ダマスクバラ花エキスの基本情報・配合目的・安全性

ダマスクバラ花エキス

化粧品表示名称 ダマスクバラ花エキス
化粧品国際的表示名称(INCI名) Rosa Damascena Flower Extract
配合目的 香料 など

1. 基本情報

1.1. 定義

バラ科植物ロサ・ダマスケナ(∗1)(学名:Rosa × damascena)の花からエタノールBG、またはこれらの混液あるいはスクワランで抽出して得られる抽出物植物エキスです[1a]

∗1 ロサ・ダマスケナ(学名:Rosa × damascena)は、ロサ・ガリカ(学名:Rosa gallica)とロサ・フェニキア(学名:Rosa phoenicia)の交雑で得られた雑種であり[2a]、一般に「ダマスクローズ」の名称で知られています。

1.2. 分布と歴史

ロサ・ダマスケナは、小アジアを原産とし[2b]、11-13世紀にヨーロッパへ渡来し、古くから香りが良いことからローズウォーターやローズオイルとして香水や化粧料に用いられてきた歴史があり、現在はブルガリア、ペルシア、インドを中心に栽培されています[3]

1.3. 成分組成

ダマスクバラ花エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
フラボノイド フラボノール ケルセチン、ケンペロール
テルペノイド モノテルペン シトロネロールゲラニオールリナロール
セスキテルペン ファルネソール

これらの成分で構成されていることが報告されています[4][5][6]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • ローズ花香の賦香

主にこれらの目的で、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、アウトバストリートメント製品、シャンプー製品、ボディソープ製品、ボディ石鹸、洗顔料、洗顔石鹸、ネイル製品、練り香水など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. ローズ花香の賦香

ローズ花香の賦香(∗2)に関しては、ダマスクバラ花エキスはローズ香をもつテルペンアルコールのシトロネロールゲラニオールを中心にした華やかさを感じる香りにリナロールやセスキテルペンアルコールのファルネソールなどが加わり華やかさと高級感を兼ね備えたローズ香気を有していることが知られています[7]

このような背景から、ローズ花香を賦香する目的で[1b]、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、アウトバストリートメント製品、洗顔料、シャンプー製品、ボディソープ製品などに使用されています。

∗2 賦香(ふこう)とは、香りを付けるという意味です。

3. 配合製品数および配合量範囲

化粧品に対する実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2019-2020年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗3)

∗3 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ダマスクバラ花エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2019-2020年)

4. 安全性評価

ダマスクバラ花エキスの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

日光ケミカルズの安全性試験データ[8]によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者にダマスクバラ花エキス(スクワラン抽出)原液を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を評価したところ、PIIは0.0であり、この試験物質は皮膚刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 56人の被検者にダマスクバラ花エキス(スクワラン抽出)原液を対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚感作なしと結論付けられた

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して皮膚刺激なしと報告されており、また20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

3.2. 眼刺激性

安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「ダマスクバラ花エキス」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,635.
  2. ab蓬田 勝之・黒澤 早穂(2010)「現代バラとその香り」におい・かおり環境学会誌(41)(3),164-174. DOI:10.2171/jao.41.164.
  3. 北野 佐久子(2005)「ローズ」基本 ハーブの事典,230-234.
  4. A. Schieber, et al(2005)「Flavonol Glycosides from Distilled Petals of Rosa damascena Mill」Verlag der Zeitschrift für Naturforschung C(60)(5-6),379-384. DOI:10.1515/znc-2005-5-602.
  5. H. Loghmani-Khouzani, et al(2007)「Essential Oil Composition of Rosa damascena Mill Cultivated in Central Iran」Scientia Iranica(14)(4),316-319.
  6. N. Yassa, et al(2009)「Chemical Composition and Antioxidant Activity of the Extract and Essential oil of Rosa damascena from Iran, Population of Guilan」DARU-Journal of Faculty of Pharmacy(17)(3),175-180.
  7. 長島 司(2012)「ローズ・ダマセナ」ビジュアルガイド精油の化学,142.
  8. 日光ケミカルズ株式会社(2020)「NIKKOL アロマスクワラン ローズ」安全性データシート.

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