アクリル酸アルキルコポリマーの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | アクリル酸アルキルコポリマー |
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医薬部外品表示名 | アクリル酸アルキル共重合体エマルション(1) |
部外品表示簡略名 | アクリル酸アルキル共重合体エマルション-1 |
配合目的 | 皮膜形成 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
アクリル酸アルキル(C1-C4,C8)およびメタクリル酸アルキル(C1-C4,C8)、アクリル酸(∗1)およびメタクリル酸(∗2)の中の2種以上の成分から成る共重合体です(∗3)[1]。
∗1 アクリル酸(化学式:CH2=CHCOOH)とは、最も簡単な不飽和カルボン酸であり、水、エタノール、エーテルに易溶です。アクリル酸は適当な重合開始剤または酵素などの作用により容易に重合し、ポリアクリル酸となります。この重合体はカルボキシ基を多数もつことから非常に親水性が高くなります。
∗2 メタクリル酸(化学式:CH2=C(CH3)COOH)とは、低分子のカルボン酸であり、水に可溶、エタノールおよびエーテルに易溶です。工業的にはメタクリル酸メチルのようなエステルの形で用いられることが多く、メタクリル酸エステルはアクリル酸と同様に重合しやすく、アクリル樹脂の原料となったり、様々な用途で使用されています。
∗3 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)とよびます。
2. 化粧品としての配合目的
- 皮膜形成
主にこれらの目的で、ネイル製品、マスカラ製品、アイ系メイクアップ製品などに汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 皮膜形成
皮膜形成に関しては、アクリル酸アルキルコポリマーは皮膜を形成するため、皮膜の密着性や硬さを調整したものがネイル製品、マスカラ製品、アイライナー製品、アイシャドー製品、アイブロウ製品などに汎用されています[2][3]。
3. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
同様の化学構造を有するアクリレーツコポリマーにおいて皮膚刺激性および皮膚感作性がほとんどみられないこと、医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないことから、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。