ヨウ素価の解説と植物油脂のヨウ素価一覧

1. ヨウ素価の解説

油脂を構成する脂肪酸の中には二重結合をもつ不飽和脂肪酸が存在するものがあり、二重結合をもつ脂肪酸は化学的に不安定で、酸化されやすかったり、ヨウ素などと結合することが知られています[1a]

ヨウ素価とは、脂肪酸の不飽和結合の程度を示すものであり、一般に、

ヨウ素価 100以下 100-130 130以上
分類 不乾性油 半乾性油 乾性油
主な不飽和脂肪酸 オレイン酸 オレイン酸
リノール酸
リノール酸
リノレン酸

このような分類が知られています[1b]

二重結合を1つもつオレイン酸が主な油脂は、ヨウ素価として100以下を示し、それは言い換えると酸化反応性が低い(酸化しにくい)ことを意味します。

また、油脂は、二重結合と反応して酸化することによって固化(乾燥)するため、酸化しやすさを乾燥しやすさと置き換え、「不乾性油」「半乾性油」「乾性油」の3つに分類されています。

2. 植物油脂のヨウ素価一覧

以下に化粧品で使用される植物油脂のヨウ素価を一覧で掲載しておきますが、掲載するヨウ素価の数字はひとつの目安であり、実際には品種や地域によって変動幅があるため、そのことを考慮して参考にしてください。

分類 植物油脂 ヨウ素価 文献
不乾性油
(100以下)
アフリカマンゴノキ核脂 3.5 – 4.2 [2]
アストロカリウムムルムル種子脂 6 – 16 [3]
ヤシ油 7 – 16 [3]
パーム核油 12 – 20 [3]
カカオ脂 29 – 38 [3]
テオブロマグランジフロルム種子脂 43.5 [4]
モクロウ 3 – 51 [3]
パーム油 43 – 60 [3]
シア脂 49 – 67 [3]
ワサビノキ種子油 66 [5]
マンゴー種子油 32 – 93 [6]
マカデミアナッツ油 70 – 80 [7]
ヘーゼルナッツ油 80 – 90 [7]
ヒマシ油 81 – 91 [3]
ツバキ種子油 78 – 87 [3]
メドウフォーム油 87 [7]
チャ種子油 83 – 90 [3]
オリーブ果実油 75 – 90 [3]
サザンカ油 80 – 92 [7]
ユチャ種子油 80 – 94 [6]
ピスタシオ種子油 84 – 98 [8]
バオバブ種子油 87.9 – 98.0 [9][10]
アルガニアスピノサ核油 95 [6]
パパイア種子油 65 – 100 [6]
スクレロカリアビレア種子油 100 [11]
ピーナッツ油 82 – 109 [3]
アボカド油 94.6 [7]
半乾性油
(100-130)
コメヌカ油 99 – 103 [12]
オレンジ種子油 97 – 105 [3]
ニンジン種子油 100 – 106 [3]
カノラ油 94 – 107 [3]
アンズ核油 90 – 110 [3]
モモ核油 100 – 110 [7]
アーモンド油 92 – 114 [7]
クランベアビシニカ種子油種子油 85 – 115 [12]
ゴマ油 103 – 118 [3]
コメ胚芽油 90 – 120 [12]
スイカ種子油 113 – 123 [6]
グレープフルーツ種子油 80 – 125 [6]
トマト種子油 107 – 125 [3]
コムギ胚芽油 115 – 129 [3]
クダモノトケイソウ種子油 120 – 129 [6]
コーン油 88 – 147 [3]
乾性油
(130以上)
ダイズ油 114 – 138 [3]
ブドウ種子油 107 – 143 [3]
ルリジサ種子油 130 – 155 [6]
ヒマワリ種子油 113 – 146 [3]
サフラワー油 120 – 150 [3]
クランベリー種子油 150.1 [13]
アマナズナ種子油 124 – 155 [8]
ザクロ種子油 161 – 170 [3]
ククイナッツ油 160 – 175 [7]
クロフサスグリ種子油 145 – 185 [6]
カニナバラ果実油 170 – 190 [7]
アマニ油 168 – 190 [3]
ヨーロッパキイチゴ種子油 154 – 195 [6][8]
月見草油 195 – 199 [3]
プルケネチアボルビリス種子油 180 – 200 [6]

3. 参考文献

  1. ab永井 利治・後藤 直宏(2018)「油脂の化学的特徴とその意義」油脂製品の知識 改訂新版,25-30.
  2. J.K. Joseph(1995)「Physico-chemical attributes of wild mango (Irvingia gabonensis) seeds」Bioresource Technology(53)(2),179-181. DOI:10.1016/0960-8524(95)00044-F.
  3. 鈴木 修, 他(1990)「油脂およびろうの性状と組成」油脂化学便覧 改訂3版,99-137.
  4. 香栄興業株式会社(2005)「精製クプアスバター」Fragrance Journal(33)(2),116-117.
  5. R. Banerji, et al(2009)「Oil and Fatty Acid Diversity in Genetically Variable Clones of Moringa oleifera from India」Journal of Oleo Science(58)(1),9-16. DOI:10.5650/jos.58.9.
  6. C.L. Burnett, et al(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3_suppl),51S-129S. DOI:10.1177/1091581817740569.
  7. 広田 博(1997)「植物油」化粧品用油脂の科学,10-26.
  8. D. Firestone(2013)「Characteristics of Oils and Fats of Plant Origin」Physical and Chemical Characteristics of Oils, Fats, and Waxes Third Edition,2-226.
  9. I.I. Nkafamiya, et al(2007)「Studies on the chemical composition and physicochemical properties of the seeds of baobab ( Adasonia digitata)」 African Journal of Biotechnology(6)(6),756-759.
  10. A.A. Idris, et al(2020)「Physicochemical properties and fatty acids composition of Sudanese Baobab (Adansonia Digitata L.) Seed oil」International Journal of Pharma and Bio Sciences(11)(1),34-42. DOI:10.22376/ijpbs.2020.11.1.p34-42.
  11. O. Ogbobe(1992)「Physico-chemical composition and characterisation of the seed and seed oil of Sclerocarya birrea」Plant Foods for Human Nutrition(42)(3),201-206. DOI:10.1007/bf02193927.
  12. 日光ケミカルズ株式会社(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブックⅠ,1-19.
  13. A. Rindt(2008)「Consumer acceptance of cranberry seed oil in several food formulations」, 2022年1月20日アクセス.

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