オキシベンゾン-2の基本情報・配合目的・安全性

オキシベンゾン-2

化粧品表示名称 オキシベンゾン-2
医薬部外品表示名称 テトラヒドロキシベンゾフェノン
化粧品国際的表示名称(INCI名) Benzophenone-2
配合目的 退色防止

1. 基本情報

1.1. 定義

ベンゾフェノン誘導体の一種であり、以下の化学式で表されるベンゾフェノンに4個のヒドロキシ基(-OH)が結合した芳香族化合物です[1a]

オキシベンゾン-2

1.2. 物性・性状

オキシベンゾン-2の物性・性状は(∗1)

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。また極大吸収波長とは、人体に影響を及ぼす紫外線波長であるUVB-UVAの波長領域(290-400nm)の中で最も吸収する波長のことをいいます。

状態 融点(℃) 極大吸収波長(nm) 溶解性
粉末 195-203 287(UVB領域)
349(UVA領域)
水に微溶、エタノールに可溶

このように報告されています[2a][3a]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 退色防止

主にこれらの目的で、スキンケア製品、ボディケア製品、香水、アウトバストリートメント製品、プレスタイリング製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 退色防止

退色防止に関しては、オキシベンゾン-2はUVBとUVAにおよぶ吸収能をもち、わずかながら水に溶けることから[2b][3b]、紫外線曝露による色素の退色・変色、高分子化合物の分解ならびに解重合、油脂類の酸化などを防ぎ、製造から使用を終えるまでの長期間にわたって化粧品の安定性を保つ目的で、スキンケア製品、ボディケア製品、香水、アウトバストリートメント製品、プレスタイリング製品などに使用されています[1b][4]

3. 配合製品数および配合量範囲

テトラヒドロキシベンゾフェノンは、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けんシャンプーリンス等除毛剤 1.0 日焼け止め剤のみ10。紫外線吸収剤の合計は10以下とする
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
薬用口唇類 0.050
薬用歯みがき類 0.050
浴用剤 1.0
染毛剤 1.0
パーマネント・ウェーブ用剤 1.0

また、オキシベンゾン-2は配合制限成分リスト(ポジティブリスト)収載成分であり(∗2)、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

∗2 ポジティブリストにおいては成分名「テトラヒドロキシベンゾフェノン」と記載されています。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10
粘膜に使用されることがある化粧品 0.050

化粧品に対する実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1983年および2020-2021年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗3)

∗3 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

オキシベンゾン-2の配合製品数と配合量の調査結果(1983年および2020-2021年)

4. 安全性評価

オキシベンゾン-2の現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし
  • 光感作性(皮膚炎を有する場合):まれに光感作を引き起こす可能性あり

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、過去に皮膚アレルギーまたは光接触アレルギーの既往歴がある場合や皮膚炎を有する場合は、まれに光感作を引き起こす可能性があるため、注意が必要であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[3c]によると、

  • [ヒト試験] 14名の被検者に4,8および16%オキシベンゾン-2を含むワセリンを対象に単回皮膚刺激性試験を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Industrial Biology Labs,1967)
  • [ヒト試験] 50名の被検者に2.45および4.9%オキシベンゾン-2水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、誘導期間において17名の被検者に皮膚疲労がみられ、チャレンジ期間において5名の被検者に皮膚反応がみられた。この結果から濃度約5%において皮膚疲労および皮膚感作を誘発する可能性があり、濃度約2.5%においてはこれらの可能性がなかった(Industrial Biology and Research Testing Labs,1957)

このように記載されており、試験データをみるかぎり化粧品配合量範囲において共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[3d]によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4,8および16%オキシベンゾン-2を含むワセリン0.1mLを適用し、適用1,2,3および7日目に眼刺激性を評価したところ、いずれの観測においても眼刺激はみられず、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(Industrial Biology Labs,1967)

このように記載されており、試験データをみるかぎり化粧品配合範囲において眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

4.3. 光毒性(光刺激性)および光感作性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[3e][5]によると、

– 健常皮膚を有する場合 –

  • [ヒト試験] 22名の被検者に0.0005%オキシベンゾン-2を含む入浴製剤を対象に光毒性試験を日光にて実施したところ、9名の被検者にわずかな皮膚反応がみられたが、これは一次刺激反応と判断され、この試験物質は光刺激剤ではないと結論付けられた(Hill Top Research Labs,1974)

– 皮膚炎を有する場合 –

  • [ヒト試験] 日焼け止めにアレルギー反応を示す11名の患者に1および10%オキシベンゾン-2を含むワセリンを対象に光感作性試験を実施したところ、1名の患者が濃度1%において遅延型過敏反応を示した(T. Shaw et al,2010)

このように記載されており、試験データをみるかぎり健常皮膚を有する場合において光刺激なしと報告されているため、一般に光毒性(光刺激性)はほとんどないと考えられます。

また、過去に接触皮膚アレルギーの既往歴がある場合や皮膚炎を有する場合においては、試験データをみるかぎり光感作事例が報告されているため、まれに光感作反応を引き起こす可能性があると考えられます。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「オキシベンゾン-2」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,246-247.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2006)「紫外線防御剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,445-457.
  3. abcdeR.L. Elder(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, 3, 4, 5, 9, and 11」Journal of the American College of Toxicology(2)(5),35-77. DOI:10.1177/1091581803022S303.
  4. 田村 健夫・廣田 博(2001)「安定剤としての紫外線吸収剤」香粧品科学 理論と実際 第4版,235-237.
  5. W.F. Bergfeld, et al(2021)「Amended Safety Assessment of Benzophenones as Used in Cosmetics(∗4)」, 2022年4月10日アクセス.
    ∗4 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。

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