アルカリゲネス産生多糖体とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 感触改良剤 乳化剤
アルカリゲネス産生多糖体
[化粧品成分表示名称]
・アルカリゲネス産生多糖体

[慣用名]
・アルカシーラン

2000年以降に化粧品に配合され始めたグラム陰性球桿菌または桿菌のアルカリゲネス属から産生される多糖類(親水性高分子化合物)です。

細菌は細胞の外側に堅固な鎧を持たない生物であり、DNAや代謝系組織はわずか数十ナノの細胞壁で覆われ、外界と遮断されているだけですが、一部の細菌は丸裸な細胞を包み込むようにゼリー状物質を分泌し、その保護膜に守られることで代謝活動を維持しながら生き抜いています。

この細菌の優れた細胞保護システムであるゼリー状物質(天然多糖)をバイオ技術によって生産したものがアルカリゲネス産生多糖体です。

化粧品に配合される目的は、

  • 感触改良性
  • 乳化性
  • 保湿性

の3つが主です。

とくに重要なのが感触改良材としての役割ですが、アルカリゲネス産生多糖体を配合することで、ベタつかずすべりや延びが良いわりには止まりの早い、軽くさっぱりした化粧品に最も適した製剤が得られます。

この感触は、ほかの有名な親水性高分子、たとえば天然系ならヒアルロン酸やキサンタンガム、合成系ならカルボマーやメチルセルロースと比較してもはっきりとした違いがあり、今までにはなかった感触を作り上げることができます。

次にアルカリゲネス産生多糖体は天然由来の乳化剤としても注目されています。

たとえばウォータープルーフ系(∗1)の日焼け止め製品は、耐水性機能を向上させるためにW/O型乳化タイプの基剤を採用することが多いですが、W/O型基剤はベタつきがあり瑞々しさに欠け、使用感が劣り、耐水性を上げるためにシリコーンオイルを配合しているため、石けんや洗顔料では落ちにくくなり、クレンジングの使用が必須となるデメリットがあります。

∗1 汗などの水分で落ちにくい処方のことです。

そこで界面活性剤やシリコーンオイルを配合せず、石けんや洗顔フォームで洗い流せるウォータープルーフ系日焼け止めを処方する目的でアルカリゲネス産生多糖体が配合されます。

また、伸びがよく、保湿性に優れた、化粧持ちの良い冬用ファンデーションを処方する目的でも配合されます。

ほかにも界面活性剤の配合量を抑え、肌に必要な保湿成分まで落とすことなく、洗い終わりに肌の水分量を向上させる目的で、クレンジングミルクやクレンジングクリームに配合されます。

市販クレンジング処理後の皮膚水分量の比較

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アルカリゲネス産生多糖体の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アルカリゲネス産生多糖体の現時点での安全性は、多糖類であり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性に関しては非刺激性またはわずかに眼刺激性が起こる可能性はあるものの、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全性データはみあたりませんが、多糖類であり、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データはみあたりませんが、多糖類のため、非刺激性またはわずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アルカリゲネス産生多糖体 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アルカリゲネス産生多糖体は毒性なし(∗2)となっており、毒性はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アルカリゲネス産生多糖体は保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分

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文献一覧:

  1. 野畑靖浩(2010)「アルカリゲネス産生多糖体 アルカシーラン」グリーンバイオケミストリーの最前線,p83-90.

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