ポリ酢酸ビニルとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成
ポリ酢酸ビニル
[化粧品成分表示名称]
・ポリ酢酸ビニル

[医薬部外品表示名称]
・ポリ酢酸ビニル

[慣用名]
・PVAc

化学構造的に酢酸ビニル(Vinyl Acetate:VA)の重合体(∗1)であり、水溶性の合成樹脂(ポリビニル系ポリマー:合成高分子)です。

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指します。

ポリビニルアルコールはポリ酢酸ビニルを加水分解して得られ、この一連の化学反応においてポリ酢酸ビニルは化学反応の過程(中間)に生成される中間生成物であることから、ポリビニルアルコールの中間体(中間生成物)でもあります。

一般的には、木工用ボンド、洗濯のりまたはチューインガムの基材としても使用されており、生体への安全性や生分解性(∗2)の高さが広く知られています(文献2:2004;文献3:2009)

∗2 生分解性とは、環境中の微生物・酵素の働きによって最終的に無害な物質まで分解される性質のことです。ポリ酢酸ビニルは微生物分解によってポリビニルアルコールに変化していることが確認されており(文献2:2004)、ポリビニルアルコールは代表的な生分解性プラスチックであることから、ポリ酢酸ビニルの生分解性が認められています(文献4:2000)。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でマスカラ、アイシャドー、まつ毛美容液、パック製品に使用されています。

皮膜形成

皮膜形成に関しては、水溶性であり、適度な硬さおよび柔軟性を有しており、乾くとまつ毛への密着性の高い皮膜を形成するため、マスカラ、アイシャドー、まつ毛美容液に使用されています(文献5:1997;文献6:2007)

また、皮膜強度や剥がしやすさなどの点から、ポリビニルアルコール、(VP/VA)コポリマーまたはアクリル系樹脂と併用してパック製品に使用されています(文献7:1990)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリ酢酸ビニルの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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ポリ酢酸ビニルの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリ酢酸ビニルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1996)によると、

  • [ヒト試験] 54人の被検者に50%ポリ酢酸ビニル水溶液0.05mLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1994)
  • [ヒト試験] 146人の被検者に50%ポリ酢酸ビニル水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間を通じていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応は認められなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1994)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ポリ酢酸ビニルは皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:皮膜形成剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1996)「Amended Final Safety Assessment of Polyvinyl Acetate」Journal of the American College of Toxicology(15)(2),166-176.
  2. 池田 和久, 他(2004)「ハイブリッド型生分解性エマルション接着剤の開発」日本接着学会誌(40)(8),334-339.
  3. 鮫島 朋美(2009)「洗たく糊から”ポリ酢酸ビニル”を取り出す実験」化学と教育(57)(1),26-27.
  4. 井上 義夫(2000)「生分解性プラスチック」化学と教育(48)(12),806-807.
  5. 榊 教生(1997)「マスカラ・アイライナーの開発技術動向」日本化粧品技術者会誌(31)(2),117-123.
  6. 毛利 邦彦(2007)「ポイントメイクアップの機能と開発」機能性化粧品の開発<3>,155-164.
  7. 柴谷 順一, 他(1990)「最近の化粧品用樹脂の動向」色材協会誌(63)(4),217-225.

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