オキシベンゾン-9の基本情報・配合目的・安全性

オキシベンゾン-9

化粧品表示名 オキシベンゾン-9
医薬部外品表示名 ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシベンゾフェノン-5,5′-ジスルホン酸ナトリウム
部外品表示簡略名 ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸Na
INCI名 Benzophenone-9
配合目的 退色防止

1. 基本情報

1.1. 定義

ベンゾフェノン誘導体の一種であり、以下の化学式で表されるオキシベンゾン-6に2個のスルホ基(-SO3H)が結合したオキシベンゾン-6のジスルホン酸ナトリウム塩です[1a]

オキシベンゾン-9

1.2. 物性・性状

オキシベンゾン-9の物性・性状は(∗1)

∗1 極大吸収波長とは、人体に影響を及ぼす紫外線波長であるUVB-UVAの波長領域(290-400nm)の中で最も吸収する波長のことをいいます。

状態 極大吸収波長(nm) 溶解性
粉末 333(UVA領域) 水に易溶、エタノールに微溶

このように報告されています[2a][3a]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 退色防止

主にこれらの目的で、スキンケア製品、アウトバストリートメント製品、プレスタイリング製品、ボディケア製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 退色防止

退色防止に関しては、オキシベンゾン-9はUVAに吸収能をもち、への溶解性に優れることから[2b]、紫外線曝露による色素の退色・変色、高分子化合物の分解ならびに解重合、油脂類の酸化などを防ぎ、製造から使用を終えるまでの長期間にわたって化粧品の安定性を保つ目的でスキンケア製品、アウトバストリートメント製品、プレスタイリング製品、ボディケア製品などに使用されています[1b][4][5]

3. 配合製品数および配合量範囲

ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウムは、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けんシャンプーリンス等除毛剤 1.0 日焼け止め剤のみ10。紫外線吸収剤の合計は10以下とする
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可
染毛剤 1.0
パーマネント・ウェーブ用剤 1.0

また、オキシベンゾン-9は配合制限成分リスト(ポジティブリスト)収載成分であり(∗2)、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

∗2 ポジティブリストにおいては成分名「ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム」と記載されています。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10
粘膜に使用されることがある化粧品 配合不可

化粧品に対する実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1983年および2020-2021年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗3)

∗3 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

オキシベンゾン-9の配合製品数と配合量の調査結果(1983年および2020-2021年)

4. 安全性評価

オキシベンゾン-9の現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[3b]によると、

  • [ヒト試験] 14名の被検者に2.68,5.36および10.72%オキシベンゾン-9を含むワセリンを対象に単回皮膚刺激性試験を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Industrial Biology Labs,1967)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[3c]によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に2.68,5.36および10.72%オキシベンゾン-9を含むワセリン0.1mLを適用し、適用1,2,3および7日目に眼刺激性を評価したところ、いずれの観測においても眼刺激はみられず、この試験物質はこの試験条件下において眼刺激剤ではなかった(Industrial Biology Labs,1967)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5.36%オキシベンゾン-9水溶液0.1mLを点眼し、点眼1,2,3,4および7日目に眼刺激性を評価したところ、1および2日目には中程度の眼刺激がみられたが、徐々に回復し5日目には消失した。この試験物質は中程度の眼刺激剤に分類された(Industrial Biology Labs,1965)

このように記載されており、試験データをみるかぎり非刺激-中程度の眼刺激が報告されているため、一般に眼刺激性は非刺激-中程度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

ただし、実際の製品において最大濃度1%であることから、濃度1%以下における眼刺激性試験データが必要であると考えられます。

4.3. 皮膚感作性(アレルギー性)

医薬部外品原料規格2021に収載されており、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「オキシベンゾン-9」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,247.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2006)「紫外線防御剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,445-457.
  3. abcR.L. Elder(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, 3, 4, 5, 9, and 11」Journal of the American College of Toxicology(2)(5),35-77. DOI:10.1177/1091581803022S303.
  4. Miwon Commercial Co., Ltd.(2015)「UV stabilizers」Personal Care Ingredients,11.
  5. 田村 健夫・廣田 博(2001)「安定剤としての紫外線吸収剤」香粧品科学 理論と実際 第4版,235-237.

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