PEG-150の基本情報・配合目的・安全性

PEG-150

化粧品表示名称 PEG-150
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール6000
医薬部外品表示名称(簡略名) PEG(120)、PEG6000
化粧品国際的表示名称(INCI名) PEG-150
配合目的 保水溶剤結合 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される、酸化エチレンの重合体(∗1)です[1a][2]

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指します。

PEG-150

1.2. 物性

PEG(polyethylene glycol:ポリエチレングリコール)の物性は(∗2)(∗3)

∗2 PEGは医薬部外品表示名称の数値がそのまま平均分子量を表しており、表の「PEG」における数字は、性質を反映してわかりやすいことから医薬部外品表示名称であるポリエチレングリコールの数字部分を記載しています。

∗3 表中の「1500(ポリエチレングリコール1500)」は「PEG-6」と「PEG-32」の混合物であることから、物性が他とは異なります。

PEG 平均分子量 水酸基価(∗4) 粘度(mm²/s) 吸湿性
300 285-315 356-393 5.0-6.2


4000以上はほとんどなし

400 380-420 267-295 6.0-8.0
600 570-630 178-196 10-12
1000 950-1050 107-118 17-20
1500 500-600 187-224 13-18
1540 1300-1600 70.0-86.2 25-32
2000 1800-2200 51.0-62.0 36-46
4000 2700-3400 33.0-41.0 75-85
6000 7400-9000 12.5-15.2 700-900
20000 18000-25000 5.2-6.2 11500-15000

∗4 水酸基価とは、試料中の水酸基(ヒドロキシ基:-OH)の含有量を表す指標であり、分子中に水酸基の占める割合いが多いほど水酸基価は大きくなります。ポリエチレングリコールにおいては水酸基価が大きくなるにつれて保湿性・吸湿性および水への溶解性が高くなり、一方で水酸基価が小さいほど保湿性・吸湿性および水への溶解性は低くなります[3]

このように報告されています[4]

「ポリエチレングリコール1500」は「PEG-6」と「PEG-32」の等量混合物であるため例外となりますが、PEGは分子量の増加とともに水酸基価および吸湿性が低下し、一方で粘度は増加する性質を示します。

1.3. 化粧品以外の主な用途

PEG-150の化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 可塑、滑沢、可溶・可溶化、基剤、結合、懸濁・懸濁化、光沢化、コーティング、湿潤、糖衣、粘着増強、粘稠、賦形、分散、崩壊、防湿目的の医薬品添加剤として経口剤、外用剤、眼科用剤、口中用剤などに用いられています[5a]

これらの用途が報告されています(∗5)

∗5 医薬品・医薬品添加物分野においてはポリエチレングリコールは「マクロゴール(macrogol)」として区別されており、PEG-150(ポリエチレングリコール6000)は「マクロゴール6000」とよばれています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 保水
  • 溶剤
  • 結合

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、ボディソープ製品、洗顔料、洗顔パウダー、メイクアップ化粧品、シャンプー製品、まつ毛美容液、入浴剤など様々な製品に使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 製品自体の保水

製品自体の保水に関しては、PEG-150は保水性を有していることから、製品自体の水分を保留し、乳化系や可溶化系の安定性を保持する目的で様々な製品に配合されています[1b][6]

2.2. 溶剤

溶剤に関しては、PEG-150はに溶けやすいことから[5b]、親水性基剤などに用いられています[1c][7]

2.3. 結合

結合に関しては、PEG-150は粉体原料同士を皿状容器に圧縮成型するとき、粉体原料同士のくっつきをよくしたり、使用時に粉が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で主にパウダー系メイクアップ化粧品などに用いられます[1d][8]

3. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2008-2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

PEG-150の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

4. 安全性評価

PEG-150の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

日本薬局方および医薬部外品原料規格2021に収載されており、50年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. abcd日本化粧品工業連合会(2013)「PEG-150」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,28.
  2. 大木 道則, 他(1989)「ポリエチレングリコール」化学大辞典,2243.
  3. 田村 健夫・廣田 博(2001)「保湿剤」香粧品科学 理論と実際 第4版,130-133.
  4. 日光ケミカルズ株式会社(2016)「多価アルコール」パーソナルケアハンドブックⅠ,95-101.
  5. ab日本医薬品添加剤協会(2021)「マクロゴール6000」医薬品添加物事典2021,618-619.
  6. 尾沢 達也(1969)「保湿剤(Humectant)」ファルマシア(5)(10),685-690. DOI:10.14894/faruawpsj.5.10_685.
  7. 日光ケミカルズ株式会社(1982)「多価アルコール類」化粧品製剤実用便覧,137-139.
  8. 霜川 忠正(2001)「結合剤」BEAUTY WORD 製品科学用語編,216.

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