グリコール酸の基本情報・配合目的・安全性

グリコール酸

化粧品成分表示名称 グリコール酸
医薬部外品表示名称 グリコール酸
配合目的 角質剥離 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるα-ヒドロキシ酸(alpha hydroxy acid:AHA)(∗1)です[1][2]

∗1 「ヒドロキシ酸(hydroxy acid)」は、1分子中にカルボキシル基(-COOH)とヒドロキシ基(-OH)をもつ有機化合物の総称であり、「ヒドロキシカルボン酸(hydroxy carboxylic acid)」、「オキシ酸(oxy-acid)」ともいいます[3]

グリコール酸

1.2. 化粧品以外の主な用途

分野 用途
医療 2008年に日本皮膚科学会が作成・改訂したケミカルピーリングガイドラインの中で「推奨度C1:良質な根拠は少ないが選択肢のひとつとして推奨する」としてざ瘡の治療や小さな老人性色素斑の除去などに推奨されており、最も使用頻度の高いピーリング剤としてケミカルピーリング(∗2)に用いられています[4a]

∗2 ケミカルピーリングとは、薬剤を皮膚に塗布することにより、皮膚を剥脱し、創傷治癒機転による皮膚の再生をはかる治療法です[4b]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • コルネオデスモソーム分解促進による角質剥離作用

主にこれらの目的で、ピーリング系化粧品、スキンケア化粧品、洗顔料・洗顔石鹸、ボディ&フットケア製品、洗浄製品、シート&マスク製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. コルネオデスモソーム分解促進による角質剥離作用

コルネオデスモソーム分解促進による角質剥離作用に関しては、まず前提知識として皮膚新陳代謝のメカニズムおよびコルネオデスモソームについて解説します。

皮膚最外層である表皮は、以下の表皮構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

表皮細胞の新陳代謝(ターンオーバー)の仕組み

表皮細胞は、角化細胞(ケラチノサイト)とも呼ばれ、表皮最下層である基底層で生成された一個の角化細胞は、その次につくられた、より新しい角化細胞によって皮膚表面に向かい押し上げられていき、各層を移動していく中で有棘細胞、顆粒細胞と分化し、最後にはケラチンから成る角質細胞となります[5a]

角質細胞は、以下の角質細胞間接着の構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

角質細胞間接着の構造図

角質層に存在するデスモソームであるコルネオデスモソーム(corneodesmosome)によって細胞間を結合・接着されており、角層上層へ押し上げられていくにしたがってタンパク質分解酵素であるセリンプロテアーゼ(∗3)やアスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンDによってコルネオデスモソームが分解され、最終的に角片(∗4)として剥がれ落ちます[5b][6][7][8][9][10]

∗3 セリンプロテアーゼとしては、トリプシン様酵素とキモトリプシン様酵素の2種類が同定されていますが[11a]、ここではまとめてセリンプロテアーゼとしています。

∗4 角片とは、体表部分でいえば垢、頭皮でいえばフケを指します。

この表皮の新陳代謝は一般的に「ターンオーバー(turnover)」と呼ばれ、正常なターンオーバーによって皮膚は新鮮さおよび健常性を保持しています[12]

一方で、加齢、肌荒れなどの影響によってターンオーバーに遅延が生じると、剥がれ落ちるべき角質細胞が残ったままの状態となり、次第に角質層の異常堆積(∗5)が起こり、ターンオーバーのサイクルが狂いはじめることが知られています[13a]

∗5 堆積とは、幾重にも積み重なることをいいます。

ターンオーバーのサイクルが狂いはじめ角質層に異常堆積が起こると、以下の皮膚の表面(皮表)の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

皮表の構造

角層が生理的範囲を超えて肥厚し、部分的に皮膚が硬くなり、皮丘と皮溝の高低差が増し、キメが粗くなる過角化(角質肥厚:ハイパーケラトーシス)と呼ばれる症状が現れます[13b][14]

また、皮膚の色を直接左右するメラニンは、通常、角化とともに角層へ押し上げられ、最終的には角質細胞の落屑によって皮膚から排泄されますが、ターンオーバーが遅延し表皮内に長期間滞留するとシミやくすみの原因となることが報告されています[15][16]

このような背景から、コルネオデスモソームの分解を促進することは、角質の剥離・落屑において重要なアプローチであると考えられます。

グリコール酸は、最も代表的なケミカルピーリング剤のひとつとして、医療下においてその有効性と安全性は十分に確認されていますが[4c][17a][18]、国内の化粧品においては安全性が最も重要視され、以下の調査結果のように、

製品 種類 AHA濃度 pH
製品A 美容液 < 1% 5.0
製品B 美容液 < 1% 6.1
製品C 化粧水 < 1% 4.6

濃度は1%以下かつpHは弱酸性に近い状態に調整して配合されているものが多いことから[17b]、一般的に穏やかな角質剥離作用であると考えられます。

化粧品に用いられる濃度やpHにおけるグリコール酸の角質剥離作用のメカニズムとしては、

  • 直接的にコルネオデスモソームの分解を促進している可能性を示唆する報告[11b][19]
  • コルネオデスモソームの接着に関与しているカルシウムイオンをキレート(∗6)しコルネオデスモソームの接着を弱めて角層プロテアーゼによる消化を受けやすくしている可能性[20]

∗6 キレート(chelate)とは、金属イオンと結合し金属イオンを不活性化(封鎖)することをいいます。

これらが指摘されており、結論がでているわけではありませんが、これらのいずれかまたは両方のメカニズムを有していると考えられます。

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1995-1997年および2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗7)

∗7 表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

グリコール酸の配合状況の調査(1995-1997年および2013-2014年)

4. 安全性評価

2016年7月1日に厚生労働省からの「毒物及び劇物指定令の一部改正について」により、グリコール酸およびこれを含有する製剤(ただし、グリコール酸3.6%以下を含有するものを除く)が劇物に指定されました[21]

グリコール酸の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1980年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:3.6%濃度以下およびpH3.8-4.0において実質的にほとんどなし-軽度
  • スティンギング:濃度またはpHに関係なく起こる可能性あり
  • 眼刺激性:3.6%濃度以下において軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、また鐘紡記念病院皮膚科および神戸大学医学部皮膚科学教室の調査によると、市販の大手メーカーにおけるAHA配合化粧品は濃度1%未満かつpH4.6-6.1の範囲で設計されており、非常に安全性が重視された処方となっているため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

また、pHが低いほど(酸性度が高いほど)皮膚一次刺激および累積刺激が起こる可能性が高くなり、さらにpHや濃度と関連なくスティンギング(刺すような痛み)が起こる可能性があるため、皮膚炎やバリア機能が低下した皮膚を有する場合においては注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ[22a]によると、

  • [ヒト試験] 各19人または20人の被検者を用いて2%-10%グリコール酸を含むクリームまたはローション(pH3.6-4.0)約0.2mLを対象に24時間閉塞パッチ試験を実施し、PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0.0-4.0のスケールで評価したところ、以下の表のように、
    製品の種類 濃度(%) pH 被検者数 PII 評価
    クリーム 2.0 3.7 20 0.63 軽度の刺激
    化粧水 2.0 3.9 20 0.78 軽度の刺激
    化粧水 2.0 4.0 20 0.65 軽度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 0.30 実質的に非刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 0.33 わずかな刺激
    クリーム 4.0 3.7 19 0.79 軽度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 0.83 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 1.03 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 1.08 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 1.25 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 19 1.32 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 19 1.47 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.7 20 1.60 重度の刺激
    クリーム 4.0 3.8 20 0.28 実質的に非刺激
    クリーム 4.0 3.8 19 0.45 わずかな刺激
    クリーム 4.0 3.8 20 0.55 軽度の刺激
    化粧水 4.0 3.8 20 1.20 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.8 20 1.40 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.9 20 0.23 実質的に非刺激
    化粧水 4.0 3.9 20 0.33 わずかな刺激
    クリーム 4.0 3.9 19 0.42 わずかな刺激
    化粧水 4.0 3.9 19 0.55 軽度の刺激
    化粧水 4.0 3.9 20 1.03 中程度の刺激
    クリーム 4.0 3.9 20 1.25 中程度の刺激
    化粧水 4.0 4.0 20 1.15 中程度の刺激
    クリーム 8.0 3.6 20 0.72 軽度の刺激
    化粧水 8.0 3.7 19 0.89 中程度の刺激
    化粧水 8.0 3.7 19 1.11 中程度の刺激
    化粧水 8.0 3.8 19 0.92 中程度の刺激
    クリーム 8.0 3.8 20 1.08 中程度の刺激
    クリーム 8.0 3.8 20 1.53 重度の刺激
    クリーム 8.0 4.0 20 0.45 わずかな刺激
    化粧水 10.0 3.6 20 1.25 中程度の刺激
    クリーム 10.0 3.9 20 0.53 軽度の刺激
    クリーム 10.0 3.9 20 0.63 軽度の刺激
    クリーム 10.0 3.9 20 1.25 中程度の刺激

    濃度の増加またはpHの減少によってPIIが大きくなる傾向はあるが、必ずしもそうとは限らないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1995)

  • [ヒト試験] 21人および23人の被検者に8%-20%グリコール酸(pH2.0-4.4)を含むクリームまたはローションを対象に14日間累積刺激試験を実施し、皮膚一次刺激スコア(0.00-4.00)および皮膚累積刺激スコア(0-966または0-882)を評価したところ、以下の表のように、
    pH 濃度(%) 累積刺激指数 正規化指数 評価
    2.0 10 768/966 2.39 累積刺激あり
    2.4 5 770/966 2.38 軽度の刺激
    2.5 10 746/966 2.31 累積刺激あり
    3.0 10 631/966 1.96 軽度の刺激
    3.25 8 119/882 0.40 軽度の刺激
    3.25 9 481/882 1.49 軽度の刺激
    3.25 10 404/882 1.25 軽度の刺激
    3.6 8 148/966 0.46 軽度の刺激
    3.6 8 258/966 0.80 軽度の刺激
    3.8 8 49/882 0.17 刺激なし
    3.8 9 7/882 0.02 刺激なし
    3.8 10 38/966 0.12 刺激なし
    3.8 10 21/882 0.07 刺激なし
    3.8 15 14/966 0.04 刺激なし
    3.8 20 37/966 0.11 刺激なし
    4.4 8 1/882 0.003 刺激なし
    4.4 8 1/882 0.003 刺激なし
    4.4 10 18/966 0.06 刺激なし
    4.4 12 30/882 0.10 刺激なし
    4.4 13 33/882 0.11 刺激なし

    グリコール酸の刺激は濃度依存性ではなく、累積刺激の主要な要因はpHであると結論づけた(DiNardo,1994;DiNardo,1995)

  • [ヒト試験] 18人の被検者にグリコール酸(pH3.8-4.0)を含む8つのクリームを対象とした21日間累積刺激試験を実施した。各被検者の背中に試験物質を毎日24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に毎日スコアリングした。陽性対照として0.1%ラウリル硫酸ナトリウムおよび生理食塩水を2つの部位に適用した。4%グリコール酸を含む2つのクリームでは57.4および93.1の合計スコアが得られ、これらのクリームは通常の使用ではおそらく軽度の刺激性であると分類された。8%グリコール酸を含む2つのクリームでは225.2および267.8の合計スコアが得られ、これらのクリームは通常の使用ではおそらく軽度の刺激性であると分類された(Hill Top Research,1994)
  • [ヒト試験] 20人の女性被検者に10%グリコール酸(pH3.8)を含むローションを14日間、毎日2回、腕、手および脚に適用したところ、3人の被検者は湿疹の病歴を有しており、最終日に以下の反応を示した。1人の被検者は左前腕外側に軽度の紅斑を示し、別の1人の被検者は左右の前腕に軽度の紅斑を示し、残りの1人の被検者は右前腕に小さな紅斑を示し、左足首の上に9個の小さな脱毛した丘疹を示した。さらに5人の被検者は剃毛したての脚に適用したときにかなりのスティンギング(刺すような刺激)を経験した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1991)
  • [ヒト試験] 5%までの乳酸水溶液に中程度の刺激性を示した20人の女性被検者の頬に1.5%グリコール酸を含むローションのスティンギング試験を実施した。スティンギング(刺すような痛み)は適用10秒後および2,5および8分で評価したところ、4人の被検者は中程度の刺激反応を示し、スティンギング反応の可能性を示すと結論付けられた(Consumer Product Testing Co,1993)

このように記載されており、試験データをみるかぎりグリコール酸の皮膚刺激性は濃度依存性ではなく、累積刺激の主要な要因はpHであり、pHが低い(酸性度が高い)ほど、一次刺激性および累積刺激性が高くなると報告されており、またスティンギング反応を示す報告も複数あるため、皮膚刺激性は、濃度に関係なくpHが低い(酸性度が高い)ほど皮膚刺激性は高くなり、また濃度およびpHに関係なくスティンギング(刺すような刺激)が起こる可能性があると考えられます。

一般的に化粧品に使用される3.6%濃度以下およびpH3.8-4.0における皮膚刺激性は、実質的に非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ[22b]によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に1%-18%および24%グリコール酸0.1mLを眼に滴下し、24%濃度では眼をすすがず、評価したところ、1-18%濃度で軽度の眼刺激が観察され、24%濃度では重度の眼刺激が観察された(Haskell lab,1990)

このように記載されており、試験データをみるかぎり1%-18%濃度範囲において軽度の眼刺激が報告されていることから、一般に眼刺激性は軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

4.3. 皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ[22c]によると、

  • [ヒト試験] 28人の被検者にシクロデキストリンで処理した50%グリコール酸の2.5%水溶液(pH2.2)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、多くの被検者が誘導期間において非常に強い刺激反応を示し、チャレンジ時の刺激は誘発時よりも強く、持続性があり、また感作性を示唆すると結論づけた。偽陽性反応を示した9人の被検者に再試験として2.5%製剤でpH5.16を用いて48時間パッチを10回適用したところ、1人の被検者が感作反応を示し、他の9人の被検者は感作反応を示さなかったが、刺激反応を示した(RTC,1996)
  • [ヒト試験] グリコール酸を含む製品の刺激性および感作性を評価するためにHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、ほぼすべての被検者が陰性であった(Consumer Product Testing Co,1993)
  • [ヒト試験] グリコール酸を含む化粧品処方物の感作性を評価するために誘導期間において0.5%ラウリル硫酸ナトリウム0.1mLを被検者の背中、上腕外側、前腕手のひら側に24時間閉塞パッチ適用し、24時間後にパッチ除去し、グリコール酸製剤0.1mLを同じ部位に48または72時間閉塞パッチ適用し、この手順を合計5回繰り返した。10日間の無処置期間を設けた後に前処置として10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液0.1mLを未処置部位に1時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にその部位にグリコール酸製剤を48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に試験部位を評価したところ、陰性であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1995)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して皮膚感作性なしと結論づけられていることから、一般に皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.4. 光毒性(光刺激性)および光感作性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ[22d]によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に4%および5%グリコール酸(pH3.7および3.9)を含むクリームの光感作性を評価した。誘導期間において各被検者の腰部に試験物質を24時間適用し、パッチ除去の際に部位をキセノンアークシミュレーター(150W)からの3つのMED(最小紅斑線量)を照射し、この手順を週2回3週間にわたって繰り返した。10~14日の無処置期間の後、2箇所の未処置部位に試験物質を閉塞パッチ適用し、1つのパッチを除去し、Schott WG-345フィルターを用いてUVAを照射し、もう片方の部位は照射せず対照とし、試験部位をUVA照射48および72時間後に評価したところ、いずれのグリコール酸クリームも照射の有無にかかわらず、感作反応を起こさなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1994)
  • [ヒト試験] 26人の被検者を用いて~1.5%グリコール酸を含む製品の光感作を評価した。各被検者のMED(最小紅斑線量)はUVAおよびUVBの範囲で連続的な発光スペクトルを生成するキセノンアークランプ(150W)が用いられた。誘導期間において試験製剤0.2mLを2箇所に24時間適用し、パッチ除去後に1つの部位をキセノンアークランプで2つのMEDに照射し、この手順を週2回3週間にわたって繰り返した。約2週間の未処置期間を設けた後に腰部の未処置部位2箇所に試験物質を24時間適用し、パッチ除去後に1箇所をUVAライトで3分間照射し、もう片方は照射せず対照とし、照射部位を照射24,48および72時間後に評価したところ、約1.5%グリコール酸を含む製剤は光感作反応を示す応答を誘導しなかった(Consumer Product Testing Co,1994)
  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中2箇所に4%グリコール酸(pH3.7)を含むクリーム50μLを24時間閉塞パッチ適用し、24時間後に1つのパッチを除去し、すぐに30J/c㎡のUVAライトを試験部位に照射した。もう1箇所は対象部位とした。照射24および48時間後に反応を評価したところ、4%グリコール酸を含むクリームは光刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1994)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して光刺激および光感作なしと結論づけられていることから、一般に光毒性(光刺激性)および光感作性はほとんどないと考えられます。

5. 参考文献

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