(スチレン/アクリレーツ)コポリマーとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成 不透明化
(スチレン/アクリレーツ)コポリマー
[化粧品成分表示名称]
・(スチレン/アクリレーツ)コポリマー

[医薬部外品表示名称]
・アクリル酸アルキル・スチレン共重合体

化学構造的に芳香族炭化水素の一種であるスチレン(∗1)と、アクリル酸(∗2)、メタクリル酸(∗3)またはそれらの単純なエステルのうち1種以上の単量体(モノマー)との共重合体(∗4)です。

∗1 ベンゼンの水素原子の一つがビニル基に置換した構造をもつ芳香族炭化水素であり、天然樹脂である蘇合香(そごうこう 英名:styrax)の成分として発見され、蘇合香の英名である「styrax」と芳香族炭化水素を意味する「arene」からスチレン(styrene)と命名されています。

∗2 アクリル酸(化学式:CH₂=CHOOH)とは、最も簡単な不飽和カルボン酸であり、アクリル酸は適当な重合開始剤または酵素などの作用により容易に重合し、ポリアクリル酸となります。この重合体はカルボキシ基を多数もつことから非常に親水性が高くなります。

∗3 メタクリル酸(化学式:CH₂=C(CH₃)COOH)とは、低分子のカルボン酸の一種です。工業的にはメタクリル酸メチルのようなエステルの形で用いられることが多く、メタクリル酸エステルはアクリル樹脂の原料となったり、様々な用途で使用されています。

∗4 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)と呼びます。一般的に高分子化合物です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でネイル製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディソープ製品などに使用されています。

皮膜形成

皮膜形成に関しては、均一な皮膜をつくることから(文献4:2015)、ネイルカラー、アイライナー、アイシャドーなどに使用されています。

不透明化

不透明化に関しては、製剤を均一に乳濁化・不透明化することから(文献2:-;文献3:-)、化粧水、ボディソープなどに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

(スチレン/アクリレーツ)コポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2014年)

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(スチレン/アクリレーツ)コポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

(スチレン/アクリレーツ)コポリマーの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 被検者に(スチレン/アクリレーツ)コポリマーを対象に21日間累積皮膚刺激性試験を実施したところ(詳細不明)、この試験物質は非刺激剤および非感作剤に分類された(The Dow Chemical Company,2013)
  • [ヒト試験] 被検者に(スチレン/アクリレーツ)コポリマーを対象に21日間累積皮膚刺激性試験を実施したところ(詳細不明)、この試験物質は非刺激剤および非感作剤に分類された(The Dow Chemical Company,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて5%(スチレン/アクリレーツ)コポリマー溶液を処理したところ(HET-CAM法)、軽度の眼刺激が予測された(Evic France,2005)
  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に(スチレン/アクリレーツ)コポリマーを処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、非刺激であると予測された(The Dow Chemical Company,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

(スチレン/アクリレーツ)コポリマーは皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:皮膜形成剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Styrene and Vinyl-type Styrene Copolymers as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. DOW(-)「OPULYN 301」Technical Data Sheet.
  3. DOW(-)「OPULYN Series」Technical Data Sheet.
  4. 宇山 侊男, 他(2015)「(スチレン/アクリレーツ)コポリマー」化粧品成分ガイド 第6版,175.

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