高級脂肪酸の解説と植物油脂に含まれる高級脂肪酸一覧

1. 高級脂肪酸の解説

脂肪酸は、油脂やロウの主要な構成成分であり、化学構造的には「RCOOH」で表される酸の総称です[1a][2a]

たとえば植物油脂は化学構造的に、

油脂の化学構造

1つのグリセリンと3つの脂肪酸(RCOOH)で構成されていますが、この油脂を加水分解することにより脂肪酸がつくられます[1b]

この脂肪酸の中で、炭素数10(C10以下の脂肪酸は低級脂肪酸(∗1)、炭素数12(C12以上のものは高級脂肪酸とよばれており、また高級脂肪酸は炭素鎖が長いことから長鎖脂肪酸(∗2)ともよばれます。

∗1 低級脂肪酸は皮膚への刺激性があり、また酸化安定性が低く、化粧品成分としてはほとんど用いられません。

∗2 炭素数が多いとそれだけ炭素鎖が長くなるので、炭素数11-20(C11-C20)の脂肪酸を長鎖脂肪酸ともよび、炭素数6(C6)以下を低級脂肪酸(短鎖脂肪酸)、炭素数8-10(C8-C10)を中級脂肪酸(中鎖脂肪酸)とよびます。また炭素数21(C21)以上の脂肪酸は極長鎖脂肪酸とよび、極長鎖脂肪酸のうち炭素数26(C26)以上の脂肪酸を超長鎖脂肪酸とよびます。

また、高級脂肪酸は大きく分けて、化学的にすべて単結合(飽和結合)で二重結合を含まない飽和脂肪酸と、二重結合を1つ以上含む不飽和脂肪酸に分類され、それぞれ以下の表のように、

種類 飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸
化学結合 二重結合なし 二重結合を1つ以上含む
融点(∗3) 高い 低い
酸化安定性 高い 二重結合数が多いほど低い

∗3 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

このような特徴をもっています[2b]

不飽和脂肪酸については、二重結合を1つのみもつ不飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸、2つ以上もつ不飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸といい、一価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べれば酸化されやすいですが、二重結合を1つしか含まないことから、不飽和脂肪酸の中では酸化されにくく、一般に二重結合を2つ以上もつ不飽和脂肪酸の比率が増えるほど酸化安定性は低くなります。

2. 高級脂肪酸一覧

以下に化粧品成分として使用されるまたは植物油脂に含まれる高級脂肪酸を一覧で掲載しておきます。

脂肪酸の種類 高級脂肪酸名 炭素数 二重結合数
飽和脂肪酸 ラウリン酸 12 0
ミリスチン酸 14
パルミチン酸 16
ステアリン酸 18
アラキジン酸 20
ベヘン酸 22
リグノセリン酸 24
セロチン酸 26
モンタン酸 28
一価不飽和脂肪酸 パルミトレイン酸 16 1
オレイン酸 18
エライジン酸 18
リシノール酸 18
エイコセン酸 20
エルカ酸 22
多価不飽和脂肪酸 リノール酸 18 2
γ-リノレン酸 18 3
α-リノレン酸 18
プニカ酸 18
ステアドリン酸 18 4

3. 参考文献

  1. ab田村 健夫・廣田 博(2001)「高級脂肪酸」香粧品科学 理論と実際 第4版,112-116.
  2. ab後藤 直宏(2018)「脂肪酸」油脂製品の知識 改訂新版,2-10.

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