アクリレーツコポリマーアンモニウムの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | アクリレーツコポリマーアンモニウム |
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医薬部外品表示名 | アクリル酸アルキル共重合体エマルション(2) |
部外品表示簡略名 | アクリル酸アルキル共重合体エマルション-2 |
INCI名 | Ammonium Acrylates Copolymer |
配合目的 | 皮膜形成、増粘 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
アクリレーツコポリマーのアンモニウム塩です[1a]。
1.2. 性状
アクリレーツコポリマーアンモニウムの性状は、
状態 | 乳白色の液体 |
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このように報告されています[2a]。
2. 化粧品としての配合目的
- 皮膜形成
- 親水性増粘
主にこれらの目的で、マスカラ製品、アイ系メイクアップ製品、ネイル製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 皮膜形成
皮膜形成に関しては、アクリレーツコポリマーアンモニウムはタイプによって耐水性およびまつ毛のカール保持力に優れる皮膜を形成することから、皮膜形成目的でマスカラ製品、アイライナー製品、アイシャドー製品、アイブロウ製品、ネイル製品などに使用されています[1b][2b][3a]。
2.2. 親水性増粘
親水性増粘に関しては、アクリレーツコポリマーアンモニウムの中には粘着性を高めたものがあり、粘着性を高めたものが二重まぶた用製品、つけまつ毛製品などに使用されています[1c][3b]。
3. 配合製品数および配合量範囲
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗1)。
∗1 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
4. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績(アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウムの使用実績含む)
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性
Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[4a]によると、
- [動物試験] 3匹のウサギの剃毛した皮膚に30%アクリレーツコポリマーアンモニウムを含む混合物を4時間半閉塞パッチ適用し、パッチ除去1,24,48および72時間後に皮膚刺激性を評価したところ、1時間で1匹のウサギに最小限の紅斑がみられたが、他の2匹に刺激反応はみられず、この試験物質は実質的に非刺激剤であると結論付けられた(Allied Colloids,1997)
このように記載されており、試験データをみるかぎり実質的に皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
4.2. 眼刺激性
Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[4b]によると、
- [動物試験] 3匹のウサギの片眼に30%アクリレーツコポリマーアンモニウムを含む混合物を点眼し、点眼1,24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、1時間で1匹のウサギにわずかな結膜発赤がみられたが、他の2匹に眼刺激反応はみられず、この試験物質はウサギの眼に対して実質的に非刺激剤であると結論付けられた(Allied Colloids,1997)
このように記載されており、試験データをみるかぎり実質的に眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。
4.3. 皮膚感作性(アレルギー性)
医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
5. 参考文献
- ⌃abc日本化粧品工業連合会(2013)「アクリレーツコポリマーアンモニウム」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,117.
- ⌃ab大同化成工業株式会社(2015)「ビニゾール 1086WP」Technical Information.
- ⌃ab大同化成工業株式会社(-)「ビニゾール」製品カタログ.
- ⌃abF.A. Andersen(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」International Journal of Toxicology(21)(3_suppl),1-50. DOI:10.1080/10915810290169800.