ポリクオタニウム-6とは…成分効果と毒性を解説




・ポリクオタニウム-6
[医薬部外品表示名称]
・ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液
化学構造的に第四級アンモニウム塩型に分類される陽イオン界面活性剤の一種であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体(∗1)であり、水溶性のカチオン性高分子(∗2)です。
∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)です。
∗2 カチオン性高分子とは、陽イオン界面活性能を有した高分子化合物のことです。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、洗顔料、洗顔石鹸、シャンプー製品、ボディソープ製品、ヘアカラートリートメント製品などに使用されています。
起泡力向上および泡質改善
起泡力向上および泡質改善に関しては、ポリクオタニウム-6は陰イオン界面活性剤とイオン結合によって相互作用し(文献1:2016)、泡立ちおよびキメ細やかでボリュームのある泡質に改善する効果が認められていることから(文献2:1995;文献3:-;文献4:2015)、泡立ちおよび泡質改善目的で洗顔料、洗顔石鹸、シャンプー製品、ボディソープ製品などに使用されています。
帯電防止
帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。
水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、
親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。
そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献6:1990;文献7:2010)。
ポリクオタニウム-6は、他のカチオン性高分子と比較して強い陽イオン界面活性能を有していることから非常に滑らかな感触を付与する感触改良剤であり(文献5:2017)、洗髪後のブラッシングまたは櫛の使用によって生じる静電気の発生の抑制、毛髪の柔軟化およびすべりやすさの改善目的でヘアカラートリートメント製品などに配合されます(文献3:-;文献5:2017)。
ポリクオタニウム-6の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
医薬部外品原料規格2006に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどない(あっても軽度以下)と考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ポリクオタニウム-6は起泡助剤、帯電防止剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
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文献一覧:
- 日光ケミカルズ(2016)「コンディショニング剤としてのカチオン化高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,128-129.
- 別府 耕次, 他(1995)「毛髪コンディショニング剤用ポリマー」油化学(44)(4),283-290.
- Lubrizol(-)「Merquat 100 polymer」Technical Data Sheet.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ポリクオタニウム-6」化粧品成分ガイド 第6版,122.
- センカ株式会社(2017)「コスモートVGN」技術資料.
- 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
- 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
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