ニトロセルロースとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成
ニトロセルロース
[化粧品成分表示名称]
・ニトロセルロース

[医薬部外品表示名称]
・ニトロセルロース

化学構造的に繊維素とも呼ばれる多糖類の一種であるセルロースのグルコース単位に2個の硝酸エステルを導入し硝酸エステル化したセルロースの硝酸エステル(硝酸繊維素:セルロース誘導体)です(文献2:2018)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でネイル製品に使用されています。

皮膜形成

皮膜形成に関しては、ネイルエナメルに用いる溶剤、樹脂、顔料などとよく混ざる性質をもち、かつ半乾きで溶剤を含んだ状態であっても固まって剥がれることがなく、さらに光沢も有していることから、ネイルエナメル膜の主成分として古くから汎用され続けています(文献3:1990;文献4:2001)

ただし、ニトロセルロース単独では硬くてもろい膜を形成することから、一般的にニトロセルロースの膜のもろさを補うための樹脂および膜に柔軟性を付与し耐久性を高めるための可塑剤と組み合わせて使用されます(文献4:2001;文献5:1990)

また、ニトロセルロースの皮膜は、UVA(320-340nm)の照射により分解され、重合度が低下し、脱硝現象を生じる(皮膜が黄変する)ので、一般的に経時変化を防止する目的でオキシベンゾン系紫外線吸収剤が併用されています(文献5:1990)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ニトロセルロースの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

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ニトロセルロースの安全性(刺激性・アレルギー)について

ニトロセルロースの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者に10.5%ニトロセルロースを含むネイルエナメル0.2mLを48時間半閉塞パッチ適用し、パッチ除去24時間後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激の兆候はみられず、この試験物質は皮膚一次刺激剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,2012)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に8.85%ニトロセルロースを含むネイルエナメルを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、試験期間を通じていずれの被検者においても目に見える皮膚反応は観察されなかった(Clinical Research Laboratories Inc,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –
– 個別事例 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [個別事例] 首に湿疹を有した女性患者にマニキュア液のパッチテストを実施したところ、マニキュアの成分である(トシルアミド/ホルムアルデヒド)樹脂にアレルギーがあることがわかり、この成分を含まないマニキュアを使用してもらったところ、この成分を含まないマニキュアの使用で前腕、顔および首に湿疹が生じたことから追加でパッチテストを実施した。追加のパッチテストの結果、ニトロセルロースに対して接触過敏症であることが報告された。健常な皮膚を有する100人の参加者にニトロセルロースのパッチテストを実施したところ、いずれの参加者も皮膚反応を誘発しなかった(M Castelain et al,1997)

と記載されています。

試験データは個別事例のみですが、1例の皮膚感作症例が報告されているため、皮膚炎を有する場合はごくまれに皮膚感作を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に33%ニトロセルロース水溶液(チッ素含有量13.1%)を点眼し、Draize法に基づいて点眼24および72時間後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質はウサギの眼に対して一次刺激剤ではなかった(Midwest Research Institute,1975)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

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ニトロセルロースは皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:皮膜形成剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Nitrocellulose and Collodion as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(1_suppl),50S-59S.
  2. 宮沢 哲(2018)「天然繊維と合成繊維の化学」化学と教育(66)(9),444-447.
  3. 田中 宗男, 他(1990)「美を演出する高分子(化粧品)」高分子(39)(11),802-805.
  4. 金子 勝之, 他(2001)「速乾性ネールエナメルの開発」日本化粧品技術者会誌(35)(1),8-13.
  5. 田村 健夫, 他(1990)「ネイルエナメル」香粧品科学 理論と実際 第4版,435-444.

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