ポリクオタニウム-39とは…成分効果と毒性を解説

起泡助剤 泡質改善 刺激緩和 帯電防止
ポリクオタニウム-39
[化粧品成分表示名称]
・ポリクオタニウム-39

[医薬部外品表示名称]
・アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液

化学構造的に第四級アンモニウム塩型に分類される陽イオン界面活性剤の一種であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドに、アクリル酸(∗1)およびアクリル酸アミドを重合して得られる三元共重合体(∗2)であり、水溶性の両性高分子(∗3)です。

∗1 アクリル酸(化学式:CH₂=CHOOH)とは、最も簡単な不飽和カルボン酸であり、アクリル酸は適当な重合開始剤または酵素などの作用により容易に重合し、ポリアクリル酸となります。この重合体はカルボキシ基を多数もつことから非常に親水性が高くなります。

∗2 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)であり、2種類の単量体を用いて生成された重合体は二元共重合体(コポリマー:copolymer)、3種類の単量体を用いて生成された重合体は三元共重合体(ターポリマー:terpolymer)と呼びます。

∗3 両性高分子とは、両性界面活性能を有した高分子化合物のことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗顔料、洗顔石鹸、ボディソープ製品、ヘアトリートメント製品、ヘアケア製品などに使用されています。

起泡力向上および泡質改善

起泡力向上および泡質改善に関しては、ポリクオタニウム-39は陰イオン界面活性剤とイオン結合によって相互作用し(文献2:2016)、泡立ちおよびキメ細やかでボリュームのある泡質に改善する効果が認められていることから(文献3:-)、泡立ちおよび泡質改善目的で洗顔料、洗顔石鹸、ボディソープ製品などに使用されています。

洗浄剤の刺激緩和

洗浄剤の刺激緩和に関しては、ポリクオタニウム-39は界面活性剤から細胞膜を保護する作用が明らかにされており(文献3:-)、界面活性剤からの刺激緩和目的でボディソープ製品に使用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献5:1990;文献6:2010)

ポリクオタニウム-39は、両性界面活性能を有していることから広範囲のイオン性に適応するため(文献4:2017)、カチオン化高分子として、洗髪後のブラッシングまたは櫛の使用によって生じる静電気の発生の抑制、毛髪の柔軟化およびすべりやすさの改善目的でヘアトリートメント製品、ヘアケア製品などに配合されます(文献3:-)

アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液は、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 5.0
育毛剤 5.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 5.0
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリクオタニウム-39の配合製品数と配合量の比較調査結果(2011年)

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ポリクオタニウム-39の安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリクオタニウム-39の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 154人の被検者にポリクオタニウム-39を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人の被検者に無視できる程度の紅斑がそれぞれ1および2回観察されましたが、試験期間を通じていずれの被検者においても他に有害な皮膚反応は観察されず、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しないと結論付けられた(Product Investigations Inc,1994)
  • [動物試験] 6匹のウサギの健常な皮膚にポリクオタニウム-39を対象に皮膚刺激性試験を実施したところ、PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は0であり、この試験物質は非刺激剤に分類された(MB Research laboratories Inc,1991)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼にポリクオタニウム-39を点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、いずれのウサギの眼も刺激反応はなく、試験期間を通じて正常であり、この試験物質はウサギの眼に対して非刺激剤に分類された(MB Research laboratories Inc,1991)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ポリクオタニウム-39は起泡助剤、帯電防止剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:起泡助剤 帯電防止剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Polyquaternium-22 and Polyquarternium-39 as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(3_Suppl),47S-53S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「コンディショニング剤としてのカチオン化高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,128-129.
  3. Lubrizol(-)「Merquat Plus 3330 DRY」Technical Data Sheet.
  4. センカ株式会社(2017)「コスモートV-39シリーズ」技術資料.
  5. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  6. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.

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