アクリレーツコポリマーとは…成分効果と毒性を解説

皮膜形成
アクリレーツコポリマー
[化粧品成分表示名称]
・アクリレーツコポリマー

[医薬部外品表示名称]
・アクリル酸アルキル共重合体液(1)、アクリル酸アルキル共重合体液(2)、アクリル酸アルキル共重合体エマルション(1)、アクリル酸アルキル共重合体エマルション(2)

化学構造的にアクリル酸(∗1)、メタクリル酸(∗2)またはそれらの単純なエステルのうち2種以上の単量体(モノマー)で構成される共重合体(∗3)であり、アクリル酸系水溶性高分子です。

∗1 アクリル酸(化学式:CH₂=CHOOH)とは、最も簡単な不飽和カルボン酸であり、アクリル酸は適当な重合開始剤または酵素などの作用により容易に重合し、ポリアクリル酸となります。この重合体はカルボキシ基を多数もつことから非常に親水性が高くなります。

∗2 メタクリル酸(化学式:CH₂=C(CH₃)COOH)とは、低分子のカルボン酸の一種です。工業的にはメタクリル酸メチルのようなエステルの形で用いられることが多く、メタクリル酸エステルはアクリル樹脂の原料となったり、様々な用途で使用されています。

∗3 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)と呼びます。一般的に高分子化合物です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、ネイル製品、まつ毛美容液などに汎用されています。

皮膜形成

皮膜形成に関しては、乾くと耐水性および透過性の高い柔軟で自然な感触の皮膜を形成することから(文献2:-;文献3:-)、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、口紅、ネイルカラー、ネイルエナメル、ベースコート、トップコート、ネイルポリッシュ、まつ毛美容液などに汎用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1998年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アクリレーツコポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(1998年および2018年)

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アクリレーツコポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

アクリレーツコポリマーの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 47人の被検者に25%アクリレーツコポリマー水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、試験期間中のいずれにおいても皮膚反応は観察されず、この試験物質は皮膚刺激剤でも皮膚感作剤でもなかった(Consumer Product Testing Co,1996)
  • [ヒト試験] 49人の患者に30%固形アクリレーツコポリマー(pH7-7.4)、15%アクリレーツコポリマーのアンモニア水溶液、25%アクリレーツコポリマーのアセトン溶液を対象に24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去3,6,10および14日後に皮膚刺激性を評価した。1週間の無処置期間後にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去から4日間スコアリングしたところ、30%固形アクリレーツコポリマーは刺激剤でも増感剤でもなく、15%および25%濃度のアンモニア水とアセトン溶液は皮膚刺激を示さなかった。アセトン溶液はチャレンジ期間に反応を生じたが、おそらくアセトンによるものであると結論付けられた(BFGoodrich Specialty Chemicals,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 4匹のウサギの片眼に24%固形アクリレーツコポリマー0.1mLを点眼し、点眼1時間および1,2,3および7日後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、1時間ですべてのウサギに軽度-中程度の結膜刺激が観察され、最大眼刺激スコアは8.0であり、すべての眼刺激は2-3日までに消失した。この試験物質はウサギの眼に軽度の刺激剤であった(Bushy Run Research Center,1993)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼にアクリレーツコポリマーを適用し、眼はすすがず、適用1,24,48および72時間後に眼刺激スコアを評価したところ、24-72時間で角膜混濁およびケモーシススコア0.0/4、虹彩刺激スコア0.0/2、結膜発赤スコア0.1/3であった。この試験物質は眼刺激剤ではないと結論付けられた(BASF,1994)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼にアクリレーツコポリマーを適用し、眼はすすがず、OECDテストガイドラインに基づいて適用後に眼刺激スコアを評価したところ、最小限または最小限-中程度の結膜刺激が観察されたが、24-48時間以内に消失した。この試験物質はこの試験条件下において最小限の眼刺激剤であると結論付けられた(BFGoodrich Specialty Chemicals,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

アクリレーツコポリマーは皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:皮膜形成剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」International Journal of Toxicology(21)(suppl_3),1-50.
  2. Sensient Cosmetic Technologies(-)「Covacryl」Technical Data Sheet.
  3. Akzo Nobel(-)「Dermacryl C」Technical Data Sheet.

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