(文献7:2002)

アポクリン汗腺の分泌活動が盛んであればあるほどにおいも強くなりますが、アポクリン汗腺では分泌細胞が離出する分泌活動期と離出によって失われた分泌細胞が再形成される細胞回復期があり、この活動サイクルのすべての時期において、脂質やタンパク質の分解酵素であるアルカリホスファターゼの活性が認められています(文献5:2006)

2006年にクラシエ(旧カネボウ)によって報告された植物エキスによるアルカリホスファターゼ抑制による腋消臭の検証によると、

においの防止へのアプローチは、

  • 殺菌剤による常在菌の殺菌
  • 吸着剤による汗の吸着
  • 香りによるマスキング

など分泌された汗に対処するものが多く、においの発生に強く関わるアポクリン汗の分泌を抑制する方法はこれまでなかった。

そこで、アポクリン汗腺におけるにおい発生のメカニズムを研究したところ、アポクリン汗腺のすべての活動サイクルにおいてアルカリホスファターゼの活性が認められた。

この事実はアルカリホスファターゼがアポクリン汗腺の活動サイクル全般に関与していることを示しており、アルカリホスファターゼ活性を阻害することでアポクリン汗腺の活動を抑制し、腋臭およびわきがを防止する効果が期待できる。

アポクリン汗腺の分泌を抑制する可能性のある素材の探索を目的に約50種類の植物エキスのアルカリホスファターゼ阻害活性を測定したところ、セージエキス、アルテアエキス、オウゴンエキスローマカミツレエキスに強い阻害活性が認められた。

さらに、アルカリホスファターゼ活性阻害によるアポクリン汗腺分泌抑制作用の検証を行うため、健常な16人の左右のわきに殺菌剤のみ配合の外用剤と殺菌剤および植物エキスを配合した外用剤を1回塗布し、2.5時間ガーゼを用いて汗を回収した。

ガーゼからにおい成分を抽出し、わきのにおいの元である脂肪酸を分析したところ、植物エキスを配合した外用剤では、臭気がとくに強くわきがの原因となる酪酸(チーズのような臭気)およびイソ吉草酸(すっぱい臭気)の生成を抑制する効果を確認した。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2006;文献6:2001)、アルテアエキスにアルカリホスファターゼ抑制による腋消臭作用が認められています。

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アルテア根エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アルテア根エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アルテア根エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アルテア根エキスは毒性なし(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アルテア根エキスは保湿成分、収れん成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 収れん成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,361.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「アルテア」化粧品成分ガイド 第6版,186.
  3. 林真一郎(2016)「マシュマロウ(アルテア)」メディカルハーブの事典 改定新版,162-163.
  4. 小林 明美, 他(1998)「アルテア・エキスのメラノサイト細胞におけるエンドセリン作用抑制効果」日本薬学会年会要旨集(118)(2),121.
  5. “クラシエホールディングス株式会社”(2006)「わきがを抑制する新たなメカニズムを発見 植物エキスでアポクリン汗腺の活動を抑え、わきのにおいを根本改善」, <http://www.kracie.co.jp/release/pdf/060601wakiga.pdf> 2018年9月9日アクセス.
  6. 与茂田 敏(2001)「腋臭防止剤 」特開2001-288063.
  7. 朝田 康夫(2002)「アポクリン汗腺(体臭となって匂う汗)とは」美容皮膚科学事典,61-63.

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